国会会議録

【第186通常国会】

衆議院・衆院予算委員会
(2014年2月19日)




○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、社会資本の老朽化の対策について、きょうは質問したいと思います。

 二〇一二年十二月の中央自動車道笹子トンネル事故、二〇一一年五月のJR北海道の石勝線事故と、以後、一連の不祥事など、いずれも施設老朽化放置が共通の重要な要因であります。老朽化放置は、命、安全軽視に直結します。ですから、事前防災、さらには減災対策の中においても、まず既存施設の老朽化対策を優先すべきだと私は考えます。

 そこで、公共インフラの維持管理・更新費用の推計について聞きたいと思います。

 国交省が所管する十分野について、まず一つは、二〇一三年度の推計、十年後、二十年後の推計は一体どうなっているか、端的に数字でお答えください。

○太田国務大臣 今後の社会資本の維持管理、更新のあり方につきまして、昨年十二月に、社会資本メンテナンス戦略小委員会、これで答申をいただきました。答申では、この審議会で検討された推計手法を用いまして、国、地方公共団体等が管理する国土交通省所管施設の維持管理・更新費が示されたところでございます。

 具体的には、平成二十五年度には約三・六兆円と推計される維持管理・更新費が、十年後は約四・三から五・一兆円、二十年後は約四・六兆から五・五兆円程度になるものと推計されるというところでございます。

 なお、これらの推計値は、現在の技術や仕組みによる維持管理状況を前提にしたものでありまして、私としては、かなりこれからメンテナンス、維持管理の山が来る、技術革新によってその山を低くし、長寿命化を図るということにしたいと思いますので、今申し上げたよりもっと低くということを目指すということでございます。

○穀田委員 目指しているのは何度も聞いているんです。今後五十年間に、今お話があった推計を合計したら、少なくとも二百十兆円を超える維持管理・更新費用が必要ということであります。

 これまで国交省は、一一年から六〇年度までの五十年間で百九十兆円としてきたわけです。今回の推計に当たって、概略で推計した今までとは若干違って、今お話があったように、小委員会の問題を含めた現実の問題を一定反映させたものだと思います。

 そこで、では、今回の推計は社会資本の老朽化の現状、実態を正確に反映しているのか、もっとあるんじゃないかということについては指摘をしておきたいと思うんです。

 皆さんにお配りしている資料が、十分野の推計、今お話あった数値はそこであります。

 そこで、一三年度予算の、実際に予算化された費用は幾らかお答えください。

○太田国務大臣 二〇一三年度、平成二十五年度の国土交通省の公共事業関係費のうち、維持管理費につきましては、国直轄事業分で約四千九百億円となっています。更新費用につきましては、既存インフラの補強を行う防災、減災対策の切り分けができませんが、防災、減災、老朽化対策に係る公共事業関係費は約二・一兆円となっております。

 なお、維持管理・更新費用の地方単独事業分については、国土交通省としては把握外でございます。

○穀田委員 今お話あったように、四千九百億円、切り分けはできないけれども、何となく、合計すると二兆一千億円だ、こういうことですわな。

 二〇一三年度の必要な額、推計値でいえば合計三兆六千二百二十億円、ここの下に書いていますように、それだけある。

 ところが、今言ったように、多目に、うんと見積もっても、合計しても二兆五千億円。実際はもっと少ないわけなんですけれども、そういう内容になっているということですね。だから、見合っていないということは事実だ。

 地方の分はわからないということで、では、もう一遍、総務省に聞きますけれども、二〇一三年度の地方の維持管理・更新費用はどれほどか、どの程度につかんでいますか。総務省。大臣。

○新藤国務大臣 数字を確認されたければ、ぜひそれは御通告いただきたい、このように思います。

 それで、今私どもで手元で急ぎ用意した資料でありますが、決算ベースで、地方公共団体の維持補修費、これは平成二十四年度において一兆一千億ということになっております。

○穀田委員 昨年も私はこの問題について指摘をして、きちんと把握せいということを言ったし、ことしも、昨日のところでは、そういうことを聞きたいと言ってはあるんですけれども、それはいいでしょう。

