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【第177通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 きょうは、地震が原因で地盤沈下などが起こっている問題について質問したいと思います。 東日本大震災の被災地、石巻からの声であります。 石巻市の沿岸地域は、今回の地震で地盤が七十三センチメートル以上沈下し、防潮堤や河川堤防の崩壊などによって浸水、冠水の被害が出ています。現にテレビでも放映されました。水道管の漏水点検など、ライフラインの復旧さえままなりません。 こういう事態をつかんでいるかどうか、このような例は石巻にとどまらないと思うんですが、実態の掌握について報告されたいと思います。 ○林田政府参考人 お答え申し上げます。 今回の津波では、委員御指摘のとおり、防潮堤などの海岸保全施設が大きく破壊され、市街地などへの大規模な浸水被害が生じてございます。 また、地震に伴います地殻変動によりまして、岩手県南部から宮城県にかけてのいわゆる三陸海岸から福島県沿岸の広い範囲で、約二十センチメートルから約一・二メートル程度の地盤沈下が発生をしております。このため、陸前高田市、石巻市、さらには仙台湾南部などの沿岸では、大潮や満潮時に、港湾のみならず住宅地にまで冠水被害が発生をしてございます。 これらの地域におきましては、船舶の接岸や港湾の荷役などの活動に影響が生じるとともに、沿岸地域の復旧復興のための海岸堤防の復旧にも困難を生じるほどの被害が出てございます。 ○穀田委員 ですから、今報告がありましたように、重大な被害が及んでいる。聞きますと、塩富町では最高六十八センチメートルの冠水もあって車が動かせない、したがって会社に行くこともできないなどという事態も出ている。震災後、大潮となった最近は、毎日こうした事態が続いていると言われています。 それで、今報告がありましたように、事態としてはそうなんですが、認識はそうなんですけれども、問題はここからなんですよ。これから、満潮、大潮、さらには台風に伴う低気圧など、秋に向けて今後一層の被害の拡大さえ予測され、予想される。放置しておくことはできない。まず、こうした状況を調査し、実態を把握することが当然であります。 そこで、石巻市では当面の応急対策として、大潮で浸水してくる地域の沿岸部に土盛りを張りめぐらせる、それから上流から流れてくる堀の排水ができるようなポンプ場はつくらぬとあかんのと違うか、こういうことなどの対策を行っているとお聞きしています。県や市町村と相談をし、それぞれの地域、場所に合致した応急対策を代行してでも直ちに実施すべきではないか、これが一つ。もう一つは、さらにこれらの地域に対して、防潮堤をつくるなど、時間がかかる恒久対策も国として県や市町村と相談、検討して、実施していくことが必要ではないか。大臣の答弁を求めます。 ○大畠国務大臣 穀田議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。 今回の大震災において、甚大な影響を受けました。従来と違うところはどこかと言われれば、枚挙にいとまがないわけでありますけれども、特に地盤沈下というものが大変大きな影響を与えております。そういうことから、まずは国がやるのか、県がやるのか、市町村がやるのか、さまざまな分野がありますが、国民の立場からいうと、どこがやったっていいと。今御指摘のように、大潮とか、あるいはこれからの梅雨に向けて被害が出ないようにしてほしいというのが地域の率直な御意見だと思います。 そういうことから、今御指摘のように、まず第一に、仮の形になりますけれども、梅雨までに盛り土をするとかあるいは海面と陸地の縁切りをする、そういうことを、大潮や満潮時でも冠水しないように対策を進めなければならないと考えています。 それから、今御指摘を賜りましたけれども、仮設の応急対策の後、とにかくそういう災害が起きないようにした上で、恒久的復旧復興に必要な状況というものを見定めながら、盛り土の補強をしたり、二次災害を防止するための対策、これは高潮それから高波等に対する対策でありますが、これを行っていきたい。そして、そういう形で、まず仮といいますか応急対策をした上で、被災地のまちづくりや港湾における産業機能の復旧復興との調整を図った上で対策を実施することが必要だと考えております。 そういう意味で、今御指摘を賜りましたが、それを自治体がやるのか、県がやるのか、国がやるのか、そこら辺も含めて、それぞれの分担において適切に実施されるように努めてまいりたいと考えているところであります。 ○穀田委員 分担においてと最後にありましたけれども、今度の法案というのは代行の法案を議論しているんですよね。そういう力がないところはということをわざわざやっているわけで、そういう議論をしている最中の話で私は一つ問題提起をしているんです。 