国会会議録

【第177通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2011年5月25日)




○穀田委員 きょうは、国鉄債務等の処理法案について質問します。

 まず、本法案は、旧国鉄の土地やJR株式の売却などによって生み出された利益剰余金、〇九年度末までに一兆四千五百億円、このうち、東日本大震災の復旧財源に充てるために国庫返納された一兆二千億円を除く部分を、利益剰余金と今後の収入を、経営難を抱えるJR三島、貨物など、鉄道支援に充てることができるようにしようというものであります。

 この利益剰余金の原資は旧国鉄の土地やJR株式の売却収入で、これを活用してJR三島、貨物会社や並行在来線の経営支援などを行うということは、国民の足を守る上で大事だし、CO2削減など環境保護の視点から見て必要だと考えます。したがって、法案には賛成の立場であることを表明しておきたいと思います。

 しかし、考えなければならないのは、そもそもJR三島、貨物会社や並行在来線の経営が困難になっている原因は何かということであります。

 まず確認しますが、無利子貸し付けするJR北海道、JR四国の経営状況はどうなっているのか。営業利益と、経営安定基金運用収入を加えた経常利益について報告していただきたいし、もう一点、経営困難に陥っている理由は何と考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。

○久保政府参考人 JR北海道会社につきましては、平成二十二年度決算で営業損益は二百五十九億円の赤字であります。経営安定基金の運用益が二百四十億円ございまして、これを含めた経常損益は四億円の赤字となっております。

 また、JR四国につきましては、平成二十二年度決算で営業損益は九十億円の赤字であり、安定基金の運用益七十四億円を含めた経常損益、これもまた十五億円の赤字となっております。

 このような厳しい経営状況に陥っている最も大きな原因というのは、低金利が続くことによりまして経営安定基金の運用益が減少していることが最大の原因であるというふうに認識しております。

○穀田委員 今の報告で明らかなように、JR北海道、JR四国は、鉄道事業という本業だけでは黒字にならないどころか、経営安定基金を足しても赤字だという現状です。

 これはもともと、いわゆる国鉄改革のときに、収益性が低くなることが予想されたために、三社合わせて一兆二千七百八十一億円を経営安定基金に積んで、その運用益を収入に充てて経営できるような仕組みをつくったわけです。この運用益を当てにして経営を支える仕組み自体が極めて特殊ではないか。このような民間会社がほかにありますか。ここを明らかにしていただきたい。

 そして、このような方式をいつまでも続けていいものでは決してないと私は考えます。鉄道事業など本業による営業利益で事業が成り立つようにするのが本筋ではないか。いつまでこの方式を続けるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

○久保政府参考人 昭和六十二年の国鉄改革時に、JR北海道会社、JR四国会社、JR九州会社につきましては、収益力の大きい路線がないということから、経営安定基金を法律上認め、つくって、それの収益で赤字補てんをしていく、こういう仕掛けをつくった会社であります。通常の会社に一般的にあるものではないことはそうでありますが、この経営安定基金が確実に運用益を生むことによって、営業赤字が余儀なくされる鉄道事業の補てんをしていこう、そういう仕掛けを昭和六十二年時には考え、つくったものであります。

○穀田委員 仕掛けはわかっておるのやけれども、そういうのがいいのか、これをいつまで続けるつもりやと。今、鉄道局長は一般的ではないと言って、一般的というのは、では、特殊でも一つや二つほかに、この日本社会の中で十も二十もあるのかというと、一つもないんだ。それを、一般的ではないと。そんなあほなことを言ったらあかんで。一つしかないんだ、こういうことは。こんなことを続けていいのかという話を聞いているわけですやんか。事実はわかっています。こういう方式は続けていいのか。どないです。

○久保政府参考人 今回、経営状況の厳しい北海道会社、四国会社には経営安定基金の積み増しを行いますが、一方で収益基盤の強化も図らねばならないということで、車両だとか設備関係の古くなったものに対して無利子貸し付けだとか助成金を交付して収益構造を強化していただく、それもあわせもって経営自立を達成していただくということであって、支援をいつまでも続けるというわけではありません。

