|
【第177通常国会】 衆議院・東日本大震災復興特別委員会 ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。 私も実は被災県の一つである岩手県の出身者の一人であります。被災地の方々に心を寄せて、復旧復興のために私自身も努力をしたいと思います。 私自身は、一九九五年の阪神・淡路大震災の折に住宅再建への個人補償、公的支援を提起し、小田実さんらを初めとする市民運動の方々と個人補償の実現ということで取り組んでまいりました。以来、住宅の再建というのは被災地の住民にとって決定的だということで努力してまいりました。 私たちの復興復旧にかかわる考え方というのは、一人一人の被災者が失われた生活となりわいの基盤を回復して自分の力で再出発できるようにすることであり、それを国が責任を持って行うということだと考えます。それは、憲法が保障する二十五条の生存権に照らしても当然の責務である、こういう考え方であります。 そこで、総務大臣に、災害復旧復興について、国の使命の基本とは何ぞや、ここについてお伺いしたいと思います。 ○片山国務大臣 国の使命という前に、まず災害復興の全体の使命というものがあると思います。私はミッションとよく申しますけれども、ミッションを考える場合には、だれのために、何の目的でということを具体的に考えていけば非常にわかりやすいと思います。 災害復興というのはだれのためにやるかというと、それはもう被災者の皆さんのためだろうと思います。目の前で今、不安それから絶望、そういう状態にある被災者の皆さんの不安をできるだけ解消し、絶望を、いささかなりとも希望を持っていただくように変えていくことだろうと思います。 それが災害復興のミッションで、具体的には一番身近な市町村がこの災害復興に当たるということでありますが、市町村の規模が小さい、どうしても今回のように市町村自体が大きなダメージを受けるということでありますので、それは、県がそれを補完し、さらにそれを全面的に国がバックアップをする、こういう構図だろうと思います。 したがって、その災害災害によって事態も事情も違いますけれども、今回のようなケースには、一般的な災害復興に対する国の役割よりは恐らく数段大きな役割が国には期待されていると思います。 ○穀田委員 この問題について、今大臣が、ミッションというのが、被災者のためにということが、すべての生活をもとに戻すということを含めて大事だという点では、極めて重い発言だと受けとめます。私は、私どもの考え方の、生活の基盤を回復して再出発できるように国が支援をするということに近いと思います。 そこで、一人一人の生活再建を国が支援するという基本スタンスについて、本来総理と議論したいところですけれども、残念ながらいてはりませんので、内閣としての見解を官房長官にこの際お聞きしておきたいと思います。 ○枝野国務大臣 被災地域とよく言われますけれども、もちろん地域として、面として大変大きな被害を受けているわけでありますけれども、そうした地域を構成し、そこで営みを行っているのはそれぞれの個人の皆さんであり、あるいはそれぞれの御家庭、御家族であります。まさに、そうした皆さんの暮らしをしっかりと支えていくことこそが政府の役割であり、まさにこの震災の復旧復興に当たっては、地域が結果的に復興するのであって、そこで営みをしている一人一人の皆さんの暮らしをしっかりと支えていくということが出発点になるんだというふうに思っております。 ○穀田委員 生活を支えていく、これは本来お互いに共通の考え方であります。 ところが、今度の復興基本法を見ますと、復興の土台となるべき一人一人の被災者の生活再建が余り位置づけられているようには思えません。さらには、基本的人権を根本に据えているとはとても、私ははっきり言って思えないということを言っておきたいと思います。 先ほど総務大臣からお話ありましたけれども、総務大臣は、災害対策実施の知事としての体験から、知事時代の著作の中で、現場主義、当事者主義、さらにはスピード感のある施策の実行とも語っています。先ほどもありましたけれども、官房長官もありましたように、被災地の住民の方々の意見を尊重し、同時に、いち早く希望の持てる政治のメッセージをすることが大切だと考えます。それが根本だろうと思います。 そこで、まず、被災者生活再建支援法に基づく支援金の申請と支給の取り組み、対象となる世帯数など、現時点での状況について防災担当大臣に御報告を願いたい。 ○松本(龍)国務大臣 被災者の支援ということにつきましては、私ども、六月の暑い時期、雨の時期、そして七月の暑い時期というところで、向こう三カ月の指針をつくりまして、まさに被災者のための生活の改善に向けて今私どもも努力をしているところであります。 御指摘の被災者生活再建支援金につきましては、五月二十三日までに、都道府県から支給事務の委託を受けております財団法人都道府県会館に約一万六千件の申請書が届いたと聞いております。 