|
【第177通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 私は、二〇〇七年の都市再生法の改定のときに質問をしました。当時のことを振り返りながら質問したいと考えます。 そもそも都市再生政策は、バブル崩壊後の地価の下落などがとまらず、景気低迷のもとで緊急経済対策として始められました。国土政策やまちづくりという視点からではなく、経済対策というのが当時のポイントでした。 二〇〇一年に小泉首相が就任して市場原理主義的な構造改革路線を推進しましたが、その重要な政策として都市再生政策が進められました。二〇〇二年に都市再生法が制定され、二〇〇七年の改定、そして今回の改定です。民間都市開発プロジェクトの申請を認定する期間を五年ごとに延長してきました。〇九年に政権交代しましたが、都市再生政策は何ら転換されず、継承されています。むしろ、PPPとかいって大手のディベロッパー、民間事業者の直接的関与を強めるなど、より市場任せが進んでいるのではないかと考えます。 今回、二〇一七年まで延長するということですが、二〇〇二年から十年の間に都市の再生はどう進捗したのか、当初の目的であった都市の高度化、居住環境の向上というのは進んだのか、大臣の所見をまず伺いたい。 ○大畠国務大臣 これまでの委員会で、平成十四年以降、都市の再生を目指しての動きがあったわけでありますが、それを振り返っての御質問を賜りました。 私自身も、先ほど高木議員の御質問等もございましたが、これまでどうだったのかというときに、いいことを並べる傾向にあるわけでありますが、何がだめだったのか、こういう視点で物を見ることも必要だとは思います。 そう思いながらも、今の御質問にお答えしたいと思いますが、これまで取り組んできた中で、全国で六十五の地域が指定されている都市再生緊急整備地域については、この進捗状況の調査を行った結果、地方公共団体の自己評価では、既に目標達成、今後目標を達成する見込みとする地域が八割を占めております。 また、都市再生整備計画につきましては、千八百九十地区で策定され、社会資本整備総合交付金やその前身のまちづくり交付金により、全国都市再生の重要な手段として支援してきたところでありますが、事業を完了し評価を行った地区が八百二地区でありました。町の来訪者数または町中に住む居住人口などの数値目標のうち、七割が達成されたと報告を受けております。 そういうことで、そういう意味では一つの成果を上げてきたんじゃないかと考えておりますが、まだまだ不十分な点もありますので、そういうことを考えながら今回の法律を提出し、そして、この法律案を踏まえながらも、さらに前の方に進んでいかなければならない。課題はたくさんあると私も考えております。 ○穀田委員 先ほど局長もおっしゃっていましたし、今大臣の方からは、数値的な話が随分ありました。 でも、それではこれで住環境はよくなったのか、住んでおられる人たちが享受されたのかという話は全くないんですよね。共通しているのは、先ほども聞いていて、要するに、投資がふえた、経済効果がふえた、東京駅の周辺の整備が進んだ。こんなのを見ておったって、それは少しは整備は進みますよ、そこに金を投資しているのやから。問題は、そういう中で、本来、住環境の向上ということも掲げていたわけだけれども、国民はそれらを享受するに至ったのかという視点が全く抜けているというところにお二人の話の共通項があると思います。 私は、二〇〇七年に二つのことを質問しました。今も局長もえらい誇らしげに言っていましたけれども、どこの代表かと私は思うんです。 一つは、当時も私は、大手不動産会社は収益を二倍にする以上の大もうけをしているけれども、住民の居住環境というのは劣悪化していると指摘しました。例えば、高齢化によって高齢者や低所得者層が安心して住まいを確保するための公営住宅の応募倍率はどうだったかということで、東京都では、九九年度十・八倍、二〇〇四年度二十八・五倍と、公営住宅は一層狭き門になっていました。それから五年たちました。 そこで聞きますが、直近の東京都の応募倍率は幾らになっているか、あわせて、住民の住環境はよくなったのか、この現状についての大臣の認識、所見を伺いたいと思います。 ○大畠国務大臣 これまで都市の再生に向けてさまざまにやってきたけれども、その地域に住んでいる人にとっての住環境はどうなのか、こういう御質問をいただきました。 