国会会議録

【第180通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2012年4月11日)



○穀田委員 私は、日本航空再建問題について聞きます。

 日本航空グループの営業利益は、更生計画に示された二〇一二年三月期の目標の七百五十七億円を大幅に上回るとされています。それは御承知のとおりです。日本航空再建の現状についての認識を、大臣にごく簡潔に伺いたい。

○前田国務大臣 日本航空は、更生計画に従い、着実に経営が改善されていると考えております。そして、本年中に再上場を行うということで、企業再生支援機構からの支援を終了することを目指しているところです。

 国交省としては、安全運航の確保を大前提としつつ、日本航空において確実な再建が図られるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。

○穀田委員 今お話がありましたように、財務面での経営立て直しは順調と言えるかもしれません。大臣も安全を大前提にと言っていますから、私は、日本航空の真の再生というのは、航空産業としての安全性と公共性の確保が中心問題だと考えています。その角度から見て、日本航空の現状はどうか。

 この間、稲盛前会長のもとで行われてきた、利益なくして安全なしの経営手法、企業理念から安全第一という文言が消えた点などを私は何度も指摘してまいりました。利益優先、安全軽視の傾向だとか、会社に対して物言えぬ職場の環境悪化、退職者の続出などが生まれている事実を何回も指摘してまいりました。

 その最大の問題が百六十五名の整理解雇であります。会社に対して安全を優先しろと言ったり、さらには体調不良で病気欠勤で休んだら、いずれも、年をとれば順番に解雇の対象になるんじゃないかという不安が今も増長しています。日本航空の真の再生のためにも、この整理解雇争議は早期に解決すべきだと私は思うんですが、大臣は政治家としてどのようにお考えですか。

○前田国務大臣 日本を代表する航空会社なわけですが、一時、破綻のふちに沈むところまで行ったわけです。それをここまで何とか更生してきてくれているわけでございますけれども、航空会社にとって、安全というのは大前提も大前提。しかも、日航の場合には、過去にそういう苦い歴史も背負っているわけでございます。

 そういうことにおいては、もちろん国交省としても安全面については一番重点を置いて指導しておりますが、会社においてもこの再建過程で安全ということをおろそかにするような事態があってはならない、このように考えております。

○穀田委員 前回は十月でしたか、やったときには、安全のことは随分短くて、えらい簡単やなと私言いましたけれども、きょう聞いたのは、そういう安全にとっても大事な問題である、この間、何回も私は大臣とやり合ってまいりましたが、その一つの中心問題に、今、整理解雇問題があるわけですね。この問題を解決すべきじゃないのか。この争議について早く決着を見ることが必要じゃないか。

 だから、政府として聞いているわけじゃなくて大臣として、政治家としてどうやねんということを聞いているわけですよ。

○前田国務大臣 どうやねんと言われれば、これはもう本当に、せっかくここまで更生してきたわけですから、円満な労使関係という意味で、早く円満な解決をしてほしいと願っております。

○穀田委員 誰しもが円満な解決を望んでいるということですよね。それは当然なんです。

 でも、そもそも、この日航の再生計画というのは政府が主導したものであります。企業再生支援機構という国が半分出資している公的機関が、日航の会社更生中は管財人を務め、二〇一一年三月二十八日に会社更生手続を完了した後も経営再建を主導してきました。公共性等を考えて会社を潰さずに、飛ばしながら再建するという方針で、さまざまな手段を講じてきたわけであります。そして、三千五百億円もの公的資金も投入してきました。問題はそこからなんですね。同時に、その中で整理解雇も実施した。これも企業再生支援機構が管財人となって直接決定し、関与してきた。

 経過は、私、何度もこの問題について指摘してきましたけれども、二〇一〇年の九月二十七日に整理解雇の人選基準案なるものを示して、十月一日からは年齢の高い労働者を中心にパイロットや客室乗務員を乗務から外し、個別面談で退職を迫っていた、応じなければ整理解雇をちらつかせるというやり方を指摘してきました。これは強要以外の何物でもない。しかも、このやり方は六月時点で構想されていたことが社内文書でも明らかになっていた代物であって、初めに整理解雇ありきと言えるほど無法なものであります。