支給につきましては、四月二十八日に都道府県会館から被災者へ最初の支援金の振り込みがなされたところであり、本日までに、早期に申請のあった約二千九百件について、審査、振り込み手続を終えたところと聞いております。 ○穀田委員 一万六千件の申請に対して支給件数は二千九百と極めておくれている。やり方を簡素化した割には、被災者、申請者にとっては本当にこれは一日一日を争う事態にもかかわらず、これほどおくれているというのは、どうしようもない事態だと思うんですね。 しかも、処理は、先ほどあったように、国が指定した被災者生活再建支援法人が支給業務を行っているわけですが、事務処理の体制はどうなっているのか。今、被災者は着のみ着のままで、避難生活とか避難所生活とか被災住宅で生活をしている。特に生活資金にも事欠く事態であり、当座のお金がすぐに必要なのに、これで対応できていると思っているのか、お伺いしたい。 ○松本(龍)国務大臣 私どもとしても同じような認識を持っておりまして、データ入力等による人員の増強などの改善方法も提供しているところであります。 今、都道府県会館の体制につきましても、人員を四名から十二名に増加するなど、強化が図られているところでありますけれども、御指摘のように、都道府県会館の事務処理体制は改善後でも十分ではないと考えられております。被災者に迅速な支給がなされるよう、国としても、都道府県会館に対し、さらに私自身も働きかけてまいりたいし、国ができることをしっかりやってまいりたいと思います。 ○穀田委員 都道府県会館に幾らふやせと言っても、これ以上人数を百名も二百名もふやすわけにはいかないわけですよ。だから、国としてどうできるかということを考えなくちゃならぬ。もともと、これは現地で処理すべきじゃないかという意見もあるわけですよ。問題はその視点なんですよ。どうしたら早く被災者に届くか。一日を争っていることに対して、いや、こんな指導をしますとか、ふやしますという話ではいかないということなんですよ。それが一つ。これを改善しろということを願いたい。 もう一つ、未曾有の災害のもとで、基金の運用だけでやっていけるのかということなんですね。一次補正との関係でいえば、仮に十万世帯とした場合でも、基礎支援金の百万円として合計一千億円必要です。半分の五百億円負担としても、二〇一〇年末に五百三十億円しか基金がない。基金が底をつくことは、だれの目にも明らかであります。今日の制度のもとで支給を続けていくにはどうするつもりなのか、そのことについてお答え願いたい。 ○松本(龍)国務大臣 お答えをいたします。 御指摘のとおり、阪神・淡路の経験から被災者生活再建支援法ができました。先生が岩手の御出身だと初めてきょうは知りましたけれども、本当に、経験からこれができてきて、各都道府県の相互扶助という観点から基金を積み上げていきながら国も半分やっていくというシステムができ、最終的には五百三十八億残って、私ども、それに見合う形で第一次補正で五百二十億要求をして、確定をさせていただいたところであります。 また、全国知事会からは、国と地方の負担のあり方について見直しを求める意見も当然ながら出ております。今後、政府部内でこれは十分な議論を行いたいと考えております。 いずれにせよ、今おっしゃったように、被災者に支援金が円滑に図られるよう、先ほど、申請の問題あるいは都道府県会館の督励等も含めて、私どももしっかり取り組んでまいりますし、割合につきましても、防災大臣として責任を持って調整をしてまいりたいというふうに思っております。 ○穀田委員 基金ではもう底をつくのは目に見えているんです。検討するでは間尺に合わないんですよ。決断をしなければならないということを言っているんですよ。 というのは、幾ら政府の側が金を仮に補助金という形で用意したとしても、基金という制度をやる限り二分の一を補助する仕組みなわけだから、肝心の自治体の方が積まなければできないということになるわけなんですよ。しかし、今は不足しかかっている、底をつきそうだ。ましてや、今後、梅雨のシーズンだとか台風のシーズンだとか、新たな災害が生まれる可能性もある。また、基礎支援金の請求自身もふえる可能性もある。一番大事なのは、その上、住宅再建の加算支援金二百万円の支給もあるわけなんですよ。 だから、今は、検討するということでなくて、どういう決断ができるのかということが迫られているんですよ。だから、知事会も、その改善方について、新しい制度をつくってもらう以外にないということを言われているわけですよ。 五百二十億円積んだ段階で、既にこれは限界だとわかっているわけです。そこの点を私は言っているわけです。どう決断されるのかということについて今いよいよ求められると思うんです。いかがですか。 ○松本(龍)国務大臣 基礎支援金、加算支援金含めて、今御指摘のことはよくわかります。ですから、今、総務大臣あるいは財務大臣等と検討してまいっておるところであります。 ○穀田委員 検討してまいっているところでありますって、もうこれはわかっていることやからね。笑っている場合じゃないんですよ。 