これも事務局から事実関係について報告を受けたわけでありますが、公営住宅の件でありますけれども、平成二十一年度における公営住宅の倍率というのは、全国で八・八倍、東京都においては三十・五倍、こういう状況である。それから、東京都においても、公営住宅の建てかえや民間住宅の買い取り、借り上げ等により公営住宅の供給は行われている、これも報告を受けました。 さらに、民間賃貸住宅を活用して高齢者に対する見守りサービスの実施や子育て世帯向けの供給を支援するなど、各地域の状況に応じたさまざまな取り組みが行われている、こういう報告も受けておりますが、国土交通省としてもそのような取り組みを支援しているということであります。 さらに、今後とも、公営住宅等の供給の促進もあわせ、民間賃貸住宅に居住する方への居住支援を図り、重層的な住宅セーフティーネットの整備に努めていく所存です。 こういうことでございますが、正直言いまして、全国的に見ても、大都市を含めて地方都市の方に居住の方々の住環境というのは決して前進していないんじゃないか。 というのは、私の地元の方でも、これまでずっとあったスーパーマーケットが採算がとれないということで撤退してしまって、日ごろ生活の上で必要な日用品が買えない、町中まで行かなきゃならない。そのためには車を使わなきゃならないんですけれども、お年寄りの方にとってはなかなか不自由している。これは一例でありますが、全国的に見ても、御指摘のように、日本の国民の住環境というのは進んでいるのかというと、全体的にはどうもそういう状況にはないのではないか、そんな認識を持っています。 したがって、国土交通省としても、この法律は法律として出させていただいておりますが、御指摘を踏まえて、できるだけそういう住環境というものが総合的に前進するような対策をとっていかなきゃならない、私はそう感じております。 ○穀田委員 我々が都市なりそういうものを見る場合に、ビルがどれだけ建ったか、それから外国の人がどれだけ来たかという裏に、そこから追い出された方がいる、さらには居住者の方々がどうなっているか、どっちを見るかという話なんですね。だから、かまどを見るのか、それともビルを見るのかという話なんですよ。私は、かまどを見たい。それが本当によくなってこそ、そのために政治があるはずじゃないのかと思っているからなんです。 私は、今大臣からお話があったように、率直に言って、住民の居住環境は、よくなったどころか悪くなっていると思います。〇八年のリーマン・ショック後の派遣切りなどによる住宅困窮者の増大など、低所得者もふえ、住まいの確保は容易ではありません。都営住宅などは、先ほどありましたけれども、三十五倍を超える時期もありました。国税庁の調査では、〇五年に九百八十一万人だった年間給与二百万円以下の低所得者は、〇九年には一千九十九万人に増加しました。一方、総務省による状況調査によりますと、年収二百万円未満で公営住宅に入居しているのは約九十七万世帯で、民間住宅には三百四十万世帯が入居している。だから、これらは、地方自治体が公営住宅の新規建設や供給をやめた、とめたということが原因だと考えています。 私、その際に質問でもう一つ指摘をしたのは、地方では、過疎化が進み、過半数が高齢者の集落、いわゆる限界集落が増加し、消滅が危惧される状況が進んでいるということを指摘し、その一方で、大都市集中、とりわけ東京一極集中が進んでいることを述べました。この都市再生政策が東京一極集中を加速させることになると指摘したわけであります。 当時の冬柴大臣はこのように言っています。 東京一極集中はだめだ、これは全部、だれでもそう思うと思うんですね。しかし、昨年ですか、人口が東京でふえちゃっているんですね。十一万五千人ぐらいふえている。そして、それはどこから出てきたか。地方で十一万五千人減っているというようなことがありまして、我々の思いとは違う方向に進んでいるなという感じがいたします。 このように答弁していました。 そこで、大臣に聞きたい。「東京一極集中はだめだ、これは全部、だれでもそう思う」と言っていたことについて、大臣は現在どう思いますか。 ○大畠国務大臣 一極集中というものはどういうものなのか。一つは、人口が急速にふえているときには、都市部に人口が集中するということは一つの自然の流れとしてあるのかなと思いますけれども、人口が減少傾向に入ったときに都市部に人口が集中するということは、今、冬柴大臣のときの答弁の御披瀝がありましたが、結局は、地域から人口が都市部に移っている、こういうことのあらわれだろうと思います。