それで、大臣からありましたように、被害が出ないようにという言葉は重い話なんですよね。というのは、もはや、満ちてくるとどんどん上がってきて冠水する。それ自身が被害なんですよ。だから、新たな被害というふうに、大臣はどの辺まで思っておられるのか、私はちょっと、大臣の心根まで知ることができないからあれだけれども、実際は、冠水というのは、それ自身で工事ができない、そういうことを含めて、それ自身が被害なんですよ。だから、それをとめなければならない、とまらなければならないんですよね。だから、そういう点をまずはっきりさせなければならない。 そうしますと、きのうさまざまな省からも若干お聞きしていますと、海岸については港湾局や河川局、そして漁港などについては農水省、こう言っていました。結局のところ、だれがこの冠水被害の対策を担当するのか、所管が縦割りでもう一つという不明確な感じが、私は率直に言ってしました。 ですから、わざわざ国と県と市町村というような話をして、えらい横の話をしていながら縦の話をしていましたけれども、行政としての分担の話をしていましたけれども、実際どこがやるのかという問題について言いますと、ずるずる放置するわけにはいかないんです。したがって、きちんとした協議の場を設けるなど、政府全体として対応すべきだ。そして、そうでないと、今大臣がおっしゃいましたように、被害が出ないようにするということは、本当にみんなが安心して、よっしゃ、よかったなというふうに言えないと困るわけですよね。大臣が言ったんだから、地元ではしばらくこれで大丈夫かな、安心だなと思われぬと困るわけですよね。 だから、そういう意味でいいますと、ずるずる放置するわけにはいかない。大臣がおっしゃったように、被害が出ないようにする。そういう意味では、責任を持ってきちんとした協議を設けるなど、具体的な前進が目に見えなければならないと思うんですが、そこは大丈夫ですか。 〔長安委員長代理退席、委員長着席〕 ○大畠国務大臣 今の御指摘でございますが、私も冒頭に、とにかく今回の大震災において、同じように状況を繰り返してはならないと。そういうことで、まずは、今のシステムの中で、国がやるべきこと、県がやるべきこと、自治体がやるべきもの、これがそれぞれ決められているわけでありますが、それを、今回の対策ということを実行する場合にそれぞれが責任を持ってできるのか。それで、私どもの市町村ではできないという場合には県が代行しよう、では、その県ができるのかということを突き詰めると、いや、県の方でも現在の体制ではできませんというときは国がやる。 いずれにしても、とにかくその対策というものをやり切ることが大事でありますから、そういう意味で申し上げたわけでありますが、高潮、高波あるいは台風期においてもそのような被害が出ないようなことをやり抜くというために今回法律案を提出させていただいたわけでありますので、今の御指摘を踏まえて、ぜひ実行できるようにしてまいりたいと考えているところであります。 ○穀田委員 繰り返しになりますけれども、実際に今起きているんだ、冠水しているし動けない、それから秋には大変なことになる可能性がある、こういう二つのことを言っているので、よくやり切っていただきたいと思います。 次に、公共土木施設の被害査定にかかわって質問します。 宮城県柴田町の関係者からの意見です。 復旧の本工事は、激甚災害の指定を受ければ、十分の九あるいは五分の四の補助率で国の補助が来ます。しかし、国の査定を受けるまでの事前調査費用については補助対象が限られています。この間の震災で下水道がどのような被害を受けたかを調査するのに費用がかさむし、負担を軽くしてほしいとの要望が上がっています。 報告によりますと、下水道の事前査定費用というのは、カメラ検査で二千七百七十万円、査定設計費四千万円、計六千七百七十万円だが、補助額は百二十一万八千円という報告もありました。ですから、そういう点での負担を軽くしてほしいという要望が上がっているんですが、その点についてはどのように対処しておられますか。 ○加藤政府参考人 お答えいたします。 今お話しの調査費用の件でございますが、例えば、マンホールをあけまして砂が入っているということが判明すれば、その砂を除去する際からそれは工事費の方で手当てをするということになってございます。ですので、今のお話のような、調査費を切り離すんじゃなくて、工事費で対応できるものについては工事費で対応することによって、地方の負担分の軽減を図っているということでございます。 ○穀田委員 それでは、要するに、国の査定を受けるまでの事前調査費用については、客観的には補助が拡大しているというふうに理解をしていいんですか。ちょっとそこを詳しく言ってください、正確に。 ○加藤政府参考人 お答え申し上げます。 