 問題は、実際には、三兆六千二百二十億円かかるといった推計値よりも低い、一四年度の予算案もこの推計に届かない。これは私は、維持管理、更新が必要なのに、それにふさわしい費用が手当てできていないということのあかしだと、現実は。これは本当にゆゆしきことだと思うんです。

 そこで、財務大臣にお聞きしたいんですけれども、笹子トンネルの事故というのは、当時、改修、更新の費用を三割減ということで指示するということで起こっていました。また、JR北海道について言うならば、安全投資が二〇一〇年度までずっと下がってきて、改ざんするまで下がっていて、二〇一一年度でようやく上がった。

 こういう例のように、安全投資という問題が、削減されているとか不十分だという状況を呈しているんじゃないか。だから、私は、本来必要な維持管理、補修の費用が予算化されていないと。

 先ほどもお話あったように、国交大臣もお話ししていますし、何回もお互いに議論しているんですけれども、老朽化対策というのはもう待ったなしだということは共通の認識なんですよね。

 そうなりますと、どれだけ推計値で必要かと言っているものに対してつけないという現実は急ぎ正して、少なくとも推計値にふさわしい予算の増額の手当てをすべきじゃないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣 これは穀田先生おっしゃるように、東京オリンピック、今の五十年前、あのころにできたのがほとんど限度が来ている、基本的にそう思っておかないと、元セメント屋としては、五十年というのは、大体、メンテナンスをよほどきちんとしない限りは、五十年たったらと思わなきゃだめですよ。当たり前の話です。

 したがって、それをきちんとやっていないようにしちゃった一番大きな理由は、公共事業を減らしていったときに、やはりメンテナンスとかそういったところのものを一番削減していったというのが多分現実なんだと思うんですね。

 笹子は直轄道路じゃありませんし、JR九州もちょっと、直轄じゃないわけですけれども……(穀田委員「北海道です」と呼ぶ)北海道もJRですから。ですから、そういった意味では、直轄ではないとはいえ、多分、あのトントントントンとずっとやっていく、最も地味な仕事ですけれども、ああいったものをきちんとやっていくというのにしかるべきお金を払っていない、しかるべき予算をつけていないというところがああいったことになりますので。

 今後とも、私どもとしては、今言われましたように、老朽化しておるであろう、かなりインフラとしては時間がたったものに関してきちんとした予算を配分していくということは、今回の予算でも、新しい公共工事となったら、土地代に行ってまたということになりますので、基本的には、メンテナンスというものに非常に大きな金、予算の配分はもう御存じのとおりですから、きちんとした比率で、メンテナンス、補修、そういったものの方の比率を非常に高くいたしております。

○穀田委員 その比率が高いかどうかについて、もう少しこれから検討していきたいと思うんですけれども、問題の本質は、財政制度審議会の建議でも、やはり、新規投資については、これまでのようなやり方で重視する考え方を転換する必要がある、むしろ、既存の社会資本ストックの有効活用やソフト施策との連携強化に軸足を移していくべきである。今財務大臣からありましたけれども、高度成長期以降に蓄積してきた膨大なストックが今後更新時期を迎えることから、その老朽化対策に真剣に取り組む必要があると指摘していたんですね。

 ところが、予算の考え方という方針書には、それが削られる、なくなっているという現実があるんですよね。ですから、そこは指摘しておきたいと思うんです。

 では、今お話のあった関係で、先ほども国交大臣は長寿命化の話をしました。公共のインフラの八割を管理する市町村の現状はどうなっているかということで聞きますと、私は、そこの中身について少しまず聞きたいと思うんですね。

 長寿命化計画の策定状況と、それから、長さ十五メートル以上の道路橋のうち、点検で必要とされた修繕を実施した割合はどのような状況になっているかということを、これは言ってありますので、総務大臣、お答えいただけますか。

○太田国務大臣 地方公共団体が管理をいたします十五メーター以上の橋梁は、約十四万四千橋ございます。平成二十五年四月時点で、長寿命化修繕計画の策定率は八七%でございます。

 また、策定されました長寿命化修繕計画の中で修繕が必要とされた橋梁数、これは六万九千橋ありまして、全部の四八%に当たるんですが、これに対しまして、修繕を実施している橋梁数の割合は、同じ時点で一五%というのが現実でございます。