○穀田委員 支援を続けるのがあかんと言っているんじゃない。こういう仕掛けを続けるのがいいのかと言っているわけです。

 大もとをたどれば、これは、国鉄を分割・民営化したいわゆる国鉄改革の時代にさかのぼらなければならないことはだれもが承知しているんです。お話あったように、またこの間の議論を通じて明らかなように、もともと、もうかるJR東日本、JR東海、そしてJR西日本など本州と、収益性の低いJR三島を分割したところに行き着くわけですよね。国鉄改革時代、そういう問題、ずっといろいろその後も民営化という問題がありますよ。公団等で、NTTにしろ、それから道路公団にしたって、三島を切り離した例はないんですよね。

 私どもは、民営化そのものに問題があると考えているし、あの分割・民営化が間違っていると思っているわけですが、そういう全体の大きな点はおいておくとしても、この分割については失敗だったと認めるべきじゃないだろうか。

 そして、この際に、JR本州などとという形で一体的な運営形態にすることなど、見直すべき時期に来ているんじゃないか。根本のところが今間違っている、そこに着目すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか、大臣。

○大畠国務大臣 穀田議員から、国鉄民営化の本質に切り込む御質問を賜りました。

 この当時の国会での論議というのは、私もその当時まだ政治家になっておりませんでして、マスコミ等を通じて、さまざまな論議が展開されたことを承知しております。果たして国鉄民営化というのが、今の御指摘のように、そのもの自体がどうだったのか、こういう観点からの御質問でありますが、その当時はその当時で、さまざまな論議の中で一つの結論として今日を迎えているわけでありまして、さかのぼってその当時のものがどうだったのか、こういうことは私自身も改めてよく検討はしてみたいと思いますが、しかし、今日の課題をどうするのか、このところについては、私自身もしっかりと責任を持って対応しなければと考えております。

 いろいろと山本議員からも御質問を賜りましたけれども、JR北海道あるいはJR四国、JR九州、JR貨物とか、それぞれ切り分けて、自立しなさい、こういうことになったわけですが、そもそもそのこと自体に非常に無理があったんじゃないかという指摘については、環境的に、経営環境としてはそのような環境にあったろうと思います。そこで、その経営的な困難な状況を何とか支援するためにということで、経営安定基金というものをつくって、その運用益で損失をカバーしなさい、こういうことになっておったと承知しておりますが、その運用益が、最近の低金利等でなかなかうまく運用できずに、今日の非常に厳しい状況に至っていると考えております。

 したがいまして、無利子貸し付け方式による経営安定基金の積み増しを行うことにより、何とか経営の安定化と公共交通機関の安全性というものを確立するために寄与していただきたいということから、今回、法律案を提出させていただいたわけでありますが、先生からの御指摘を踏まえながら、さらに、この四つの会社が、非常に厳しい中にも、国民の足としてあるいは国民経済を支えるものとして安定して経営ができるように、種々の工夫をしていきたいと考えているところであります。

○穀田委員 民営化そのものについて私どもは異論があるわけですね。でも、仮にそれがいろいろ意見が違ったとしても、では分割という問題はどうだったのかと考えますと、今大臣からもありましたように、やはり切り分けそのものに無理があったんじゃないかというのはだれもが思っているんですよ。最初から無理だから安定基金という金をつぎ込む、こういう仕掛けをつくっているんですよ。だとしたら、そのことの、無理があったということの反省の上に立っていろいろな支援をするメニューをつくるということも、それはそういう手はあるでしょう。でも、それをずるずる続けてきて、結局、その土台となっている運用益がままならなくなる、そうしたら積み増しする。こういう仕掛けを、やはりここのところをもう一遍考えなくちゃならぬのじゃないかということを私は言っているわけですね。

 ですから、今日の課題をどうするかという場合に、設定をする礎は、やはり最初に無理があった、だとするとここを変えようというふうに考えないと、びほう策をいろいろやっても結局ずるずるいってしまっていて、先ほど来から出ているように、古い車両が残っているだとかという事態になっているわけですよね。そうなってきますと、やはり一番根本にある、私と大臣、何度も繰り返し、公共交通の基本は絶対安全といいますか、そういう議論をしてきたわけですね、そこに立とうと思えば、やはり根本を変えなくちゃならぬのじゃないかということを改めて提起しておきたいと思うんです。

 そこで、では別な方はどうなっているかということで、JR三島と比較しますと、その一方で、首都圏を抱えるJR東日本や東海道新幹線を持つJR東海は大もうけしているんですね。比較しますと、これは本当に大きな差が出ているわけですね。