実際に工事にかかる際に事前に調査をいたしますが、その調査費も含めて、工事費の中で対応できるものについては工事費に組み込む、それで助成を行うという考え方でございます。 ○穀田委員 そうすると、国の査定を受けるまでの事前調査費用についてもそういった形でなるべく見ようよ、こういう趣旨だというふうに理解していいということですね。 では、道路の損壊についてもお聞きしたいと思うんです。 この道路の損壊というのは、特に、一カ所当たりの工事費が六十万円未満だと国の補助が出ません。町やそれぞれの自治体は起債を起こして対応する。 同じく柴田町では、報告によりますと、地震により約百カ所の補修工事が発生している。財政の負担も大きいけれども、起債を起こし、工事を発注するまでの事務処理も大変だ。そこで、面的な道路被害として認定して、国の補助を活用できるように弾力的な対応を求めたい。こういう要望が上がっていますが、これに対してはどんなふうにこたえていますか。 ○津川大臣政務官 お答えをいたします。 今御指摘いただきましたように、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法におきまして、市町村の工事につきましては、これは道路に限らないものでありますが、一カ所の工事費用が六十万円に満たないものにつきましては適用除外というふうにされているところであります。激甚災害が指定されておりますから、その点については説明を割愛させていただきますが、ただ一方で、六十万円に満たないような工事の案件も、これが連続的にあるような場合については、例えば百メートル以内にぽんぽんぽんぽんとあるようなものについては、合わせて一カ所と数えるというふうにされているところであります。 これは確認しましたが、道路でありますが、例えば南北方向だけじゃなくて東西も含めて、連続的にある場合には一カ所としてカウントするというふうにされているところでありますので、今御指摘をいただきましたように、面的というのをどのくらいの広さまで数えるかということについては範囲が委員と若干違うかもしれませんが、今、法律的にはそういったところで対応させていただくというところでございます。 ○穀田委員 そこまで聞くと、何かえらいええように聞こえるんやけれども、面的な話が違うという話を最後にちらっと言わはったので、もう一度聞きたいと思うんですね。 私は、まず一つは、六十万円未満だと国の補助がないということ自体が問題だと言っているんです。私、予算委員会で総務省とのやりとりの中で、このごろ補助事業は額が小さいとそれを除外するという傾向が物すごくあって、問題じゃないかといって、当時、鳩山さんがたしか総務大臣のころでしたよ、そういう問題というのはおかしいじゃないかということを言ったことがあります。 ですから、逆に言えば、小さければ小さいほど地元の業者なんかも仕事をするわけだし、それ自身も、単なる平時において額が小さいという問題とわけが違って、今だと、小さかろうが大きかろうが、そんな金がないというのが問題なんですよね。それが一つ。 もう一つは、一カ所としてカウントする。それは、それだけ聞くと、地元はそうかなとか思うんだけれども、解釈をよく見ていると、「災害にかかつた箇所が百メートル以内の間隔で連続しているものに係る工事」、こうくるわけですよね。そうすると、百メーターの中でいくといける、百一メーターであるとだめだ、そんなことはないわね。それはそういうことを言っているんですよ。 私が言っているのは、面的な話というのはお互いに違うこともあり得るなんて津川さんは言うてはるけれども、そんなに違いはないんですよ。私は、そういうことでしゃくし定規でやることはないなということを言いたい。その二つをちょっと。 ○津川大臣政務官 個々の案件については現場の状況に応じてしっかりと対応させていただきたいと思いますが、あえて申し上げれば、百メートルを一メートル超したからだめというような判断には当然なるべきものではないというふうに私は思っております。 ○穀田委員 小さい方の話は余り出なかったですけれども、これはこのぐらいにしておきますけれども、大臣、一応文章はそう書いているんですよ。だから、そういうやり方をしてはだめよと。また、そうしないということは津川さんもおっしゃっていたので、そういうことについても、では現地には言っておきたいと思います。 次に、公共土木施設災害復旧工事代行法案について少し質問します。 今回の法案は、今までありましたから、代行するということで、私どもとしては法案には賛成だという立場ですが、そこで、復旧工事というのはもともと自治体の仕事で、それを代行することによって県や国がかかわることで、すなわち上へ行けば行くほど仕事が大手に行く可能性が高まるんじゃないかという懸念をせざるを得ません。 当委員会で私は、仮設住宅の建設に当たって、地元中小業者への発注を提起しました。大臣は、そういう指摘は大事だと述べました。