○穀田委員 だから、必要なものが実施されたのが一五%という極めて低い現状だということ。これは、本当に今のインフラの状況で、今、私どもが直接見ましても、えらいことになっているなと思うんですよね。

 それで、長寿命化計画は策定しているんだけれども、実施されているのは極めて低い。町村でいくならば、実際は、今あったように、市区町村でいうと四・七%ということで、一桁。そっちの方は余り言うてへんのやけれども、大体そうなっているんですね。だから、驚くべき事態だ。

 では、そういうものをやるべき人たちはどの程度配置されているのか。市町村の老朽化対策関係の技術者というのはそれぞれの段階でどれほどいるのかということについてお聞きしたいと思います。

○太田国務大臣 国交省におきまして、二〇一二年に、全国の地方自治体に対しまして、道路、河川、港湾、下水道等の維持管理業務を担当する技術職員数についてアンケート調査をいたしました。

 その結果、道路を例にとりますと、人口三十万以下の市におきましては、一人から五人が最も多くて、つまり五人以内ということになりますが、四一%を占めています。

 一方、これも道路についてでありますけれども、町においては技術職員数は、いない地方自治体はおよそ二三%、一人から五人の職員がいる地方自治体が、または、五人以下しかいない、こう言うかもしれませんが、およそ六九%を占めているという状況で、現実になかなか地方自治体での担当できる職員が少ないということは事実でございます。

○穀田委員 今私は何を言いたかったかというと、インフラの現状は地方ではどうなっているか、それについて、計画はあるんだが実施がやられていない、その最大の原因は、予算がないということと、あわせて、実はその原因になっているのは、人がいない、技術者がいない。

 だから、この問題でいうならば、実は、技術系の職員がゼロと今あったけれども、二三・三%というだけじゃなくて、村でいうならば四一・二%を占めている、四割以上のところが実は技術系職員がいないという現実なんですね。

 だから、今のインフラの現状とあわせて、それをやり抜く力がなくなっているというところに大きな問題があるということは、おわかりいただけると思うんですね。

 そういう中で、では、先ほど財務大臣もお話があったけれども、一方、公共事業の中身はどうなっているかというと、新規の建設の公共事業がふえているという現実があります。とりわけ大型開発は、従来からのものが継続され、凍結していたものが次々と復活しています。

 二、三確認しますけれども、高速道路の建設費用は安倍政権になって幾らふえているか。高規格幹線道路と地域高規格道路の建設事業費、これを、一二年度当初予算と一二年補正予算、一三年度当初予算、一三年度補正の合計について、比較して述べてください。

○太田国務大臣 全体的に言いますと、大規模なそうしたものがふえているということは現実にはございません。

 その上で、数字をお答えしますと、いわゆる高速道路の事業費は、NEXCO等の有料道路分、国直轄事業及び補助事業の国費分と地方負担分を合計したものとして、二〇一二年度予算、平成二十四年度の予算で約二・二兆円。二十四年度当初と補正と合わせた数です。

 二〇一三年度予算、約二・一兆円。二十五年度の当初と補正を合わせた数で、ほぼ横ばいという状況です。

 また、二〇一二年十二月の政権交代以降の高速道路の事業費は、補正を二つ、そして当初、合わせて二・四兆円ということでございますが、これが比較は意味があるかどうかというふうに思っておりますが、ほぼ横ばいということです。

○穀田委員 簡単に言うと、二・二兆円から二・四兆円のオーダーでやっているということだけは確かだということですよ。

 そこで、その資料を出してみたのが二なんですね。二〇一三年度当初予算というのがこういう数字になっている。この点を見ていただければわかる。

 そこで、今あったNEXCO三社、それから首都高、阪神高速、本四高速が、大規模更新や大規模修繕の費用がどれだけかかるか試算していて、十年から十五年かけてその工事を実施する計画を発表しています。これは笹子トンネルの事故後に点検、調査し、計画を練り直したものです。

