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【第183通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 私は、質問に先立ちまして、東日本大震災で亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表し、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。 東日本大震災発災後、私は鉄路の復旧について一貫して問題提起してまいりましたので、きょうも、生活となりわいの再建、住民の足の確保、さらにはまちづくりにとっても欠かせないという立場から質問したいと思います。 今、鉄道の復旧は本当に待ったなしです。 きょうお示ししましたが、資料を出しています。その一を見ていただきたいんです。 三陸鉄道北リアス線と南リアス線、これは来年の四月に全線開通の運びとなりました。ところが、その北リアス線と南リアス線の間には、岩手県宮古から釜石までのJR山田線があります。それの復旧があってこそ鉄道網はつながります。地元住民の暮らしの足の確保という点からも、また復興のあすが見えるようにする点でも、観光路線の復活からしても、山田線の復旧は鍵です。 当時、前田国交大臣は、「三陸の鉄路をつなぐということは復興にとって非常に重要なことだと思いますから、その方向で指導をいたします。」と、ちょうど一年前、昨年の三月十四日なんですけれども、答弁しました。その後どんな指導をされているか、お聞きしたいと思います。 ○滝口政府参考人 委員御指摘のとおり、三陸沿岸の鉄道の復旧というのは、被災地域の本格的な復興を図る観点から極めて重要な課題であります。国土交通省としても、鉄道復旧に向けた指導、調整を行ってまいっております。 まず、ただいま委員の方からお話がございましたが、経営の大変厳しい第三セクター旅客鉄道である三陸鉄道については、自治体と協力して復旧を行うこととし、復旧費用のほぼ全額を実質的に国が負担する特別な支援措置を講じたところでございます。その結果、ただいまお話がございましたように、三陸鉄道につきましては、一部はことしの四月、その他運休しているところを全部含めましても、来年の春には復旧する見通しになっております。 また、JR東日本の山田線を初めとする六路線につきましては、鉄道のみならず、周辺の町も大きく被災しております。このため、国土交通省、復興庁、沿線自治体、JR東日本などで構成いたします復興調整会議を立ち上げ、まちづくりと一体となった復旧について検討を進めているところであります。 また、鉄道運休中の仮復旧といたしまして、一部を専用道化するとともに、バス・ロケーション・システムなどの導入を図ったバス高速輸送システム、いわゆるBRTの導入についても、地元自治体の御意向を踏まえて対応するため、沿線自治体等と公共交通確保会議を立ち上げ、調整を進めてきたところであります。 ○穀田委員 滝口さん、ここで述べたJR山田線というのは、よう聞いてはると言ってるんやから大臣も聞いてほしいんですけれども、ここは地元の全ての自治体が、BRTは要らぬと言っているんですよ。ここは動いていないんです、BRTは。 私が聞いているのは、山田線の復旧はどう指導してんのやと。つなぐと言うたんやから、つなぐという話をどないしているかと聞いているんですよ。つないでいないということじゃないですか、簡単に言えば。あれこれ言わなくていいんですよ。問題は、JR東日本というのは、公共交通機関としての鉄路の復旧というみずからの役割への自覚が足りないと言わざるを得ない。地元の皆さんは、JR東に対する不信の念をあらわにしています。 だって、今局長が述べた北リアス線と南リアス線は復旧しているわけですやんか。これは当時、震災後、復旧できるところから運行しようということで、社員総出で線路の瓦れき撤去に取りかかり、震災後五日目にして運転を再開し、しばらくは無料で乗客を輸送した。このような努力に比べれば、震災後二年も経過しているのに、JR東はいまだに復旧すると明言していない。なぜか。それを政府はどうつかんでいるのか、お答えいただきたい。大臣。 ○太田国務大臣 山田線につきましては、まちづくりとの一体化の上でという考え方と、全く従来の復旧という考え方と二つあるんですが、現在、まちづくりと一体化ということの中で、費用の問題もございます。その中で、国としての支援ができないのかという観点も含めて、この復興調整会議で議論をしている。 この議論をしているのが、ずっととまっているわけじゃなくて、ちょうど一週間前もこの調整会議が行われて、まちづくりということであるならば二百十億円、従来のままでいえば百四十億円かかりますねという数字をJR東の側が出してきているということでありますので、私は、この調整会議がさらに進むということを考えているという状況にございます。 ○穀田委員 先ごろ、五回目の調整会議が開かれました。それは知っています。その前、大体四カ月も間があいている。間延びしているなという話を地元の方々は随分述べていたことも私はよく聞いています。 今お話あったように、まちづくりとの関係でいえば二百十億円かかりそうだと。実は、JRがお金の額を出したのは初めてなんですね。それまではずっと言わなかったんですよ。だけれども、その会合でも、金はこれだけかかるけれども、復旧しますとは言わなかったんですよ。そこがあそこのひどいところで、金はこれだけかかりますと言うけれども、では、百四十億円の分だったら出してでも、まず復旧しますというようなことを言うのだったらわかるけれども、それも言わないというのがけしからぬ話なんですね。 だから、宮古の山本市長はどう言っているかというと、メディアに答えて、JRは、そんな路線への復旧投資は株主に説明できないと言うんだ、こういうふうに報道陣に述べていて、憤りを隠していないんですね。この立場というのは、被災地の住民の復旧の願いよりも株主の利益を優先するという態度だ。私は、けしからぬと思うんですよね。 大臣は、そういう発言を目の当たりにして、多分聞いていると思うんです、行っておられたときの新聞ですから。後で新聞も全部見ていらっしゃると思うんですけれども、どう思いますか。 ○太田国務大臣 私が山本市長と会った三月十日、そのときは、全くそういう話は出ていないんです。 それで、その後、私と山本市長が会った後に、内々、内々にと、憤りを示した、こういうト書きで新聞記事が書いてあるんですが、私と山本市長が会ったときにはそういう話はなく、むしろ、高台移転というような進捗状況等について話があったんですけれども、この山田線については、やっていただきたいということについては希望を聞きましたけれども、JR東についてどうこうという話は、私との場では出ていないということではあります。 ○穀田委員 どう思うかと聞いたので、聞いているか聞いていないかはいいんだけれども。 そこで、私はこういう問題の根底に、大体、国鉄の民営化というのは何だったのかと。これは、国民にツケを回して、地方の不採算路線は切り捨て、身軽になって収益を上げる。根底にあるのは、民営化によってもたらされた利益、もうけ第一主義があるんじゃないかと思うんですね。この未曽有の大震災の被害を受けて、住民の足の確保、こういう住民の思いを踏みにじって、この機会に不採算路線を廃線にしようとする狙いがあるんじゃないかということさえ言われているんですよね。だから、私は、公共交通を担う企業としての責任を果たさせるべきだと思うんです。 そこで、私はこの間、先ほど大臣からもまちづくりの観点という話がありましたが、その点を一貫して質問で提起してまいりました。それは、市町村の復興計画の多くが鉄道の駅を町の玄関と位置づけたものになっていることを示して、鉄道の復旧がなければまちづくりが成り立たないと指摘しました。だから、まちづくりの支援を通じて、鉄道復旧を行うことも必要だと主張したわけであります。 先ほども大臣が述べたように、地元紙では、震災で休止中のJR山田線の鉄道復旧に向けた国費の投入について、JRが示した試算の中身を精査し、まちづくりと一体化する中では支援ができるという考えを示したと。これは事実ですね。 ○太田国務大臣 まちづくりと一体化する中で、駅や線路部分のかさ上げについて、先ほども申し上げましたが、国費により支援ができないかということを、関係省庁とも連携して検討しているという表現をしました。 ○穀田委員 この問題は、きのうきょうに始まったことじゃないんですよ。三月に大臣が行ったあたりで問題になっているわけじゃないんですよ。 ずっと前から問題になっていて、例えば、岩手県議会で共産党の高田議員は、国の姿勢を、JRに対して、かさ上げ分は国がしっかり持つからちゃんと再建してくださいというようにさせるべきと違うかということを言っていまして、達増知事は、国に対しては、鉄路の復旧については三鉄にせよJRにせよ、支援を発災直後から求めてきたところでありまして、そのとおりだと。要するに、かさ上げ分なんというのは、支援するのは当たり前だと思うということを前から言っているわけなんですね。 それで、JRは何で拒否しているかというと、巨額になるということで、いわば二の足を踏む。片や、国交省は、鉄道軌道整備法の施行規則で対象企業は経営赤字の事業者に限るといって、こうやってキャッチボールをしているわけですよね。それで二年間経過しているわけですよ。一番被害をこうむっているのは、利用していて復旧を待ち望む地元住民なんです。 