 そこで、この整理解雇も、ある意味では政府の意思として実行されてきたんじゃないかと言えるものだと私は断ぜざるを得ないわけであります。問題は、大臣としては、個人の政治家としては円満解決を望んでいるわけですが、政府としてどういった形で解決しようとしているのか、それについて答えてほしい。

○長田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、日本航空が再生計画に従って再生への道を歩んでいただくということが重要だと思っておりますが、労使関係に関することにつきましては、これは基本的に企業の問題でございますので、行政として関与することは適当ではないと考えております。

 また、その上に、この問題に関しましては現在司法の場で争われていることでございますので、政府としてはその推移を見守ってまいりたい、そういうふうに考えております。

○穀田委員 では聞きますけれども、日航は一昨日、新規採用募集を発表しました。客室乗務員を新卒で二百名、既卒で若干名を新たに採用するという内容です。報道では、退職者の補充を含め、組織を安定して運営していくために必要最小限の人材の採用が必要だと判断した、これは日航の広報が述べている理由です。

 パイロットや客室乗務員の整理解雇をめぐって係争中にもかかわらず新規採用するというのは余りにも身勝手と違うのか。事業を縮小し、人手が余っていると勝手に首切りをしておいて、気に入らない労働者を追い出して、今になって人手が足りなくなったから補充するというのは全く理解できない。足りないんだったら首を切った労働者を戻すのが先だろう、普通の人はそう思うんだけれども、大臣はどう思いますか。

○前田国務大臣 二つの問題があると思います。

 再生過程の日本航空がやっと新人採用を、こうやってふやすことができるようになった。これは事業計画として、将来に向けて、やはり人員はちゃんと養成していかないかぬということがあると思います。

 一方で、解雇の問題については、先ほど来申しておりますように、やはり両者において円満に、とにかく会社において解決を図っていただきたいという立場で見守っていきたいし、指導もしていきたい、こう思っております。

○穀田委員 こういう事態を見た場合、補充が可能なほど事業は回復しているということなんですね。つまり、整理解雇四要件の中にもありますが、会社のやり方として、そういう時期というのは、役員の給料を減らすだとか新規採用を控えるだとかいう問題はわざわざ判例の中にもあるぐらいなんです。日航は、今お話があったように、二月に発表した中期経営計画で国際線の拡充など事業拡大を打ち出しています。先ほど、ことしじゅうにと言いましたけれども、七月にも株の再上場を申請する計画もある。しかも、二〇一二年三月末も、二〇一一年末に続いて千八百億円規模の営業利益を上げる見通しなんですね。まるで、会社更生法を適用した破綻会社とは思えない復調ぶりなんです。

 そもそも、政府の支援で飛行機を運航しながら再建する、すなわち潰さないということは初めから決まっていたわけなんです。そのときに、そういう航空事業の特殊性から、経験者、ベテランが即戦力として、運航事業者であり、なおかつ技術継承教育者としても私は必要だと思うんですね。

 真の再生を図る責任を持つ以上、解決策を指導するぐらいのことはやるべきだ。円満解決を望む、誰だってそんなことは望んでいるんですよ。問題は、政府がやってきたことなんだから、そういうことについて解決策を指導するぐらいのことはやるべきと違うのかということを私は思うんですが、いかがですか。

○長田政府参考人 今御指摘の、整理解雇の問題と新規採用の問題でございます。

 日本航空からは、整理解雇は、更生手続の中、余剰人員の存在によりやむを得ず実施した一方、今回の採用再開は、必要な人数をその都度補充するものと聞いております。

 更生計画を実施しつつ、一方で中期計画の中では新しく事業拡大ということでございますので、それに必要な人材をどうやって採用するか。そのことにつきましては、個別企業の採用の問題でございますので、国土交通省としては、直接コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○穀田委員 日航で働くパイロットや乗務員が提訴して、整理解雇撤回を求める裁判の判決が、この三月二十九日、三十日に下されました。判決は、更生中であっても整理解雇四要件は適用されると認定しました。にもかかわらず整理解雇は有効であったとして、まさに不当な判決だと私は考えます。どうも納得いかない点があります。