 どれだけかかると想定しているか、そしてその費用はどこから捻出するのか、端的にお答えください。

○太田国務大臣 各高速道路会社が公表しました更新計画によりますと、大規模更新、大規模修繕に係る費用は、首都高速、約六千三百億円、阪神高速、約三千七百億円、NEXCO、約三兆二百億円、本四高速、約二百五十億円となっておりまして、合計約四兆円でございます。

 その財源につきましては、二〇五〇年までの建設債務の償還満了後、十五年間を上限として料金を継続して徴収することによって確保するということを考えておりまして、このたび、必要な法案を国会に提出したというところでございます。

○穀田委員 先ほど来、数字を何度も、財務大臣、見ていただいたらわかるんですが、大規模の大型道路というのは、さっき言ったように二兆円オーダーで来ている。ここにありますように、社会資本の戦略的な維持管理費でいうと大体三千百億円程度になっているという事実から見ても、いかにこれがそちらにシフトしているかということがおわかりいただける。

 その上で、しかも、今議論になっているのは、四兆四百五十億円というオーダーで、今度はそのぐらいかかるということで高速道路の大規模更新の費用が出ている。これですよね、一番下に書いています。

 ですから、高速道路建設費は毎年二兆一千億円から二兆四千億円使って、安倍政権になってから、合計しますと大体四兆九千億円投入しているわけです。一方、資料三に、今お見せしましたように、大規模更新、修繕は、十年から十五年かかって四兆円を出さなきゃならぬ。そうしますと、十五年かけるとして年二千六百八十億円。つまり、新規建設の二年分で、大規模更新、修繕ができる。

 だから、私が言っているのは、大規模更新、修繕費用というのは新規建設の十分の一でしかないんだと。この現実が、財務大臣がおっしゃっている認識とちょっと違うぜということを見ていただければありがたい。

 したがって、新規建設を抑制して大規模更新、修繕に回すように、これは、もちろん、民間の会社だといえばそれまでだけれども、そういう形で主導すべき事態じゃないのかということはいかがですか。

○麻生国務大臣 先ほど太田大臣からの話もあっておりましたけれども、少なくとも公共工事全体の伸び率というのは、先ほど言われたように一%少々ということになろうかと存じますが、これを、国の直轄道路等々のいわゆる維持管理費の伸び率が三千九百から四千百ですから約五%、それから、国から地方への交付金、これは防災とか安全交付金の伸び率でいきますと三・五%ぐらいと、高い伸び率を確保しておりますので、基本としては、今、穀田先生が言われるように、社会資本の老朽化が本格化しておりますので、そこらのところをきちんとしていかねばならぬということで、その方向でいる。

 その額が少ないとかもっとやれとかいう御意見は、今後、きちんと拝聴しておかねばならぬところだと思っております。

 基本的にそうです。

○穀田委員 桁が違うんじゃないかということを見ていただかないとあかんわけですよ。

 そこで、では、もう少し現実の問題についてやりますね。

 例えば、国土強靱化の流れを受けて、〇八年に調査を中止した六大海峡横断道路構想を復活させる動きが出ています。山口県下関市と北九州を結ぶ新たな関門海峡道路や、四国新幹線建設計画とあわせた、和歌山と淡路島を海底トンネルで結ぶ紀淡海峡道路なんですね。

 新たな関門海峡道路については、山口県と福岡県がそれぞれ二〇一三年に調査費を計上しました。紀淡海峡は、四国に新幹線を走らせて四国と九州を結ぶという交通インフラの構想の一部であって、このために、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会というのを一三年九月に周辺府県が参加して設立しています。

 海峡横断道路は、海峡横断プロジェクトとして、国が主導して建設のための調査活動が続けられてきました。しかし、二〇〇八年、道路国会と言われたときに、道路特定財源をめぐる国会審議の中で、当時の冬柴国交大臣が、私がこれはおかしいんじゃないかということに対して質問したときに、今後、調査は行わないと表明したものです。調査活動を続けていた海洋架橋・橋梁調査会も解散したんです。事実上、凍結されたものであります。

 ところが、今回、地方自治体、地方財界を中心に、関門海峡横断道路や四国新幹線の凍結解除、整備路線への格上げの要望が繰り返されています。国土強靱化政策に沿って、大規模災害時の代替性確保の名前で、海峡横断道路の建設を復活させる動きが今顕著になっていると言わざるを得ない。