そこで、大臣に、先ほどこうおっしゃっていましたよね、聞いた話をこれからちゃんとやりたいと。私はさらに、言った話をちゃんとやってくれと。検討の時代は過ぎている。前田大臣のときでさえも、まちづくりの支援を通じて、相当の支援ができると発言しているんですね。だから、検討できないかじゃなくて、やはり国として鉄路復旧のために必要な支援、例えば線路敷地の整備費用を負担するなど、要するに、JRは国が支援してくれなければできないと言うわけですね。国は黒字企業だからできないと言う。 今度は、大臣になってから、前の大臣もそうだけれども、検討しますと。前の大臣は支援できると言って、あなたは検討しますと言う。そういう時代は過ぎているんですよ。キャッチボールするんじゃなくて、投げる側が、俺のところは支援するさかいに、おまえのところは決断せいということが今求められているんです。そう思いませんか。 ○太田国務大臣 私の言っていることはよくおわかりだと思いますが、支援できないかということを検討ということを言っているのじゃなくて、支援することができないか、よく検討するという表現をしています。 それで、そのかさ上げ部分、まちづくりと一体化という中での国の支援ということについては、明確か明確じゃないかというのは聞いた人によるんだと思いますけれども、そこは、私は、支援することができないかということを検討ということを申し上げているということです。 そこで、そことのキャッチボールというよりも、私は、調整会議が現実には進んできて、この間、一週間前も、現実には前進をしてきているから、そこをさらにしっかり詰めていただくようにお願いしたいということを、むしろ、調整会議の方をしっかり進めるということを私は申し上げているわけです。 ○穀田委員 いや、違うんですよ。 調整会議をやっている人たちは、JRを除けば、JRを除いてですよ、国交省ではなくて地元の方々はどう言っているかというと、さっきも言いましたように、国が出すということを前提にして、やれと言ってくれればもう話は済むんだということを今まで言っているんですよ、皆さんの思いは。だから、調整会議の話し合いの煮詰まりというのはお互いに認識が若干違うけれども、少なくとも、復旧のことについて何度も言ってきて、ここまで来た。 そうすると、あとは問題は、額も初めて出た、具体的に言うと、あっちは七十億という差があるということまで言い出した。七十億は精査せなあきませんよ、本当に七十億かどうかわからぬからね。それはありますよ。だけれども、その分は、よっしゃ、俺のところが持つさかいに、何らかの形で支援するさかいに、あとはやってねと。だから、そういう煮詰め方をすることを示唆することが必要じゃないかと言っているんですよ。それは、そうだと言ってくれればそれでいいんですよ。 ○太田国務大臣 まさにそういうことも調整会議の中で現実には進んできて、中身が詰まってきている、私はそういう認識をしていますから、きょう穀田先生がおっしゃったということもよく踏まえて、調整会議をしっかり進めなさいということを申し上げたいと思います。 ○穀田委員 その辺の微妙な言い回しがお互いに、これ以上あれですけれども、進めなさいということの進める鍵は何か、どこを押すかということなんですよ。 それはわかった、あとはやれと。要するに、JRは、最後の段階で、国が出してくれるらしいからやりますという言明がないんですよ。幾ら話をしても、常に、自分のところが復旧しますという話がないから言っているわけですよ。もはやあんたのところの責任だぜということを、調整会議における自治体側とあわせて、後押しをすべきだということを私はあえて言っておきたいと思います。うなずいてはりますから、そうしてくれるでありましょう。 もう一つだけ聞きます。もう一つ地図を用意していますけれども、これは、気仙沼から盛までのJR大船渡線の問題について聞きます。 資料二ですが、気仙沼から陸前矢作までの間は、震災による被害は、地震、津波による被害もほとんど受けていません。そして、鹿折唐桑の駅の周辺四百メートルを復旧すれば、気仙沼から、レールが残っている陸前高田市内までの約二十キロメートル区間の運行は可能です。この点も指導すべきと思いますが、いかがですか。 ○滝口政府参考人 委員がお配りになりました資料でございますが、気仙沼から鹿折唐桑、それから上鹿折を経由して陸前矢作というところまでは、実は、今委員がお話しになりましたように、鹿折唐桑あたりが津波で被災をしておりますけれども、それよりも北側の部分というのは山間部に入りますので、津波の影響を受けていない、こんなところでございます。 一方、この区間につきましては、ごらんになっていただきますとわかりますように、それ以外の、陸前矢作から陸前高田を経由して、小友、そして最終的には盛まで、この区間というのは非常に被災を受けているところでございます。 