 そこで、そもそも整理解雇四要件はなぜできたのか、法理として定められた、意味するものは何か、この点について厚労省に聞きます。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 解雇には幾つかの類型があるわけでございますが、整理解雇は、使用者の経営上の都合による解雇という特徴がございます。そうしたことで、この特徴を踏まえた特有の枠組みによりまして、裁判所におきましても、これまで、解雇権の濫用に当たるかどうか、この判断が積み重ねてこられたものと承知をしているところでございます。

 整理解雇につきましては、一般的には四つの事項が考慮されるということが言われておりまして、一つは、人員整理が本当に必要なのかどうかということ。二つ目は、できる限り解雇を回避するための措置を尽くすということ。それから三つ目には、被解雇者の選定の基準が合理的になされているかどうかという点。四つ目として、手続の妥当性。こういった四つの事項が一般的に考慮されて、解雇権濫用に当たるかどうかが判断されてきたものと承知をしております。

○穀田委員 わかりやすく言えば、力の弱い労働者を保護するため、会社が好き勝手に解雇権を濫用しないようにするためのものだということですね。

 ところが判決は、更生計画で決めたことだからとして、ことごとく原告の主張を退けました。まるで、会社が更生計画をつくれば、整理解雇しようが何しようが有効だと。企業がどれほど利益を上げていても、再生、再建に必要だと言いさえすれば幾らでも労働者の首を切れることになって、経営上の理由による一方的な解雇から労働者を守るための整理解雇法理というのは、もしこれを許せば根底から形骸化されてしまうことは必定です。

 この間、私、集会に参加をしまして、やはり解雇された方々の声を聞かなあきませんよ。首を切られ、ローンが返済できなくなって家を売り払わなければならなくなっただとか、子供の大学進学を諦めてもらうという労働者など、人生設計を狂わされ、生活を守れなくなった労働者たちをどうして救うのか。首を切られた労働者が、今のような、少なくとも整理解雇四要件ということからしても、四つの内容を詳細に点検すれば、そういうことについてあろうはずがない判決だという意味で、控訴して闘うのは当然だと思うんです。

 問題は、そもそも、日本航空が労働者の整理解雇、首を切らなければならなかったのかが問われていると私は思います。

 裁判で、稲盛氏が二〇一一年二月八日の記者クラブでの講演内容、私はこの問題についても指摘しました、整理解雇の「百六十人を残すことが経営上不可能かといえばそうでないのは皆さんもおわかりになると思います、私もそう思います。」この発言が最大の焦点の一つとなりました。法廷の中でも稲盛氏は、整理解雇は経理上必要なかったとまで、改めて講演の発言を証言しました。

 判決をよく見ますと、裁判長も、解雇時、二〇一〇年の十二月に、「被告の営業利益をもってすれば、被解雇者の人件費の支出が不可能ではなかった」と認めているんですね。要するに、誰が考えても、当時解雇は必要がなかったということなんですよ。稲盛氏の発言は、解雇しなくても人件費は出せる状況にあったことを認めるものです。裁判長は、「主観的心情を吐露したにすぎない」、こういう形で判決では片づけているんですね。どう考えても私は理解できません。

 判決は、前段で、「原告らが稲盛発言を根拠として人員削減の必要性の欠如を主張することも、理解することができないものではない。」簡単に言うと、稲盛さんの発言からすれば、人員削減の必要性がないという原告の理解も理解できると述べているわけです。これが誰もが理解できる判断だと思うんですね。これを否定する余り、無理やり、理解不能なそういう強弁をしているということになると思うんです。結局、何をやっているのかというと、会社側と稲盛氏を擁護することが目的の判断だと言わざるを得ないと私は思うんですが、大臣はどう思われますか。

○前田国務大臣 委員、これは裁判のことでございますので、私の立場でこの内容について申し上げるのは控えるべきだと思います。

○穀田委員 では、少しかえましょう。

 大臣は、二〇一一年十月二十六日の当委員会における私の質問に対して、私はこう質問したんです、経営トップが整理解雇は必要なかったと天下に公言している、それを無理やり整理解雇を強行した、不当だと思いませんかと私は言ったんですね。そうしたら、どう言ったか。今の話を聞いて、「その文脈において聞いている限り、いや、本当に、そういうことでいいのかなという疑念は持ちます。」と答弁したんですね。そのとおりで、大臣も考えたようにおかしいんですよ。

