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【第185臨時国会】 衆議院・消費者特別委員会 ○穀田委員 森担当大臣に質問をします。 きょうの質疑の中心は、食材、食品の偽装問題であります。 一流ホテル、百貨店が食材、食品偽装を長期にわたって行っていたことは、単なる不祥事に終わらせてはなりません。消費者の信頼を裏切ったばかりか、真面目に料理に取り組んでいる同業者への信頼も揺るがすこととなり、食材を提供してきた生産者への疑念を生み、その社会的影響ははかり知れないと私は思います。したがって、厳しくその責任を問わなければなりません。 食材、食品偽装問題の重要性について、担当大臣としての認識の中心をお伺いします。 ○森国務大臣 委員御指摘のとおり、食品偽装問題はゆゆしき事態であると認識をしております。 消費者が商品やサービスを選択し、購入するに当たって、表示は極めて重要なものであり、それら商品やサービスを提供する事業者にあっては、正しい表示を行うことが強く求められるものでございます。 このため、消費者庁としては厳正な対処をしてまいりたいと思っておりますが、私といたしましても、ホテル業界、百貨店業界の代表者を大臣室に呼びまして、その場で厳しく注意をしたところでございます。 そこで私が申し上げたのは、やはりホテルやレストランに行く消費者は、そこで表示をされているものを確認する手段がございません。そこに表示をされているものを信用して、そしてそれを食べたり、または招いたお客様に振る舞ったり、または、家族や親しい方と幸せな時間を過ごそうと思ってそこに行って、その表示を信頼してその料理を注文したり食べたりするわけでございます。その消費者の信頼を失った、それを裏切ったということは大変重大なことである、ホテルや百貨店というのはブランドがあり、そしてのれんがある、それは消費者の信頼の上に成り立っているのではないか、その誇りがあるなら、こういった表示の偽装というものは起こらないべきであり、これが起こったということは重大な問題として受けとめていただきたいと。 それで、まず業界団体としてしっかりとこの全容を調査して、迅速に報告をしてもらいたいというふうに申し渡したところでございます。 ○穀田委員 今、最後にありましたように、その重大性から鑑みて、全容解明と公表というのは極めて大事だと思います。 そこでです。この間、私は当委員会で参考人質疑を行いました。その際に、食品表示に関する問題は、ホテル協会は個々の経営体の集まりでありまして、個々の問題である、こういうふうにホテル協会の小林会長が発言なさいました。こういう発言は是認できますか。 ○森国務大臣 もちろん、個別事案があるというのは事実としてあるとは思いますけれども、これをやはりホテル業界がしっかりと業界として検証し、指導していくということを、役割を果たしていただきたいというふうに思います。 ○穀田委員 私は、ホテル協会の会長の発言を聞いて驚いたんですね。牛脂注入を使用した場合、メニューにその旨を表示することを知らなかったという回答が多くて、知識不足、認識不足によるものだ、こういう発言をしているんですね。これも私、どうかと思ったんですね。 だって、この偽装という関係でいいますと、牛脂を注入した加工肉をステーキとして提供していたホテルは次々と発覚しているんですね。個々の問題、それは一つや二つだったら私もわかります。しかし、当日、協会加盟の四割のホテルがそういうことをやっていたというニュースが流れているんですよね。そして、北海道では、老舗中の老舗も同様の行為をやっていた。しかも、この牛脂を注入した加工肉というのは、乳や小麦などアレルギー成分が含まれていた例が判明しており、まさに安全と健康、命にかかわる問題で、認識不足という話では済まないということだと私は思うんですね。 だから、結局のところ、そういう発言というのは、命にかかわる問題として捉まえる不十分さが業界全体にあったのだということが私は問題だと思うんですね。そこを指摘する必要があると私は考えます。 そこで、消費者代表として意見を陳述された榎消費者支援機構関西理事長は、お客様第一だとか消費者目線だとかホスピタリティーということをその業界はうたっていたが、実は消費者軽視、消費者目線に立っていない体質、個々の一部の経営体の問題ではなく、業界全体に広がる、底の深い構造的な問題だ、こう指摘しているんですね。私はこの見地が大事だと思うんですが、いかがですか。 ○森国務大臣 今般のホテルや百貨店等における食品等の表示偽装については、消費者の信頼を損ねるとともに、正しく表示を行って適切な取引を行っている事業者の活動も阻害をするものでございます。 