 鉄道網が収益によって左右されて、住民の足や、移動権、交通権の角度から見れば、住む地域によって大きな格差が生じているのが現実なわけです。とりわけJR東海は、リニア新幹線の建設を自己資金で実施するというわけです。よっぽどもうかっているんだと思うんですね。

 そこで、リニア新幹線について二つ確認したい。

 一つ、JR東海が計画するリニア新幹線の建設計画について、東京―大阪間、東京―名古屋間の総事業費、開業までの期間はどうなっているか。あわせて二つ目に、新設するリニア駅などの建設はどこが費用負担するのか。もし駅を建設するとなれば、自治体や国がどれだけ費用負担することになるのか、お答えいただきたい。

○久保政府参考人 JR東海は、総事業費について、東京―大阪間については九兆三百億円、東京―名古屋間については五兆四千三百億円としております。名古屋開業は二〇二七年、大阪開業は二〇四五年を前提としたものであります。

 駅の費用負担については、JR東海は、東京都、愛知県、大阪市の駅を除いて地元の全額負担としておりますけれども、先日提出されました、法定の審議会であります交通政策審議会の中央新幹線小委員会の答申におきましては、駅の費用負担について、駅の位置について沿線地域と調整がなされた後、JR東海が費用負担に関してみずからの考え方を示すべきだと。「仮に、その考え方では関係者間で合意が得られない場合、合理的な負担のあり方について、その検討への国の関わり方も含めて、調整が行われることが望まれる。」というふうに答申をいただいているところであります。

○穀田委員 JR側は、東京と名古屋と大阪を除く駅は全部ほかのところがやれ、自治体がやれと言っているわけですね。何ぼかかるかと調べてみたら、すごいけたなんですよね。地上駅にした場合には三百五十億円、地下駅で二千二百億円、こういう考え方なんですよね。

 だから、単なる、リニアの問題について東海が全部やるみたいな話をしているけれども、それは建設の費用なのか知らぬけれども、駅は全部、地元自治体持ちなんですよね。そんなことまで考えているんですよ。

 そこで、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた地方鉄道の復旧、きのう三陸問題については議論しましたが、大震災の被災者の生活再建支援だとか被災地の復旧復興に巨額の財政出動が求められているときに、その財源をどうするかというような問題が出てきます。巨額の建設費用を要するリニア新幹線をそんなに急いでつくる必要があるのか、大震災支援を優先すべきではないのかなど、各方面から意見が大きくなっています。

 今、国交省が触れた、中央新幹線小委員会が先日、答申をまとめ、国交省に提出しました。その小委員会が審議の過程で、リニア新幹線の建設に関して国民からの意見を聞くパブリックコメントの募集を実施しています。昨年以降、三回実施していますが、寄せられた意見のうち、早期に整備すべきという意見と、整備に反対、計画を中止または再検討すべきを比べると、どのように推移しているのか、報告されたい。

○久保政府参考人 中央新幹線小委員会におきますパブリックコメントでございますけれども、これは計三回実施をさせていただいています。それぞれ、一回目が七百九十三件、二回目が九百九十六件、三回目が八百八十八件の御意見をいただいております。

 早期整備、あるいは大阪への同時開業を求める御意見は、一回目、二回目、三回目ですが、百四十三件、三百件、四十二件と推移しています。一方、中央新幹線の整備に反対する御意見については、最初は十二件、百四十二件、六百四十八件と推移しております。

○穀田委員 そこで、配付している資料を見ていただきたい。「パブリックコメントで寄せられた主な意見と理由」というのを配付しています。

 今報告があったように、三月十一日の大震災の後の四月、五月の実施でいいますと、いわば、早期に整備すべきだと言っているのは十六件、それで、中央新幹線整備に反対、計画中止または再検討すべきだというのが六百四十八件ということなんですよね。

 しかも、従来からの意見では、現状以上の速度の向上の必要性を感じないとか、環境破壊が懸念される、財政問題などが理由の中心でした。ところが、大震災後の今回はさらに、皆さん見ていただくとわかるんですが、震災の影響がおさまっておらず、新たに大規模事業を進めるような社会的状況でない、整備の費用やエネルギー、人的資源を被災地復興に充てるべき、原発事故が収束しておらず、今後の電力供給が不透明などが加わっていることは、ここを見たらわかりますよね。