先ほど申し上げた公共交通確保会議において地元の了解を得て、ここは実はBRTを走らせているところでございますが、その背景といたしましては、この配付された資料の中にございますように、上鹿折と陸前矢作の間に宮城県と岩手県との県境がございます。実は、ほとんど民家もない山間部でございまして、陸前矢作の被災前の一日の乗車人員というのは二十人弱でございます。こういった方は、陸前高田の方に流れていた人流でございます。 一方、鹿折唐桑は津波で被災されたままでございまして、旧駅前には大きな漁船がまだ残っているというようなところでございますが、このあたりについては、現在でも、数十年から百数十年に一回発生するおそれのあるL1津波対策というのが実はなされていないといったところでございます。そういった安全問題もまだございます。 このため、当面、この大船渡線につきましては、BRTにより地元住民のための生活交通を確保するのが適切ではないかというふうに考えております。 ○穀田委員 いつからJR東の使い者になっているのかよくわからぬけれども、地元の話もきちっと、両方言わなあかんですやん、あなた、そういうことを言うんやったら。地元の皆さんは、このBRTの問題についても、仮復旧の一つだということで了承しているんですよ。そういう話はさておいて、JR東の使い者になっていたらあかんですよ、あなた。 地元の人たちは、少なくとも三市が、そういうまちづくりのことを考えてやるべきだと。しかも、JR東は、市のまちづくりの計画ができてから考えると言ったんですよね、この問題の復旧については。ところが、例えば陸前高田市が、私きょう持ってきましたけれども、これは皆さんにお配りする手順を省くために持ってきたのですが、こういう復興計画をつくっているわけですね。鉄道を全部示しているんですよね。そういうことを示しているにもかかわらず、知らんぷりしてやっている。だから地元住民が、私も見てきましたけれども、線路を草刈りしようかということまでやる。そうしたら、二日前の日にばあっと刈って、ともかくそういう行動については阻止するという挙に出る。 だから、市長はどう言っているかというと、議会で、かさ上げした土地のところに鉄路をつくりたいというJR側からの御提案もありましたので、それをベースにまちづくりの絵を描いた、ここまで言っている。 例えば、皆さん、先ほど述べた三陸リアスの関係の鉄道というのは、最初は全部つながらなかったんですよ。だけれども、途中だけでもやろうということで、みんな熱意を示して、そのことが明るい灯をともしたわけですよ。 そういうことに対しても怒りがあるということを、あなた、肝に銘じなあきまへんで。ですから、そういうことについて大臣もしっかりよく見ていただかないと、ああいうJRの話の受け売りばかりやっておったのでは、何のための国交省だ、何のための被災者の支援だということを私は言っておきたいと思います。大体、JR東の社長だった人は、清野さんという人がいましたけれども、津波被害七線区、被災した四月に、全線復活させると言ったんですよ。何を言っているんだと言わざるを得ないと私は思います。 もう時間がないから答弁を求めずに、次に、笹子について一言言っておきたいと思います。 私は、この事故は極めて悲惨なもので、これまた、亡くなった方々に哀悼の意を表したいと思います。 このトンネルの崩落は予想できなかったのか、事故の原因は何か、そしてなぜ防げなかったのかと、いつも後でこう言うんだけれども、なぜ防げなかったのかということが大事なんですね。私は、このことが極めて大切だと思っています。 そこで、この笹子トンネルの天井板を撤去する計画がありました。しかし、この計画がやられなかったわけで、もしこの計画が実施されておれば、事故が起きなかったかもしれないんですね。それほど重要な問題なんです。なぜ計画が実施されなかったのか、しなかったのか、このことについて端的に。 ○前川政府参考人 お答え申し上げます。 天井板の撤去計画の経緯につきましては、先月の二月一日に開催いたしました第三回トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会でも報告されております。 かいつまんで申し上げますと、中日本高速道路会社においては、笹子トンネルの換気設備の老朽化が進んでいたことから、換気方式の変更を含め、二十一年度より設備の更新方法を検討しておりました。更新にあわせて、天井板の撤去についても検討したわけでございますが、天井板を撤去する場合、通行どめや長時間の対面通行を余儀なくされるなど社会的影響が多大となることから、撤去せずに存置することとしたという報告を受けておるところでございます。 ○穀田委員 結論は最後の方ですね。 老朽化していることは事実だった。