 しかも、「主観的心情を吐露した」と。私も念のために、「吐露」とは何だと思って広辞苑で引いてきましたよ。そうしたら、心に思っていることを隠さずに述べあらわすことだと言っているんですね。要するに稲盛さんは、主観的じゃなくて、事実について真実を語っただけなんですよ。

 ではもう一度、質問をかえて聞きますが、二〇一〇年の解雇時に、解雇しなければ二次破綻する状況にあったのかという問題であります。

 日航の再生というのは、政府として、支援機構を通じて破綻させないことを前提に支援しています。二〇一〇年十二月は、銀行等も債権放棄、リファイナンスに応じて、支援機構も三千五百億円を出資するとして更生計画を承認したわけですよね。稲盛氏は、更生計画に基づいて、人を切ることについてやめるわけにはいかないということを言っているんですけれども、更生計画案には整理解雇の文言はないんですね。私は、銀行等が整理解雇の実行などを求めていたのかという質問をしました。そうしたら、水留浩一管財人は、そこまで求めていないということをちゃんと言っているんですね。

 判決は、日航は沈んだ船で、二次破綻を避けるためにやむを得ない措置と言っているんですが、政府として、沈ませないこと、二次破綻させないことを支援の方針として持っており、そういうことを前提にした計画であったはずなんですね。大臣の見解を求めたいと思います。

○前田国務大臣 確かに、更生計画を立てて実際に更生計画を実施し始めたときにどれだけの確信を持ってやっていたか、その辺のところは想像できないわけですが、それまでの経緯を見ると、本当に日航が再生できるのか、非常に厳しい状況だったと思います。

 したがって、結果として議員が御指摘になるようなことが、かなり早く回復したというようなところはあったと思いますけれども、中身については、片一方では司法の場で今も挙がっている課題でありましょうし、片一方では、やはり当事者の間で円満な解決をぜひしてほしいと思うわけでございます。

○穀田委員 かなり厳しいというのは、それは更生計画出発当初、誰もが認識していましたよ。だけれども、それを飛ばしながら解決すると。しかも、整理解雇の時点というのは二〇一〇年十二月三十一日なんですよ。そのときに営業利益は、翌年の二〇一一年三月期には過去最高が予想されていたし、その時点でも一千億円を超える利益があるということははっきりしていたんですよ。上回ることは十分可能と稲盛会長自身も言っていたわけですよ。だから、厳しいということと、その整理解雇した時点では沈む船ではなかったんですよ、そんな気配すらもなかったということを言わなければなりません。

 もう一つ重要な問題点について述べたいと思うんですね。安全問題についての恐ろしいほどの裁判長の認識不足の問題であります。

 何度も私ども共通の認識としているように、絶対安全というのは航空機運航にとって一番大事な問題だということは論をまちません。そして、航空行政にとってもしかりということは異論がないはずです。大臣も、私の質問に何回も、先ほどから言っているように、安全確保がまず第一の条件だと言っていますよね。

 そこで聞きますけれども、安全を確保するために、現場、すなわちパイロット、客室乗務員、地上整備等の労働者が重要な役割を果たしていることについては異論がありませんね。

○前田国務大臣 もちろん、各職場の職員はそれぞれの専門分野において重要な役割を果たし、そして全体のシステムとして安全が確保されているわけでございますから、そういう意味では、各専門家、そして職員の方々が安全を担っているということになります。

○穀田委員 今答弁がありましたように、各職場、労働者が担っているということははっきりしています。そうしますと、運輸職場、交通職場の中で、もし物言えぬ状況をつくり出しているとしたら危険だということ、この問題についても私は何回も言ってきたわけであります。

 解雇の人選の基準となった病気欠勤基準だとか年齢基準が安全に与えた深刻な影響について、判決は「にわかに想定し難い」と、単なる臆測として無視しているわけであります。この裁判長の感覚というのは恐ろしいと私は思うんですね。

 では、ことしになってからの事例について聞きたいと思うんです。骨折した機長が操縦した件が報じられています。国交省は事実と原因をつかんでいるのか、どう対処したのか、簡潔に。