この行為が業界全体のものではないかという委員の御指摘でございます。 消費者庁は、この間、調査をしてまいりまして、そして業界団体からも、私の方で指示したものが十一月二十九日までに、十一月二十八日にも日本百貨店協会、それから全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、十一月二十九日にはその他の団体から報告を受けてまいりました。その中の実態を見ても大変やはり多い事例でございますので、構造的なものがあると思います。 そして、個別に今、調査、立入検査をしているその内容を見ても、コンプライアンスの欠如や社会規範の遵守意識の欠如が見てとれます。ですので、私は、この問題の解決として、関係業界における適正化というものを徹底してまいる必要があるというふうに考えております。 ○穀田委員 認識として、構造的な問題だということから出発する必要があるということは確認できたと思います。 したがって、そうしますと、ホテルや百貨店でこのような問題が常態化していたのはなぜかということを明らかにするのが業者団体の責務だと彼は言っていました。私も本当にそう思います。 そこで、今、厳正な対処をするということで、調査も十一月末にしたようです。きのうお聞きすると、そういうものを集約して精査してということで出すようですけれども、なぜこの問題が起きたのか、その全容を公表すべきだということは異論がないところだと思うんです。問題は、では消費者庁の対応は消費者の疑問や事態解明の期待に応えたのかということが問われると思うんですね。 そこで聞きますが、ことしに入って、東京ディズニーリゾートホテル、プリンスホテルによる食材偽装問題が既に二件発覚しています。しかも、ことし六月に発表したプリンスホテルによる食材の不当表示は、全国十二施設、二十店舗に及ぶものでありました。その上、阪急阪神ホテルズが今回の調査を行うきっかけとなったのが、このプリンスホテルのメニュー表示問題であったとの報道もありました。 これらを踏まえ、消費者庁は、事前に阪急阪神ホテルズから仮に情報が入ったとすれば、全国的に同様の問題が顕在化しているのではないか、その背景にあるものは何か、そのための早急な対応は必要かなど、こういった問題、その時点で消費者庁内において検討しましたか。 ○森国務大臣 十月二十二日にホテルの会見がございました。それを踏まえ、すぐ、消費者庁として、この会見をされた個別事案としての調査を本格的に開始いたしました。私の方で指示をいたしました。 その後、続々と類似の案件が発覚をしてまいりましたので、十月二十九日に私が記者会見の場で、これはゆゆしき問題である、誤表示であれ偽装であれ、これは景品表示法に該当する事案であるということを指摘したところでございます。 さらに、十一月六日には、消費者庁に指示をいたしまして、業界団体に要請をいたしました。その場で、それに向けて、個別事案の調査とともに取り組んでおりました過去の処罰事例、これを一覧にしたものを業界団体の代表に渡しまして、それを団体の構成員に徹底して、全国的にしっかりとこれに取り組むようにというふうに指示をしたところでございます。 さらに、十一月……(穀田委員「もうそこはいいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。はい。 ○穀田委員 その事実経過はまた一覧表に別の委員が出していますのでもう見たし、それはわかっているんですよ。問題は、十月二十二日に会見を行って、そこからだということだけははっきりした。 私が言っているのは、だからわざわざ、二〇一三年に入って東京ディズニーということと、それから六月にプリンスホテルがあった、このことから見て、これはと思わなあかん、いわば事態が深刻だなという点での認識が甘いんじゃないかと。つまり、何で消費者庁が発足したのかということの期待に応え切れたかということについて、やはりきちんとする必要があるんじゃないかと私は考えている。 そこで、消費者庁は、今いろいろありましたけれども、景品表示法の不当な表示の考え方及びメニュー等の食品表示に係るこれまでの違反事例、こういったものを取りまとめて公表するとともに、考え方及び事例集というのを周知させ、そこで取り組みをしている報告を求める要請を行った、こういうことですわな。 それで、なぜホテル、旅館、百貨店の関係団体だけなのか。そのほか、外食産業関係団体に対してメニュー表示の周知等の取り組みは行わないのか。もちろん、この点については、消費者庁は農水省との連携が必要となってくる点はわかります。こういう点は早急に取り組むべきと思いますが、いかがですか。 ○菅久政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど大臣からもお話がありましたような経緯によりまして、十月二十二日のあるホテルからの公表、その後、さまざまなホテルからの公表が相次ぎ、また、百貨店についても同様な事態があったわけでございます。 消費者庁としましては、当初、個別事件の調査ということで調査を開始したわけでございますが、ホテル、百貨店、旅館、そうしたところの公表が相次ぎましたので、また、そうした中での自主的な取り組みという動きもありましたので、それを促進するために、景品表示法の考え方やその違反事例、こうしたものを取りまとめてお示しした。その際に、ホテル、旅館、百貨店の団体に要請をしたということでございます。 その後、十一月十一日に、官邸で開催いたしました食品表示等問題関係府省庁等会議でございますが、ここで関係府省庁での今後の対応というものを決定いたしまして、それぞれ、その他関係する団体、所管業界の団体には関係府省庁等から同様の要請をし、十一月末までに報告を求めて、それを受け取っているということでございます。 ○穀田委員 だから、聞くことにかっちり答えてほしいんだよな。外食産業に対しては行ったのかと聞いて、その他と言うと、私はその他と聞いているわけだけれども、やったのかと聞いたわけだから、それはそのことを含んでいると言ってくれればいいわけで。どうなの。一言でいいよ。 ○菅久政府参考人 農水省からの要請の中にそのような団体も入っているというふうに聞いております。 ○穀田委員 最初からそう言えばいいんだ。私は聞いているんだから、そうやって。 では次に、現行の法規制の問題について少し聞きます。 立石参考人は、外食、インストア加工において、メニュー等の表示で特色ある原材料表示を行う場合は、納品書等の証憑書類の保存義務を課すことを提案していました。私は一つもっともだなと思ったんですね。 それで、ホテル協会に聞いたら、おたくのところ、別に法律で定められていなくたって、それは納品してくるのがあるのやから、それを置いたらええやんか、こう聞いたら、検討しますというようなことを言って、いつからホテルが政府になったんだと言ったんだけれども。そういう点について至極もっともと思うけれども、どないです、大臣。 ○菅久政府参考人 お答え申し上げます。 現行の法律の状況について御説明いたしますと、まず、業者間取引でありましても、JAS法におきましては、加工食品品質表示基準の第八条におきまして、製造業者等の努力義務ということで書類の保存を規定しております。 また一方、外食、インストア加工におきましては書類の保存についてのこうした規定はございませんが、外食、インストア加工、これはJAS法による表示義務の適用対象となっていないということから、証拠書類の保存義務も課されていないということでございます。 ○穀田委員 それは法の説明やんか。私は法の説明をしてくれと言ったか。至極もっともと思うけれどもどうかと聞いたんでしょう。だから大臣に聞いているんですよ。法の説明を聞いているんじゃないんですよ。そんなことはわかっているんですよ。どうぞ。 ○森国務大臣 委員御指摘のとおりに、ふだんの業務において納品書を保存しているというふうに思います。ですから、これから、私、業界団体の十一月末に出してきた報告書を踏まえて、業界内部の適正化についてルールをつくっていこうと思います。それの中に、委員の御指摘も検討させてまいりたいというふうに思います。 ○穀田委員 検討してまいりたいと思いますということで、余りホテル協会の検討しますと同じようなことにならずに、これはやってもらおうと思えばできるんですよ、みんな持っとんのやからね。そんなもの、納品書なしでやっている話じゃないんですよ。問題は、保存を義務化すればそれは生きるということであって、そこを一つ軸にすればできるという考え方だと思っています。 そこで、ついでに聞きますけれども、JAS法とは、当然、外食産業、それから総菜業者、インストア加工などは規制対象外となっているわけで、そこから菅久さんに聞いてもいいんだけれども、今回問題となっているホテルやレストランなどの外食事業者におけるメニュー表示はJAS法の規制対象外となる。なぜ外食事業者等を規制の対象外としているのかというふうに思うんです。そっちは川口さんですか。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。 現行のJAS法でございますが、例えば加工食品につきましては対象になっております。