 私は、至極真っ当で当たり前の意見だと思うんですが、大臣の見解を問いたい。

○大畠国務大臣 穀田議員の方から、「パブリックコメントで寄せられた主な意見と理由」という一枚の表を見せていただきました。

 この表を見ますと、整備すべきとするものは、前々回が百三十四件、前回が八十三件、今回は十六件ということでありますし、中央新幹線整備に反対、計画を中止または再検討をという御意見については、前々回が十二件、前回が百四十二件、今回は六百四十八件、こういう一覧表を見せていただきました。「東日本大震災の影響が収まっておらず、新たな大規模事業を進めるような社会的状況ではないため。」というような御意見ですとか、さまざまな御意見がこの表の中にあらわれております。

 今回のパブリックコメントには、震災後の、私も穀田議員もそうだと思いますが、大変大きな衝撃を受け、どうあるべきかという、非常に状況的には混乱している状況、社会的な状況も反映してのパブリックコメントの内容になっていると思います。

 ただ、私は、確かにこういう国民の御意見というものは真剣に受けとめなければならないと思いますが、私たちは未来に対する挑戦というものを断念してしまっていいのかという思いもございます。東海道線があったときに東海道新幹線というのができまして、随分速いものができたなと、あのときの衝撃というものを、私も子供のころを覚えておりますけれども、やはり、常に何かに挑戦するという姿勢もある程度残しておかなければと思っております。

 私も会社勤めのころに、力は八割で仕事をしろ、二割は未来に対する研究あるいは開発の意識を常に持てということを先輩の方から教えられたことがありますが、そういう意味では、確かに国民の皆さんから、現在のこの日本の国の状況の中では中止とかあるいは再検討すべきだろうという御意見がございますが、さらに、私どもとしては、基本的には、確かに、耐震性とか安全性とか地震への対応というものはどうなのかということの視点も含めていろいろと検討を進めていかなければならないと思いますが、今後ともそのような御意見を十分に賜りながらも、答申がまとめられましたので、この答申あるいはこのパブリックコメントというものも十分踏まえながらも、未来に対する希望となると思われるリニアプロジェクトが答申の中でもさまざまな御意見をいただきながらまとめられておりますので、これらを最大限尊重しながら、中央新幹線に関する手続を進めさせていただきたいと考えているところであります。

○穀田委員 大臣、今、耐震性の問題を初めとした国民の世論の問題や御自身のそういう見解を述べられました。答申にはそういったことが反映していないんですよ。答申を見ましたか。答申の中にはそういうことについて排除されているんですよ。大体、八七%の確率で発生が予想されている東海地震等に対する議論も無視されているという現状があるわけですね。だから、大臣が言っておられるそういう今の国民の感情と、それからこういった問題について、まず反映されていないということが事実だ。

 しかも、私、調べて驚いたんだけれども、新幹線の被害というのは八割が架線と電柱に集中していまして、架線と電柱の被害というのは千カ所、それから四月七日の余震で四百七十カ所も出ているんですよ。そういった問題についても反映されていないという情けない実態なんです。これが一つ。

 もう一つ、希望と言うけれども、希望というのは、平時においてはそういうことはあり得るでしょう。今大事なのは、希望というのは、少なくとも今の絶望からどう立ち上がるかということでの希望なんですよ。そのことを無視して、何か、そっちはもうければいいわなんという話じゃないということも改めて。ここがいつも違うところなんですね。

 そこはしかし、災害を受けたときにどうするかという問題で、きのうも私、災害復興特で議論しましたよ。そのときに、復興の位置づけについて私は一番最初に語りました。片山さんも、それから枝野さんも、ミッションということを言っていました、理念、使命。その使命の根本は何かということからしますと、希望を語るということについていえば、今の負担を軽減し、それをもとに戻すということによって初めて希望が生まれる、こういう角度が大事だということを彼らは言っていました。

 ですから、物事をつくるということについての希望や展望ということと同時に、それは通常の形ではそうだけれども、この事態を克服するということについていえば、その希望の最大の問題は復旧であるということについてあえて申しておきたいと私は思います。

 そこで、最後に、並行在来線の問題について、これは希望を語ってもらわなあきませんので、それでは希望を言っていただきましょう。

 この並行在来線というのは、第三セクターの経営状況が厳しさを増しています。これはなぜなのかといいますと、新幹線開業に伴ってJR会社が経営から撤退することを認めた政府・与党合意にあります。新幹線を営業するJR会社は、もうかるところだけをとって、おいしいところをとって、赤字になる在来線は切り離すという身勝手を政府が認めているからこの事態が起こっています。