そういう意味では、均衡ある日本の国の発展というものを考えたときにどうあるべきなのか、こういうことを考えたときには、御指摘のように、一極集中というのは決して好ましいことではない、私もそう思います。 これからどうしたらいいのかということでありますが、一方では、アジアの諸国、あるいは世界の国々の状況も考えていかなければと思います。そういう意味では、ソウルでも、あるいはシンガポールでも、あるいは上海でも、そこに人々が住み、人々が未来を考えて動いているわけでありまして、そういう意味では、世界的に見て魅力ある都市をつくるというのも一つ大事なことだと思いますけれども、その一方では、今御質問にありましたように、日本国内のことを考えたときには、一極集中というよりも、地域地域に歴史を踏まえた落ちついた町をきちっと形づくっていく、こういう視点も私は大事だと思います。 したがいまして、一極、東京にのみ人口が集中するということではなく、各地域に、一つの魅力ある町を地域地域に形づくっていく、そして、十年後も五十年後も百年後も、その地域に一つの文化が伝承され、歴史が築かれ、そしてその地で生まれた子供たちが自分たちの未来というものをしっかりと見据えて希望を持って生きられる、そういう都市を形成していくことが国土づくりとしては大変大事だと私は考えております。 ○穀田委員 相当未来のこともお話しされました。考え方の一つとしては、それはそうだとうなずけるところもあります。 そこで、聞きます。 当時私は、限界集落の問題について聞きました。政府は、調査対象六万二千の集落のうち、「今後十年以内に消滅のおそれがあると判断される集落が四百二十二、十年以降に消滅のおそれがあると判断される集落が二千二百十九、合わせまして二千六百四十一の集落が将来的に消滅するおそれがあるとされております。」一九九九年度の調査時点から二〇〇六年の調査までの間に消滅した集落数は百九十一になっておりますと答えていたわけですね。 そこで、大臣は、落ちついた町、文化が息づいて五十年後も百年後も、こうおっしゃっているわけだけれども、それじゃこの間、その限界集落は減少したのか、そして、東京一極集中は好ましくないとおっしゃられたが、緩和されたのかと聞きたい。五十年後とおっしゃっていましたから、五十年後の日本の国土、人口の分布はどうなって、東京の高齢者比率はどうなるのか、二〇五〇年の推計についてお聞きしたい。 ○中島政府参考人 まず、限界集落がその後どうなったかというお尋ねでございますけれども、議員が今言われた数字は十八年度の調査でございます。その次の調査を総務省の方で実施しておられますけれども、現在、数字を精査中ということで詳細を持っておりませんが、いずれも、限界集落も増加し、消滅のおそれのある集落も増加したということになったというふうに認識しております。 次の点で、私ども、国土の長期展望としまして、その結果を、いずれも二〇〇五年と二〇五〇年の比較でございますが、人口の状態について御説明申し上げます。 総人口がこの四十五年間で九千五百万人ぐらいまで、二五%ぐらい減ります。そのうち、東京圏も今後人口は減少に転じるわけでありますが、地方の減少の割合が激しいので、相対的な東京への集中の割合というのは結果として高まるということだと思います。さらに、地方を中心に、二〇〇五年時点で人が居住している地域の約二割が無居住化、人がいなくなるというような推計も出ております。 また、高齢化、六十五歳以上人口も全国的に五〇年に向けて四六%強ふえるわけでありますけれども、こちらの方は東京圏の増加が非常に顕著でありまして、八七%ぐらいふえるだろう、ただ、高齢化率そのものは地方圏が一貫して東京圏を上回るという状態が続く、こんな推計をしております。 ○穀田委員 ですから、大臣、全体の人口が減少する中でそういうことが考えられなくてはならぬとおっしゃいましたけれども、全体の人口が減少する将来の見込みの中で、大臣も懸念されていた五十年後を考える、五十年後といいますか二〇五〇年、仮に政府が言っている国土の長期展望ということからしましても、二割、二〇%もの無居住化、地域が消滅する。これは大変なことなんですね。五十年後も百年後も文化とか地方があってほしい。そんなことはない、二割がなくなっちゃうんですよ。そういう事態に我々は直面しているというのが、国土交通省の国土計画局で発表されている、国土審議会政策部会長期展望委員会でもこれは言われている。 