外食で提供される料理を加工食品とみなして規制していく、あるいは食品表示基準を適用するというようなことになりますと、例えば外食のメニュー名に併記するものとして、料理の一般的な名称、それから、使用する原材料を全て使用する重量順に記載する、料理そのものの重量等を併記するという規制がかかることになります。 ただ、外食で提供される料理につきましては、店舗で提供される料理の種類が多い、あるいは、仕入れの都合等により原材料の種類、重量比が頻繁に変化する、あるいは、みそ汁、サラダ、漬物等、日々切りかえられるつけ合わせ等の原材料もその都度正確に記載する必要が出てくるということで、日々メニューを書きかえる必要が生ずるということで、各外食事業者に表示の実行可能性を期待することはなかなか難しいという事情があるということでございます。 ○穀田委員 結論的に言うと、日々やるのがしんどいということですね。そういうことだがということで、その意味では、適用対象を外食に拡大した場合にそこがネックになる、こういうことですな。もちろんそれはあるんですけれども、私はそこは改善の余地がいっぱいあると思っています。 もう一つ、課徴金制度について聞いておきたいと思うんですね。 二〇一三年十一月六日の記者会見で消費者庁長官が、課徴金制度の導入も検討していきたい旨の発言をしています。 消費者庁においては、行政手法研究会において課徴金制度等について検討が行われていますが、当該制度について、具体的に、食品偽装問題の解決策となるのか、抑止力がどの程度のものであるのか、見解を伺いたいと思うんですね。 課徴金制度については、私も質問してきました。これまで、集団訴訟法案の委員会審議の中でも、実現可能な手法に向けて一歩進める必要がある、来年度中には具体的な法整備に着手すべきとも、私はいろいろ含めて発言してきたわけですけれども、実現に向け早急に対応すべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。 ○菅久政府参考人 お答え申し上げます。 課徴金制度につきましては、いわゆるやり得が残るんじゃないかというような御指摘もございまして、不当表示でやりますと、その事案の抑止、再発防止、こういう観点から意義があるという御意見もございます。この点については、消費者庁のもとに設置されておりました消費者の財産被害に係る行政手法研究会、ここが本年六月に取りまとめた報告書においても指摘がされているところでございます。 一方、導入を考えるに当たりましては、その報告書でも、消費者被害の状況でありますとか現行法令の執行状況を踏まえることなどを求められておりまして、また、制度を導入する場合でも、対象事案の絞り込みでありますとか合理的な賦課金額の算定など解決すべき課題はあるということで、検討することが求められております。 今般の食品表示の問題の中でも、課徴金、いわゆる制裁の強化という御指摘がございますので、消費者庁としましては、この課題を一つ一つ解決していきたいというふうに考えております。 ○穀田委員 一つ一つ解決していきたいというところは、前に比べるとちょっと具体的になったという感じはしますわな。しかし、大丈夫かいなという気がしますね。確かにその点はありますね。 そこで、監視、取り締まり体制の問題について質問したいと思います。 拡大している今回の被害に対して、消費者庁は、限られた人員で調査や情報収集を行い、違反か否かの判断を行い、是正措置を行っているというふうに聞いています。 消費者庁は地方の組織を持たないわけだけれども、現在、この問題についてどのくらいの規模で対応していますか。 ○菅久政府参考人 現在の食品表示の問題でございますが、主に景品表示法を所管しております表示対策課という課で対応しております。 同課の定員は全体で四十八名でございますけれども、もちろん、この四十八名全員というわけにはまいりませんので、個別の事案の調査ということで申しますと、事案というのはそのプロセスによって担当する人数も変わってまいりますが、多いときでも十人弱という体制で取り組んでいるところでございます。 ○穀田委員 だから、多いときで十人弱ということで、非常に大変ですよね。 参考人の質疑の中で、榎さんは、食品表示法の執行に当たっては、体制整備が前提、消費者庁の人員だけでは現場調査、監視指導はできないと陳述をされていました。私も大体聞いていましたけれども、十名足らずというような話になると、それはもうみんな驚くんじゃないですか、全国でこんなことが起こっているのに。私は人を減らすのに反対している方ですからね。だからといって、ばかっとふやせという意味じゃなくて、客観的に見て、これではひどいなとみんな思ったんじゃないかと思うんですね。 そこで、私は、景品表示法等による法規制の強化は必要だと思うんですね。