被災者の方が、よっしゃと。検討するけれども、ともかくこれについては出すように体制を変えるということが必要なんですよ。その問題の後の、どういう体制かとか、それからどういう金の負担をするかというのは、それは後なんですよ。問題は、基礎支援金がこれだけ要る、加算金も要る、そしてふえる、これには絶対対応する、その結論がまず必要なんです。そこは大丈夫なんですね。 ○松本(龍)国務大臣 おっしゃるとおり、当然のことながら、基礎支援金も加算支援金も満額支給をする、その決意は変わりありません。 ○穀田委員 この決意をやろうと思ったら、体制を変えなくてはならぬという結論です。それでよろしいね。はい。 では次に、地域における足の確保について一つ質問したいと思います。 五月十一日に、私は、三陸鉄道など、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた地方鉄道の復旧に関して質問をしました。大畠国土交通大臣は、地域の方々がもう一度安心して乗ることのできる鉄道を復旧できるよう国として全力を尽くす、第二次補正予算に向け、補助率の見直しも含め、必要な支援策について十分検討したいと答えました。 その後、どのように検討し、どこまで国として復旧支援するようになったのかについてお答えいただきたい。 ○大畠国務大臣 穀田議員の御質問にお答えを申し上げます。 ただいま御質問の中に私の答弁内容等が入っておりましたが、そのとおりであります。それで、どういう形で、具体化はどうなっているのか、こういう質問でございます。 この三陸沿岸の三陸鉄道、非常に壊滅的な打撃を受けておりまして、従来のパターンで復旧できるのかというと、穀田議員がおっしゃるように、難しいという状況は私も理解しております。 そこで、私としては、今、国土交通省の担当の方に、知恵を出せ、知恵を出して、何としてもここのところに電車がもう一回通るような形にするようにあらゆる努力をしよう、こういうことをしておりまして、今、穀田議員からもお話ありましたように、第二次補正の中にも、何らかの形でこれが結果的に資金を確保できて、鉄道復旧ができるような体制をつくれ、こういうことを指示しておりまして、明確な答えがまだ返ってきておりませんが、第二次補正の中にこれを織り込んで、ぜひとも鉄道復旧に全力を尽くしてまいりたいと思います。 ○穀田委員 わかりました。知恵を出せと。あわせて金を出せと言っておきたいと思います。 鉄道だけじゃありません。受けた被害をできるだけ軽減して、一〇〇%もとに戻すのは無理としても、できるだけもとに戻すようにしてあげる、これは総務大臣の著書による発言でもあるし、私どもが阪神・淡路大震災その他の運動のときに何度も聞いた言葉であります。私は、そういう立場からすると、地域の足として被災者の暮らしを支えてきたローカル線だからこそ、これを何とかするということはとても大切だと思っています。 問題は、被災者の生活をもとに戻す。これは、日常生活に戻すということも一つのキーワードだと思うんですね。そうしますと、買い物だとか、それから病院への通院だとか、日常生活のリズムを取り戻すことが大事だ。その点では、被災地の足を確保する重要性は論をまちません。 津波で多くの方々が車を失っているんですね。だから、被災したことによって足を奪われている。そこで、被災地で壊滅した交通手段を回復するものとして、自治体などが努力しているバスやタクシーの運行、利用に対しても国が援助すべきではないのか。被災者の支援という立場から、防災担当大臣にお聞きします。 ○松本(龍)国務大臣 御指摘の点は、私どもも最初から問題意識を持っておりまして、実は、被災した地方公共団体も移動手段がないということが当初ありましたので、三月二十二日の時点で、軽自動車、ワゴン車を宮城県に送っております。これは大変喜ばれました。 御指摘の移動手段の確保は、通学や通院、買い物など、生活の平常化に向けて重要な要素となると思っております。今般の震災では、バス、タクシーにも甚大な被害が発生をして、まだ完全復旧には至っておりません。被災地域の交通ネットワークの復旧に向けて、地方公共団体や事業者等の被災状況を踏まえながら、関係省庁において既存制度、既存支援制度の運用の弾力化も含めて検討が行われております。 いろいろな意味で、これからもさまざまな関係省庁と連絡をとりながら努力をしていきたいと思っております。 ○穀田委員 報道によりますと、釜石市では、津波で鉄道などの公共交通機関が壊滅的な被害を受けストップしたことから、震災の翌日からですよ、翌日から被災者を避難所に輸送する無料バスを運行している。その後、循環バスを徐々にふやして、現在は十五路線に。平日は平均三千四百人、休日は二千五百人が利用。岩手県内では、大船渡市や陸前高田市なども無料バスを運行しています。宮城県南三陸町でも、無料バス十一路線四十六便で運行している。病院や仮設役場への足になっています。他方、タクシーの会社などについても委託をして、同様のことを行っている地域もあります。 