ですから、大臣が考えておられる、残したい地方、こうだと言っている、その夢というか希望というものを裏づけるためには、この資料に基づいてどうするのかということが当然問われるわけですよね。 しかも、東京圏は人口が増加する、こうきた。一極集中の結果だと思うんですね。しかし、先ほど計画局長から報告があったように、高齢者が半数近くを占めると。これは推計ですよ、確かに。でも、日本の姿が想定されているわけですよ。 先ほど大臣は、こうしたいという希望なり考え方を語られた。実際の想定はこうなっているということからしますと、こういうのでいいのかと。このような想定に対してどう対応しなければならないと考えているのか。つまり、大臣が述べておられる道筋なり展望なりと、これの想定されているギャップがあるわけですね。これをどうするかという問題が問われているわけですやんか。それはどうですか。 ○大畠国務大臣 今の御指摘でございますが、先ほど国土計画局長から御答弁をさせていただきましたけれども、居住地点の約二割が人がいなくなる、こういうことでございまして、では、大臣が言っている方向性を確保するためにはどうしたらいいのか、こういう御質問でございます。 私も存じ上げている、集落の一番若い人が七十五歳という地域がありまして、大畠さん、十年もしたらこの地域で住む人はいなくなると。十五軒ほどありましたけれども、確かにそういう実態があると思います。 では、どうしたらそういう集落を維持できるのかというと、状況としては、林業、農業、そして漁業を営んでいる地域が多いようにも感じます。したがって、この林業、漁業、農業、農林漁業というものをどう再生するか、こういうところに、集落の消滅し始めている地域の実情を改善するための一つのかぎがあると思います。 したがって、私としては、農林水産業の再生をする、こういうことによって、今地域で起こっている集落の消滅するような流れを食いとめて、そして、一つの文化、歴史を持つ集落を維持するかぎがあるのではないか、そのように感じております。 ○穀田委員 まず出発は、深刻な問題だという認識が必要だと。それと、今の地方の過疎化を食いとめて、本当の意味で活性化、再生する手だてを打つことが必要だというのはだれでも考えるわけですね。 問題は、そのためにも、今お話あったように、農業や林業、さらには水産業など、地域の産業の再生、活性化、それから地産地消などの地域循環型の経済活性化、私がこの間何回も主張をしていますように、住民の安全、暮らしに密着した、小規模、維持管理などの公共事業に転換するなど、そこに切りかえる必要がある。ですから、地方の活性化、再生を困難にする大都市集中を加速するような政策ばかり推進していいのか。ここを改めるべきだと思っています。 そこで、今回の法案で初めて提起された問題について質問します。 先ほども都市国際競争力の強化ということについてありましたけれども、都市の国際競争力強化というのは、その定義の内容と、なぜこういうことが出されたのかということについて、簡単に。 ○加藤政府参考人 お答え申し上げます。 都市の国際競争力とは、グローバル化が進み、国際的な都市間競争が本格化する中で、海外の企業ですとか人材をその都市に呼び込んでくる力であるというふうに考えております。 我が国の都市の地位の低下が懸念される中で、我が国全体の成長を牽引する大都市の国際競争力強化を図ることが喫緊の課題となっているところから、本法案では、都市の国際競争力の強化について、今回、特定都市再生緊急整備地域を設けるなどいたしまして積極的に施策を講じることとしているため、改めて、都市の国際競争力の定義を置くこととしたものでございます。 ○穀田委員 先ほど来の議論の中で、金融の問題やビジネス拠点や企業全体の波及効果、これに倣っているということですね、その上で。 要するに、この法律は、今の建前はそういうふうになって、先ほど来の質問の全体の議論を踏まえますと、簡単に言えば、金融などの外国資本の会社、つまり、今ありましたように、外資を呼び込むために都市を高度化して居住環境を向上させるという意味なわけですね。 今、福島原発事故に関連してこんな記事が出ています。「原発事故に敏感、外資系社員帰国の動き」、読売。「外資系企業 不安感から社員や拠点を移動」、毎日。まさに原発事故の影響が出ています。外資を呼び込もうとしても、こういう事態になるわけですね。 東日本大震災、原発事故が発生した時点で、様相は一変しています。外資を呼び込むため、誘致するための法案を急いでやるよりも、大震災の復旧復興や原発政策の見直しこそ優先すべきだと私は考えますけれども、大臣の所見を伺います。 ○大畠国務大臣 ただいまの御質問でございますが、一番最初に小宮山議員からも、こういう大震災の状況の中であるからそれに特化すべきじゃないかという御意見もあるが、この法律案を提案する理由は何かという御質問もいただきました。 確かに、穀田議員からお話しのように、今は震災対策に全力投球すべし、こういう状況を私も感じておりますが、その一方では、やはりさまざまな形で、今、日本がこの大震災とそれから原子力事故で大変な状況にあり、国際的に、日本はどう動くのか、こういうことが注目されているわけでありまして、そういう意味では、一つのこの法律案をお通しいただいて、日本の国の中の一つの魅力ある都市の再生を図るという動きも私は大変大事じゃないかと。そうでないと、日本の経済はこれからどうなるのかということがかなり論じられ始めておりますので、そういう意味では、一つの指標としてこの法律案をお通しいただいて、日本も魅力ある都市をつくるという動きを始めるんだというメッセージにもなるのではないか、そう考えております。 ○穀田委員 都市の魅力とか日本の魅力というのはそんなものですかね。私は、震災復興に当たって全力を注いで、そのことを同時に経済の起爆剤にする努力をしているという国が望ましいと思いますね。 大体、何かというと、この間の港湾法もそうですけれども、結局、外資を呼び込んで活性化しようと。そんなまどろっこしいことをしなくたって、別に経済を下支えすることは可能なんですよ。 今必要とされているのは、防災のまちづくり。例えば住宅耐震化や住宅リフォーム助成など、それこそ経済波及効果は抜群であることは証明済みなんです。学校の耐震化や公共施設のそういう耐震化、おくれている耐震化を進める方が、一石二鳥でもあるし三鳥でもある。さらに、消防力強化など震災対策体制を強化することが必要であって、大体、港湾でもそうですけれども、国際競争力の強化と銘打ってこの間はやりましたけれども、大港湾時代、スーパー中枢港湾と、大型公共事業に何千億と金を投じてきました。結局、船の来ない港を乱発してつくって、その地域が活性化したか、それで世界が評価したか。評価なんかしていませんよ。だから、こういうところにやはり根本的な問題があるということを指摘せざるを得ません。 最後に一つだけ聞きます。私は、復興問題について一つだけ聞いておきたいと思うんです。 都市のそういう被災市街地の復興に際して、無秩序な行為を防止するための建築制限というのはある程度やむを得ないと思うんですね。しかし、私は、現場、阪神・淡路にいまして、復興のための都市計画決定をする際に、いろいろ問題がありました。仮設住宅を建てたが、被災地から遠く、しかもばらばらで、長年培ってきたコミュニティーが失われたりしたとか、ほとんどの住民が六甲山の裏など遠くの被災地外の仮設住宅に移っている間に、神戸市などが住民の意見も聞かずに短期間の間に都市計画決定してしまいました。 東京新聞が社説で書いていまして、「阪神大震災の際は、被災後一カ月の短期間のうちに、“上”から都市計画決定を急ぎ、住民とのあつれきが長く尾を引いてしまった。今回の大震災は、被災人口も被災面積も桁違いに大きい。あせらず住民が納得するまできめ細かい話し合いをせねばならない。」 こういう、上からの都市計画決定を押しつけるのではなくということを東京新聞も社説で書いているんですけれども、こういう立場で、私は、住民の参加と合意が必要であると思うし、尊重されるべきではないかと思うんですが、その件についての見解をお聞きしておきたい。 ○大畠国務大臣 ただいまの御指摘の被災市街地復興推進地域の指定についてでございますが、基本的に私も、御指摘のとおり、この地域の指定については、市町村において、実際に指定するか否かも含めて、住民の方々のさまざまな意向というものを踏まえ、地域においてよく議論をしていただいて、その上で適切に判断していただくことが重要だと考えております。 ○穀田委員 それは、当然そのことは言うんですよ、どこも。神戸もそう言っておったんです。問題は合意なんですよ。合意が大事なんですね。「あせらず住民が納得するまで」と社説にまで出ているように、本当に納得できることがないと力が出ない。その点は、地方自治の原則も当然そうなんだ。 あわせて私は、住民合意なしに現実に事業は進まないということを考慮しても、住民の参加というだけじゃなくて合意が大切なんだ、そのことを心してやらなくちゃならぬということだけ言って、終わります。 |
|