規制を強化すると、それを担保する監視システムがないと実効性がない。先ほども、実効性があることがと菅久さんは言っていました。 国内の食品安全の監督指導は、全て、都道府県の食品衛生担当局と、保健所に配置された食品衛生監視員がそれを実施することになっていますよね。そこで、全国の食品衛生監視員の数は、二〇一二年度で、一つ、総数は幾らか、そのうち専従者は何人か、二つ、専従者以外、当然、残りは兼務者なわけですけれども、兼務者のうち主に食品衛生監視業務従事者は何人かということについて言ってくれますか。 ○菅久政府参考人 お答え申し上げます。 平成二十四年度衛生行政報告例、厚生労働省が公表しているものでございますが、これによりますと、平成二十四年度末現在ということで、七千九百九十五人、そのうち専従者が千二百七十九人。また、残りの兼業者のうち、主に食品衛生監視業務従事者というものでございますが、これは千九百三十四人というふうに聞いております。 ○穀田委員 これも、皆さんわかるように、極めて少ないということだと思うんですね。しかも、専任の食品衛生監視員について言うならば、二〇〇〇年の千六百五十九名から千二百七十九人に減少している。そして、専任の比率も二二・三%から一六%に比率が低下している。 例えば京都なんか、私は京都に住んでいるんですけれども、京都府は、二百六十二人の兼任の食品衛生監視員のうち、主に食品衛生監視業務従事者というのはわずかに十人ちょっとだけなんですね。そして、結局のところ、専任の食品衛生監視員はいない。私が住んでいる京都、これは政令指定都市なんですけれども、京都の食品衛生監視員は二百六十二人なんですね。ところが、専任の食品衛生監視員はゼロなんですね。 国際観光都市でもあり、先ほど、誰だったか忘れましたけれども、和食の何とかといって、やるんでしょう、世界文化遺産。和食の世界文化遺産とかなんとかいってやるところの、京都の専任の食品衛生監視員がゼロ。こんなことをやってたらだめですよ。ですから、その意味で、きちんとこれを充実させる必要がある。これは誰も異論を言う人はいないんじゃないかと思うんですね。 そこで、もう一つ。景品表示法は、違反行為に対し、各都道府県知事は指示まで行えますが、指示違反に対して、各都道府県知事は消費者庁長官に措置請求しかできません。当然、今回の問題を踏まえ、措置命令及び合理的根拠提出要求の権限を付与することを検討すべきだと思うんですね。そのことはいかがかということと、あわせて、その際に、今述べたような点からしましても都道府県の体制を強化すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。 ○菅久政府参考人 お答え申し上げます。 現在、先ほども答弁いたしましたが、国及び地方における表示監視指導体制の強化などにつきまして、法的措置を含めた実効性のある対応策を速やかに取りまとめるため、検討を行っているというところでございます。 具体的には、不当表示に関します監視指導体制の強化ということで、都道府県知事に景品表示法上の措置命令権限を付与する、このことも含めまして検討を行っております。 また、不当表示に関する行政の監視指導体制の強化、また消費者を保護していくためにどのような制度が有効であるか、このことにつきましては現在検討を行っているところでございますけれども、消費者庁としましては、実効性のあるものをお示しできるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。 ○穀田委員 大臣、よく聞いてほしいねんけれども、これは体制がないんでっせ。ほんまにこれは大変なんです。 ここに私は日本消費経済新聞を持ってまいりましたけれども、その中に書いてあるのは、やりたくても人がいない、苦情対応で手いっぱいだと言っているんですよね。だから、この問題について言えば、本気になって体制を強化しなきゃならない。だから、現場を知っているのかということで、体制問題については具体的に数字を詰めてやってもらわなあかんと私は思います。 最後に、業者のコンプライアンスの取り組みについて聞いておきたいと思うんですね。 農林水産省では、外食における原産地表示に関するガイドラインを発表しています。また、日本惣菜協会では、惣菜・弁当の情報提供ガイドライン、原材料、原料原産地、アレルギー物質、こういったもので、それぞれ作成して、事業者の自主的なコンプライアンスを促しています。 一体、こういった問題についてのガイドラインの徹底はどうなっているのか。消費者庁設置後、農水省は消費者庁に対し、同ガイドラインも含め、外食メニュー表示の現状と課題について引き継ぎを行ったでしょうか。