これは、今大臣からもお話があったように、事業者、一度そういう被災を受けた、そしてまた事業の再開を断念した業者に対しても、そういう支援をすれば、自治体がやっているのが、営業を再開しようかという後押しにもなっているわけだし、雇用にもつながっているという事態であります。 したがって、私どもは、補完する取り組みの援助を行うことが必要だと思っているんですけれども、先ほどあったように、今までの既存の弾力化だけではなくて、先ほどは国土交通大臣からありましたけれども、あらゆることを、こう言うわけですよね。だから、同じように、必要に迫られて自治体はあらゆることを行っているんですよ。それにこたえるべく、例えば、私は、努力しますと言うんじゃなくて、どこに視点を置くかということなんですよ。 例えば、国土交通省でいいますと、地域公共交通確保維持改善事業ということがある。それから、例えば厚労省でいいますと、通知を出していて、災害救助法の弾力運用についてということで、近隣の銭湯等の入浴施設の利用券だとか送迎用のバスの借り上げ費用等の実費について、避難所設置のための費用として災害救助費等負担金として国庫負担の対象になる、こうしているわけですよ。だから、弾力化はここまで来ているわけですよ。 問題は、このことを一歩進めて、防災担当大臣として、被災を受けた地域の足を確保するために、それらの被災者のための、利用者の側に援助するという形も含めて考える必要があるんじゃないか、こういうことを私は言っているんですが、いかがですか。 ○松本(龍)国務大臣 先ほど申し上げましたとおりであります。今おっしゃったことも含めて、さまざま検討してまいりたいと思います。 ○穀田委員 言葉で弾力化ということはわかるんですよ。そうではなくて、今必要なのは、実際に既に行われている、先ほど言いましたように、震災の翌日から釜石なんかはやっているんですよ。そのことによって、先ほど一番最初に、官房長官からもありましたように、生活が再建できるかどうか。そのことによって地域が再建できる、こういうわけでしょう。 そうなると、官房長官、やはり、こういった問題について、視点を二つ当てる。つまり、一人一人の生活が、営みが、営みですよ、これはまさしく営みを補助する。そのことによって地域の再生にもつながる。こういう点では、それらに対してのしっかりとした援助も含めて、すべきだと思うんですが、改めて伺っておきたいと思います。 ○枝野国務大臣 今御指摘をいただいた住民の皆さんの足の問題は、本当に重要な問題だと思います。今の制度の弾力化に加えて、防災大臣のもとで、関係省庁、さまざまな工夫も今検討をいただいておりますが、同時に、これは恐らく、今御指摘いただいた中でも、循環バスを回らせているところと、それからあと地元のタクシー業者さんと契約等をして御協力いただいているとか、地域の事情によっていろいろなやり方を工夫されているんだというふうに私も承知をしております。 そうした意味では、個別のお金の出し方として支援をするのもありですし、それからもう一つは、一括交付金的に、まさに地域の事情に応じてどういう使い方をしても足の確保あるいは生活の支援ということにつながるような出し方と、両面からしっかり検討をして、できるだけ早く、実際にそういった工夫、努力をしていただいている市町村、あるいはそれを利用されている皆さんの便に供せるようにしたいと考えております。 ○穀田委員 今、最後にありましたから、実際に行っている現場でそういう援助をできるようにしていただきたいと思います。 最後に一点だけ、瓦れきの撤去の問題について伺っておきたいと思います。 この瓦れきは相当数あるわけですよね。これを八月までに、生活にかかわるところについては撤去するということなんですけれども、実は瓦れきというのは、陸だけじゃなくて海にもあるわけですよね。陸のものは大体二千四百八十六万トンぐらいだといっていますけれども、海の方にもあるわけですね。それらを八月末までに一つの仮置き場に置くということが大丈夫かということと、私は、一番大事なのは、次の方策が見えないことがこの停滞を生んでいるんだと思うんですね。したがって、私は、今大事なのは、何がネックになっているか。そして、それを突破するためには、政府を挙げて、国土交通大臣なども記者会見で、これらの問題は単に環境省の問題と違うということを言っておられます。ですから、姿勢として、政府が挙げてやるべき問題と、この二つの点についてお答えをいただいて、私の質問を終わります。 ○松本(龍)国務大臣 私どもも、八月末までに住居の近くにある瓦れきの撤去ということで、各市町村に環境省の職員を派遣したり、さまざまな技術、あるいは機材、人材、そして処理施設等々も含めながら、全力を挙げて努力をしていきたいというふうに思っておりますし、国土交通省も、海運や鉄道等々でさまざま、大きな重機の問題も含めて、いろいろマッチングをしながら、私どもも全力を挙げて、関係市町村、あるいは県、あるいは協議会等々と連絡をとりながら努力をしてまいります。 ○穀田委員 終わります。 |
|