○長田政府参考人 先生御指摘の事案については報告を受けております。

 一月二日の旭川発羽田行きのJAL一一一六便の機長は、旭川空港において出発前の機体の外部点検中に転倒して右脇腹を打ったものの、そのときにおいては痛みがおさまったことから打撲と判断し、副操縦士とともに乗務に支障がないことを確認の上、羽田空港まで乗務をしたところでございます。ただ、羽田到着後、飛行機からおりる際に右脇腹に強い痛みを覚えたことから受診したところ、肋骨の骨折が判明をしたということでございます。

 私どもとしましては、日本航空から報告を受けまして、運航乗務員による心身状態の相互の確認をより慎重に行うなど、再発防止を徹底するように指導をしておるところでございます。

○穀田委員 ぜひ皆さん、聞いてほしいんですけれども、安全にとって、骨折した機長がそのまま操縦することは問題ないのかということなんですよ。誰が考えたって、肋骨を折った人が操縦している、もしそれを乗っている人みんなが聞いたら、どないなりますかいな。

 報道を見ていますと、機長は着陸直後、激しい痛みを覚えて、みずから歩くこともできず担ぎ込まれた、その担ぎ込まれた千葉県内の病院で肋骨骨折と診断されたという。乗っている人にとったら、まさに命がかかっているわけですから、大変なことです。

 問題は、当該の機長はなぜそのまま操縦したのか。聞くところによると、機長はMD90の役付管理職と言われています。つまり、欠航して迷惑がかかるために自分が乗った、そういう責任感であったとしたら、それは許されるのか。なぜ交代もせずに黙ったままやったのか。その心理的背景を何と考えるのか。こういった問題をきちんと詰めなければ、事態を本当の意味で教訓にすることはできないんじゃないですか。大臣、そういうことをどう考えますか。

○長田政府参考人 この問題につきましては、事案が発生した直後、日本航空に対して、操縦士あるいは副操縦士について詳しく現場の状況を聞くように指示をしたところでございます。

 その結果、機長は、機体の外部点検から操縦室に戻ったころには痛みがおさまったために乗務には問題ないと判断した旨の報告を受けておりますし、当該便の副操縦士も、機長の説明や会話の状況あるいは挙動から業務に支障のない状態であったということを判断して乗務したということを、当該機長あるいは副操縦士からも確認をしているところでございます。

 ただし、結果として、そういう事態の状況のままで運航したということは、まことに遺憾であるというふうに考えております。

○穀田委員 その報告だけ聞いて、はいはいと言うわけにいかないんですよ。

 そういう事態が、例えば病院へ行って肋骨を折っていたということがはっきりする。そうしたら、普通、肋骨を折っていたときにそれが運航していいのか。それから、そういうことについて、肋骨を折った後で病院へ行ったら、どれほどの痛みがあったのかということについて病院にも聞かなあきませんやんか。問題は、その深刻さについて厳しく点検したのかということを私は聞いているんですよ。そういうことがないんですよ、あなたの話を聞くとやね。聞きましたというような話ですやんか。そういうことで済むのか。

 この問題は、私が何度も、言い出しにくい雰囲気があるんじゃないかということを指摘したときに、大臣はこう言っているんですね。そういう言い出しにくい雰囲気が社内の雰囲気にならないよう経営していただくことを期待しておりますと言っているんですね。

 期待しておりますでは困るんですよ。肋骨を折って運航していたという事態がはっきりしたときに、その機長の身体状況は本当に運航できる状態であったのかとか、その問題について、どういうふうにそういう選択をしたのかということについて聞かなければ、大臣がおっしゃるような、そういう社内の雰囲気にならないよう経営していただくということにならないじゃないですか。だから、期待が外れている事実が現出しているということに対して、やはり航空の安全にとってゆるがせにできない問題だとして、直ちに事実の把握と解明のための調査を求めたいと私は思っています。

 私は、今、絶対安全という責任を果たさせるためには、やはり労働者の状況に対する対策、対応が根本です。したがって、その意味でいいますと、絶対安全という責任を果たすのは現場である、その現場の安全のための取り組みを進めるためにも解雇撤回が必要だということを述べて、質問を終わります。