また、消費者庁においては、これまでに同ガイドラインを積極的に活用したでしょうか。その点について簡単に。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。 消費者庁の方では、基本的には、法律に定められました表示につきまして責任を持ってやっております。ガイドラインの方につきましては、基本的に農水省の方で引き続き努力をいただいております。 ただ、私どもとしても、例えば消費者庁のウエブサイトに外食のガイドラインに関するリンクを張りますとか、消費者庁の法律について説明する際にあわせてガイドラインについて触れまして御紹介しますとか、あるいは、消費者庁の方にはさまざまなところから電話等でお問い合わせがございます、その際には消費者庁が持っている法律だけではなくこのガイドラインについて御紹介することもございます。そういうことで取り組んで、御紹介しております。 ○穀田委員 私は思うんだけれども、それはえらい消極的やなと思うんです。 というのは、確かに農水省の仕事だって知っていますよ。でも、この惣菜・弁当の情報提供ガイドラインの策定委員の一人は誰か。現消費者庁長官の阿南さんなんですね。ですから、それはそういうことに関与した人が、この問題についていわば積極的に、こういった問題もやりなさいよと言うのが必要じゃないかと思うんですよね。そこまで何か他人行儀で、こっちはこっちでっせと。長官自身がそういうガイドラインをつくった本人の一人として、どない責任を持ってんねんということを言わんならぬわね。だから、責任を持てとは言わぬけれども、うちも頑張りましょうねというぐらい言うのが私は普通だと思うんですね。 そこに見ますように、私は、先ほど述べたように、消費者庁が期待に応えたかという問題に結局帰ってくると思うんですね。過去にさかのぼりますと、二〇〇〇年の初めにBSEの問題が発生し、その翌年にかけて、私は言いましたけれども、原産地偽装などの食品不正表示が相次ぎました。二〇〇七年には、この間言ったんですけれども、不二家、赤福、白い恋人、名前を言うと悪いですけれども、客観的な問題だから。それから船場吉兆といった著名なところが、相次ぐ食品表示の偽装で社会問題になりました。このような食品偽装問題を契機につくられたのが消費者庁ではないのか。 ですから、この原点に立ち返れば、消費者庁内において、今回のような問題は想定内の問題として、事前に何かしら検討、準備的な取り組みがあった上での対応がやられるべきではなかったかと期待するのは当然だと思うんですね。ところが、消費者は今、客観的に見ますとそういうふうに思っていないわけです。 行政による後手後手の対応とまでは言わないけれども、単なる個別事案としての対応ではなくて、これだけ拡大する前に問題意識を持って取り扱うべき問題ではなかったかと考えますが、所見をお伺いしたいと思います。 ○森国務大臣 おっしゃるとおり、食品表示に係るこれまでの違反事例は、これまでも関係法令規範集等にもありますが、今回、業界団体にお示しするために取りまとめたものを見ても、これは毎年のように起きております。これが繰り返されております。これに対して個別の事案の厳正な措置もいたしますけれども、それだけでは不十分であるという御指摘はもっともであるというふうに考えます。 さまざまな観点から調査をしております。また、関係業界の自主的な調査報告書も受け取りました。これをもって関係省庁会議の第二回を近々に開き、対策をパッケージとして発表し、それを進めてまいりたいというふうに思います。 ○穀田委員 私、何でさっき言ったように六月とか十月と強調したかというと、結局、二〇〇〇年の初期からこういうことが起こって、七年にさらに拡大し、九年に消費者庁がその背景を受けてできた後、だから、こういった問題が出てきた瞬間に、やはりもっと敏速にやるべきではなかったかというみんな意見があるということが出発点なんですよ、原点なんですよ。そこを私は言っているんだということを見てほしいと思います。 最後に一言だけ言いますと、私は、さきの食品表示法の附帯決議で、加工食品の原料原産地表示、それからアレルギー表示、食品添加物の表示などについて着手せいと言ったことについて早急に行うべきだと思っています。それに、きょう十二時から日比谷の野外音楽堂で、JA全中の皆様を含めて、TPP決議の実現を求める国民集会が開かれています。私は、日本の食料を本当に大事にするという意味からいっても、こういう取り組みが大事だということを最後に述べて、終わります。 |
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