 これらは、事実上、政府が主導しているんじゃないかということを危惧するわけですが、いかがですか。

○太田国務大臣 御指摘のように、海峡横断プロジェクトにつきましては、平成二十年三月に、個別プロジェクトに関する調査を行わないこととしまして、二十年度以降、調査を行っていません。リダンダンシーとかそういうことに合わせて国が主導してということではありませんで、調査を今行っていないということが現状であります。

 地元においては、これが欲しいということについて、私のところにも要望があったりいたします。地元における動向については見守っていきたいというふうに考えておるところです。

○穀田委員 では、関門海峡道路について少し聞きます。

 関門海峡は、現在、既存の関門トンネル、大橋もありますし、鉄道トンネルもあります。地元の北九州市や下関市、山口県、福岡県が、新たな関門橋あるいはトンネルの建設を要望するその理由の一つに、災害時に既存のトンネル、橋が利用できなくなるから、その代替通路が必要だというのがあります。

 確認しますけれども、既存のトンネルや大橋や、それから関門鉄道トンネルというのは災害時に通行できなくなる、そうすると別ルートの代替道路が必要だという認識に立っているのかどうか。そして、メンテナンスをしても危ない、使えなくなるという現状なのかどうか。その点について、現状認識についてただしたいと思います。

○太田国務大臣 関門橋及び関門トンネルは、西日本高速道路会社が管理する有料道路でありまして、同社が管理するほかのトンネルや橋梁と同様に、定期的な点検結果に基づいて、補修等の必要な措置を実施しているところであります。

 また、耐震性能については、兵庫県南部地震クラスの地震を考慮した基準で調査をしました結果、致命的な損傷や落橋は生じないということが確認をされております。

 今後も引き続き、適切な維持管理を行うことにより、災害時も含めて、安全に御利用いただけるものというふうに考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたが、地元からは、ほかの活性化ということかもしれませんが、要望があるということについては見守ってまいりたいというふうに思っておるところです。

○穀田委員 この問題は、実は二〇〇八年のときに議論しまして、先ほど言ったように、調査を中止し、その調査する機関が廃止されるというときに、私は、この当時の時点で、優先順位からしてもこういうやり方は間違っている、こういう六長大橋横断道路などというのは。そんな金はないと、今日本に。しかも、老朽化対策に金を使うべきだということを私は主張し、その中止を求めました。

 確かに、その路線のやり方については調査を中止するということで、事実上、中止しました。しかし、いろいろな流れの中で、結局、国土の形成計画というところからは削除されていないんですよ。だから、依然として、政府の根本的な計画の中に残っているという問題があるんですね。だから、これがいつも噴き出てくるということになります。

 今、答弁がありましたように、私は、聞いてみますと、高速自動車道、今、西日本ですけれども、その方々の報告によれば、今あったように、阪神・淡路大震災規模は耐えられる、それから、点検、定期的な補修工事によって大丈夫だと。まして、この橋について言うならば、海外では百年ももったところもある、だから、それを含めて、もたせたいということで、自分たちの、技術者の誇りにかけてそういうことを挑戦するということまで言っているわけですね。だから、そういう立場で物を考える必要がある。

 したがって、当然、私は、メンテナンスはやってもらう必要はあると思うんです。それは当然のことなんです。だから、同時に二つのことを私は言わなくてはならぬ。

 一つは、既存トンネル等が、老朽化が進行して使えなくなる状態にはないということ。二つ目は、今後も別ルートの代替道路が必要だという根拠は存在しないということなんですね。だから、老朽化すれば、その維持管理、更新こそ優先すべきである。

 私は、命と安全にかかわる問題にとって、先ほど述べてきたように、根本は、老朽化対策に重点をシフトする必要がある。そして、今現実に起こっているさまざまな維持補修については徹底してやる必要がある。そういう角度で物をやらないと、先ほど財務大臣が言っていたように、公共事業の中で一定の、六%ふえたなどといっても、ここにありました、私、示しましたけれども、二兆四千億円のオーダーと二、三千億円の差なんです。それを転換することこそ必要だということを主張して、終わります。