形式的には整っているということでは進まないんですね。要するに、当時局長は公募しているんだというような話をして、もう、わかっていないなと思ったけれども、公募なんてしているんですよ。公募しているからといって下へ行く話じゃないんですね。あるいは、公募しているからといって地元の業者が入れるわけじゃないんですね。公募しているということでお互いに、プレハブ業界の大手に頼んで、よっしゃとやって、二次、三次、四次と下請になるという仕掛けが問題なので、ですから、そのとき私はそう言いました。 ですから、それともあわせて、今度、市町村の地元業者への発注、それから建築資材等の地元発注、そういった点についても、この場合配慮すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○大畠国務大臣 御指摘の点でございますが、今回の権限代行というもので、自治体の仕事を県が、あるいは県の仕事を国が行うことができるということにいたしますけれども、基本的に今回の大震災の復旧復興工事というのは、地域において被災をした企業等々の支援という意味もございます。したがいまして、私としては、自治体であれ県であれ国であれ、地元の被災をした地域の企業が受注できるような配慮を当然ながら行って、地域の再建につなげていきたい、そう考えているところであります。 ○穀田委員 ぜひそのとおり、それは貫いていただきたいと思います。 そこでもう一つ、建築制限特例法について質問します。 宮城県と石巻市が実施している建築基準法第八十四条に基づく建築の制限と禁止、それから岩手県は示しているんですが、建築基準法三十九条に基づく災害危険地域として指定する条例をすることとの相違点は何なのか。住民にとってどう違うのかということについて、簡単に説明願いたい。 ○川本政府参考人 お答えを申し上げます。 建築基準法八十四条に基づきます制限、これは本法案におきましてもその考え方を踏襲するということにいたしておりますが、公共団体が被災市街地の復興を進めるに当たって、計画的なまちづくりを行う、その障害となるような建築物の建築を制限したいという考え方でございます。いわば、健全な市街地をつくるために必要な範囲で規制を行うものでございまして、一定の期間を限って行われるものでございます。 一方で、建築基準法の三十九条は、災害危険区域の指定を行いまして建築制限をするものでございますが、法律上、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域において住居用建築物の建築の禁止等を行うということでございまして、いわば、建築物の建築を行う方の生命財産等に危害を及ぼすおそれがあるので、そういうところでの生活、暮らしというものはやめていただきたいという観点から規制を行うものでございますから、期間の上限もないということになります。 本法案に基づきます規制は、建築基準法の八十四条を踏襲いたしております。したがいまして、まちづくりの計画というものができるまでの期間、将来のまちづくりについて支障がない範囲で制限を課するという点で、三十九条の規制とは異なるものと考えております。 ○穀田委員 そこで、私権の制限との関係について聞きます。 被災地の復旧復興に当たっては、仮設住宅の建設が一番であります。ところが、土地の取得等ができないということで、進行は遅々としています。自分の敷地に仮設住宅を建設するなどの場合、柔軟対応などが必要ではないか。区域内に居住していた住民の生活再建がおくれる可能性もありまして、その間の居住の安定確保をどうするのかという問題が問われます。その点についてお聞きしたい。 また、復興は、先ほど大臣もお話がありましたけれども、生活とコミュニティーの再建と同時に、地域産業、とりわけ水産業、それとつながる魚市場、加工、倉庫、運送、運輸、それから造船所、飲食業などの振興との連携が極めて重要だと思います。したがって、制限区域の指定に当たって、産業関連との連携はいかに図られるのかについてもお聞きしておきたいと思います。 ○大畠国務大臣 穀田議員のただいまの御質問でございますが、御答弁を申し上げる前に、まず、この法律案というものは、先ほどからいろいろ御議論を賜っておりますが、被災市街地の健全な復興が妨げられないように、期間を限って地方公共団体が建築行為の制限を行うものでありまして、被災者の生活の再建には十分な配慮が必要であると考えているところであります。したがいまして、この復興事業の支障とならない仮設の建築物の建築を認めるなど、被災者には十分配慮するよう、地方公共団体には助言をしてまいりたいと思います。 その上で、ただいまの、被災者の当面の仮住まいとして応急仮設住宅の供給を進めておりますけれども、みずからの住宅を修繕して居住することは規制の対象外であり、また、仮設の住宅を建設しようとする場合にも、各地方公共団体とも十分な配慮がなされるものと考えております。 