だけれども、時間がちょっとかかりそうだ。そのためにはいろいろ迷惑をかけるから、収入も減るだろうしというようなことも含めて、あったんだということでしょう。私は、それは本当にけしからぬと思うんだよね。 資料三をぜひ見てほしいんですけれども、NEXCO三社の管理する高速道路における要補修損傷件数の推移と維持補修費の推移をグラフにしたものであります。 下の注に書きましたけれども、要補修損傷件数というのは、各年度の損傷発見数引くところの補修数の累積なんですね。だから、現実はこれだけあるという事態で、下にもありますように、まだこれは一部未集計もあるものだから、もっとあるということは明らかなわけであります。 これは、要補修損傷件数が大幅に増加しているにもかかわらず、維持補修費はほとんど横ばいであることがわかり、維持補修費が事実上抑制されている証拠と言わなければなりません。中日本高速道路会社も同じように維持補修費をふやさず、収益を優先させるために笹子トンネルの改修を後回しにしたんじゃないかと考えざるを得ないわけです。 大臣、今度はこれ、わかりますでしょう。要補修件数は五年間で三倍に、維持補修費はほぼ横ばい。こういうグラフを見て、どう思われますか。 ○太田国務大臣 維持修繕費はまさに横ばい、このグラフのとおりだと思います。 ますます年がたつにつれて老朽化は激しくなるから、維持補修ということにお金を費やさなくてはならない。本来、そういう状況だと思います。 ○穀田委員 そうなんですよ。誰が見ても、三倍になっておるのにずっと同じというのでは間尺に合わないわけですよね。 そこで、何でこうなっているかということなんですよ。中日本の二〇〇七年新経営計画というのを見ますと、「二〇一〇年度までに行う保全・サービス事業について、二〇〇五年度までに実施した二〇〇二年度比三割コスト削減水準を維持しつつ、更なる削減をめざします。」 こういうふうに、わかりやすく言うと、民営化したときにずっと減らした、それを維持して、さらにもう少し減らせということを言ってきたことに背景があるということが、彼らの持っている方針書、チャレンジ5といって、今お話しした新経営計画というところに、今述べた内容が書いてある。要するに、今までの三割コスト削減を、さらに減らしてやりまっせということを言っているわけですね。 問題は、中日本の責任は極めて重大だ。それを進めた政府の責任がこれまた重大だということを私は言いたい。道路公団民営化に伴って、改修、更新の費用を三割減としたのがもともとの発端なんです。民営化すれば効率化できるとして進めた、そこに問題があったんじゃないか。 今大臣は、これは大変なことだとおっしゃいました。実は、これを民営化する二〇〇五年のときに減らしたということが、もともとの発端にあったんですね。そこに問題があったんじゃないかという点は、いかがですか。 ○太田国務大臣 道路公団の民営化に際して、穀田委員がおっしゃるように、三割縮減ということの縛りが最初からかかっているということは事実です。 その中で、私としては、中日本高速に対して、今回の事故を踏まえて、とにかく安全性向上に向けた取り組みを早く作成することを指示し、そして二月一日にこれを受けたんですけれども、さらに、会社において安全性向上三カ年計画というのをやっていますから、しっかりそこの安全性に取り組めということを強く申し上げたいと思います。 ○穀田委員 安全性に取り組めというのは当然なんですよ。問題は、どこをきちんと指導するかということが問われている。どこを見るかということなんですね。 小泉構造改革路線のもとで進められた道路公団民営化というのは、当時、高速道路の新設さらには管理を、民間に任せることで効率化することが目的とされたことは事実であります。今お話があったように、その中で三割を減らした。 当時の日本道路公団が発表した新たなコスト削減計画では、管理コストのうち、維持管理業務の発注コストに係る削減は三三・一%とし、削減率はおおむね三割を目指す、こういうことまで書いているんですね。それが、大臣がおっしゃった三割減の根底にあるわけですね。事実なんです。 ですから、私は、維持更新費用が安全、老朽化対策にとって重要であるにもかかわらず、効率化のために削減を優先させた政府の責任が重大であり、それが問われているんだということを申し上げたい。 きょうは、時間がこれで終わりましたといっているので、この笹子の問題について、トンネル事故の問題についての集中審議を要求したいと思います。 ○金子委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。 ○穀田委員 では、終わります。 |
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