 この政府・与党合意というのは、法律事項でも何でもありません。民主党政権にあって、政府・与党合意を白紙に戻すということで前原大臣などの発言もありましたが、その見直しはどうなったのか、旧政権とどう変わったのか、簡単に言っていただきたいと思います。

○大畠国務大臣 ただいま御質問をいただきました並行する在来線の課題でございますが、これは、以前の政権時代に、整備新幹線の着工の際には並行在来線の経営分離について沿線自治体の同意を取りつけること、こういうことで前提として動きました。その後、政権交代後についてもこの考え方というのは同様としておりまして、整備新幹線と並行在来線をともに経営することはJRにとって過重な負担となる場合があることから、この場合には、沿線自治体の同意を得た上で、並行在来線を経営分離することとして今日に至っております。

 ただ、今日、この並行在来線の経営環境が非常に厳しい中であり、その維持あるいは経営の安定化を図ることは議員御指摘のように大変大事であります。今回も、貨物調整金制度の拡充を行うなど支援を強化することとしているところであり、引き続き並行在来線の支援については適切に対応してまいりたいと思いますし、この並行在来線というのが地域の方々の足になっているわけですから、ここのところは、議員からの御指摘を踏まえて、私も力を入れて、その運行、経営がしっかりとなされるように考えていきたいと思います。

○穀田委員 この最後の発言はとても大事だと思いますし、きちんとやってほしいと思うんですね。

 前原元大臣は、並行在来線の経営責任についてこう言っているんですね。現在までの整備新幹線というもののあり方は、JRにとっては極めてリスクの低い、いいお話でありました、覚悟はやはり事業者であるJRにも求めていかなくてはいけないと思っていますと語って、そこで白紙だということを言ったわけですよね。

 大臣は今、地元自治体ということを強調しました。私は、最後にそのことだけ言っておこうと思うんですね。

 合意していると。それは、やり方のときには合意しなきゃできないことは確かなんです。しかし、今、御存じのとおり、要請書も出ているわけです。在来線関係道県協議会というのは、二〇一〇年十月に、「並行在来線への財政支援等について」ということで要望していて、支援の枠組みの見直し、再検証、JRの支援のあり方、それからJR鉄道資産の無償譲渡なんかを求めています。

 大臣が最後に答弁されましたけれども、貨物調整金制度の拡充それ自身が悪いわけじゃありません。しかし、そんなみみっちい話をしているんじゃなくて、今あったように住民の足だと言うんだったら、新たな法をつくってでも国民の生存権、そして交通権を守る、住民の足を守る、そういう施策を実行するぐらいのつもりで臨むべきだと思うんですね。

 大体、JRというのは、自分たちがもうけないから、経営分離し、営業をとめる。地域の住民の足を守るという公共のあり方さえ平気で放棄する。大体、資産を有償となれば、第三セクターは出発から負債を抱えることになる。廃止して住民に迷惑をかける。それで、廃止そのものでももうけようとする。こんなべらぼうな話があるかということだと思うんですね。

 だから、ここは、そこの根幹を握って住民の足を守るという決意をやろうと思えば根本的な検討が必要だと思うんですが、その点だけ最後にお聞きしておきたいと思います。

○大畠国務大臣 御指摘のように、在来の線、いわゆる並行して走る在来線を含む地方鉄道でありますけれども、今回、予算の中にも、地域交通機関を守るという観点から、確保、維持、改善を支援するための新たな補助制度というものを創設させていただきました。

 ただ、穀田議員から御指摘のように、これは鉄道だけじゃなくて、先ほど山本議員からもお話がありましたが、地方の公共交通機関というのをどう位置づけるのか、当然ながらこういうことも踏まえて検討をしていかなければと思います。

 地域の方では、民間バスが経営が成り立たなくて廃止をする、しかし、住民の足が奪われてしまうということで、自治体が直接バスを運行する事業を展開しているところが随分ふえ始めています。

 そういう意味では、地域における国民の足、鉄道やバスというものはどういう位置づけなのかということをもう一度改めて点検して国としての一つの考え方を打ち出していくことも大変大事だと思いますので、いろいろ工夫をしていきたいと思います。

○穀田委員 終わります。