さらに、もう一つの御指摘でございますが、被災地の復興に当たっては、地場産業の振興等、産業の視点も重要であり、建築制限の期間中であっても、例えば、仮設の店舗等が設けられたり、将来想定されるまちづくりに合致するであろう産業関連施設が立地する場合においては、地方公共団体で配慮がなされるものと考えておりまして、国としても必要な助言を行ってまいりたいと考えております。 ○穀田委員 その最後の合致する場合というのはなかなか難しくて、いや、笑いますけれども、ほんまにそうなんですよ。だれがそれを判断するのかという問題が問われますから、極めて大事なんですけれども、そこを最後に聞いておきたいと思うんです。 結局、この建築制限というのは、復興に向けて、被災市街地復興推進地域を都市計画決定するなどに続いていきます。その際、当委員会で私、質問しましたけれども、大臣が住民の参加と合意が大事だという方向性については歓迎したいと思うんですけれども、問題は、それをきちんとやれるかどうか。今ありましたように、合致するという点でも、ほんまに意見の一致を見られるかどうかというのが問題なんですよね。 そこで、政府の復興構想会議などを見ていてもわかるんです。座長は、議長というんですか、先に増税ありきの発言を行うとか、東北モデルをぶち上げるとかやっています。一方、一番難渋している被災地域の市町村長の全員に意見を伺っていることはしていません。被災地からは、地元を知らないで勝手なことを言うなと批判の声も上がっています。 改めて大臣に提案したいんです。 復興計画を策定するに当たっては、被災者の生活再建を大前提に、被災者の意見を聞くことを最優先にする。例えば、市町村で被災の集落ごとの意見を聞くとか、意見をくみ上げる仕組み、システムをつくるようにするとか、国交省としてそのような方向を促すことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ○大畠国務大臣 私も、これまでのまちづくりについて、日本国内のまちづくりにおいては、なかなか住民の皆さんの意見というのが反映しづらい状況にあったようにも受けとめております。ヨーロッパの方々がなぜ自分の町を愛するか。その一つには、ある町の計画についても、十分にその地域の方々の意見が反映されてまちづくりが進む、そういうことから、自分の町をこよなく愛するというものが出てくるという話も聞いておりました。従来、日本の町もそのような形で構成されてきたわけでありますが、往々にして、御指摘のように、住民の意見が今のまちづくりに十分反映されているのかといいますと、どうも最近ではそういうものが薄れているんじゃないか、そのように私も考えるところであります。 したがいまして、今回のまちづくりについては、復興に向けた都市計画については、都市計画の主たる決定主体が市町村であるため、各市町村において、その基本的な計画の縦覧、あるいは関係者からの意見の提出、都市計画審議会で御議論をいただく、こういう法的な手続を進めていくことになりますが、実際の運用に当たっては、御指摘のように、住民の方々の多様な意見を踏まえて、地域においてよく議論をしながら決めていくことが大変大事だと思っておりまして、そういう意味で、私も、議員からの御指摘も踏まえて、そのようなことが実践されるように努めてまいりたいと考えているところであります。 ○穀田委員 今ありましたが、運用なんですよね。法律上は縦覧というのは、大した意味を持っていないとは言っていませんよ、それはそうなんですけれども、それは参加の一形態であって、まだ合意形成ではないんですよね。 したがって、この間、「さまざまな防災プランも土地使用規制をめぐる議論が並行しないと、絵に描いたモチとなりかねない。一方で私権制限を国が進めることには、地元住民とのあつれきを増す懸念もある。市町村自ら復興計画づくりを主導する原則を明確にすることが、その意味でも重要である。」と、ある社説は報じています。 前々回も私は言いましたけれども、被災後の問題で神戸の話をしまして、そのときに最後の方を引用するのはちょっと、今度はあわせて引用したいんですけれども、「あせらず住民が納得するまできめ細かい話し合いをせねばならない。百年、いや千年の大計なのである。」と。 つまり、百年、千年ということを見通した大計を今議論しようとしているときに、焦って、とにかく上からやってしまうというんじゃなくて、じっくりやれば、復興ですから、例えば道路をこっちにつくるとかこっちにつくらないとか対決はあるでしょう。でも、復興という問題については、お互いの町をどうするかということですから、合意は可能だと思うんですね。そういう立場でやっていく必要があるだろうということを申し上げて、質問を終わります。 |
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