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【第186通常国会】 衆議院・国土交通委員会
○穀田委員 奄美群島の交付金の創設は、私どもは賛成です。
私は、五年前に当委員会で提案、議論したことを覚えています。当時、私は、経済振興の援助の費用を地元で自由に使える形に変えることが決定的じゃないのかということを述べ、全部上で決めるんじゃなくて、これだけのことをやりたいということをお互いによく考えて、それをどうしたら補助できるかという仕組みに思い切って変える必要があるのと違うかと問題提起しました。 それに対して、当時の金子国交大臣は、予算の制度も交付金にしたらいいじゃないか、地元が使いやすいようにもっとしたらいいじゃないかというのが一番の委員のポイントだと述べて、趣旨はよくわかりますので、それを踏まえてやっていきたいと当時答弁されました。ですから、その意味で、五年前に提案したことが今回の交付金制度に実った点は、私どもとして評価したいと思っています。 そこで、ではその趣旨であった、本当に自由度が増したのか、それから、地元の要望に沿っているかという角度から、具体的な問題について、少し質問したいと考えます。 まず、奄美大島の特産品は、黒糖や黒糖焼酎も一つのメーンでありますが、今回の輸送費引き下げで、加工品は対象とならないとお聞きしました。そして、地元では、ぜひ加工品も輸送費引き下げの対象にしてほしいとの要望を私ども承っております。農林水産物輸送費引き下げに加工品は入らないのかどうか、そして、その理由は一体何ぞやという点についてお答えいただきたい思います。 ○花岡政府参考人 お答え申し上げます。 今回新設をいたします奄美の交付金につきましては、奄美が隣接いたします沖縄の交付金との関係を考えまして、沖縄との間の競争条件をできるだけ近いものにするといった観点で制度設計を行っております。 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、現行、沖縄の交付金においても加工品の輸送というのは対象としていないということから、奄美の交付金でもとりあえず対象としていないわけでございます。 さらに細かく言わせていただきますと、加工品といっても、単純に切ったりするようなものから、単に例えばお肉を切ったりとか冷凍するといったようなものから、さっきの黒糖焼酎みたいに全く姿形が変わるものまであるわけでございます。単純にお肉を切るとか、あるいは冷凍、解凍するといったようなものについては、この場合も対象になるということでございまして、基本的には、とりあえずは現在の沖縄の交付金の運用とほぼ同じ内容で運用を始めてまいりたいと考えております。 ただ、先ほど大臣からもお話がありましたように、交付金制度は未来永劫変わらないわけではございません。いろいろ地元のお声をお伺いしながら、勉強させていただきたいといったふうに思っております。 ○穀田委員 結局のところ、沖振との関係を含めて横並びだというのが、簡単に言うと、説明の中心かと思うんですね。 それは、私は、そうかいなと思うんですね。だから、産業振興でいうんだったら、今一番求められている点でいうと、黒糖や黒糖焼酎というのは切実な問題だと言っているわけで、ちょっといかがかと思うんですね。 しかも、横並びと言うけれども、予算額はどうかというと、八百億と二十一億三千万で、人口比にしたって何にしたって、本当に横並びかというと、どれがどうして横並びなのかと思わざるを得ませんわね。 もちろん、その意味では、変わらないわけじゃないとか、とりあえずと。とりあえずというのも、今まで、当面といって、地方自治法とか地方財政の関係でいうと何十年もやっているということがあるので、余りそれを信用して、よっしゃなんて言っているとえらいことになるから、そう簡単にはあれしませんが。 もう一つ、では、航空運賃の引き下げについても聞きたいと思うんです。 島外に出た方が、島にいる身内に不幸があってもすぐ帰れないし、運賃が高過ぎて家族全員で帰ってくるのは難しい。島の人間だけじゃなくて本土からの人たちの航空運賃も引き下げられるようにしてほしい、こういった要望も聞いております。これは大臣もよく聞いておられると思うんですけれども、支援メニューで活用できる航空路運賃の引き下げの範囲についての説明を求めたいと思います。 ○花岡政府参考人 お答えを申し上げます。 先ほども沖縄との関係で御説明させていただいたところでございますけれども、沖縄の場合は、沖縄県の外との航路、航空路については交付金の対象にしておりません。 ただ、奄美の場合は、今回、若干工夫をさせていただきまして、東京あるいは大阪といったようなものについても、若干金額的には限られたものになるかもしれませんけれども、少なくとも何らかの支援はしてまいりたいといったふうに考えているところでございます。 具体的に、限られた予算の中で、どういった部分を交付金の対象にするのかということについては、今、鹿児島県と十二の市町村との間で、それぞれ、例えばどこからお客さんを呼びたいとかということがございますので、調整をしていただいているところでございまして、私どもとしては、それの成り行きを見ているといった部分があるわけでございます。 ○穀田委員 しかし、今の話を聞いていると、調整中だということになるんですけれども、現場に言っているところでいうと、一定の説明はしているわけですよね、こういうことのメニューはこうですよと。 では、それは一体全体どこに書いて、どういうことを基準にして地方自治体等にはお話をしているんですか。 ○花岡政府参考人 お答え申し上げます。 今回の交付金は、もちろん、財務省との間で、予算を編成していく過程で一定のやりとりがあったわけでございますけれども、そもそもどういう交付金の中身にするか、メニューにするかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますような沖縄の例も見ながら、あるいは、地元の各市町村長さんの御要望等を聞きながら調整をさせてきていただいているところでございまして、大まかな使い道については共有ができているといったふうに考えております。 もちろん、委員御指摘のように、実際に補助金、交付金といったような制度を正式にスタートする段階では、そういったお金の使い道あるいは事務のあり方といったようなものを規定した補助要綱、交付要綱といったものを設定することになります。 これにつきましては、現在地元で進められております調整が、そういったようなものを受けた形で、そごを来さないようにするといった意味で、地元の御意見を伺いながらつくってまいりたいと考えておりますけれども、もちろん、基本的な考え方といたしましては、地域がみずからの責任で裁量性を持って取り組むという法律の規定の趣旨を踏まえて、そういった内容になるように検討を進めてまいりたいと考えております。 ○穀田委員 もう一つ、もごもご言っているので。 結局、法案でいうと、八条二項第一号で、そこでは「政令で定めるものに関する事項」もあるし、それから、三項二号では「主務省令で定める事項」となっている、それとあわせて要綱がある、こうなるわけですわな。これから決めるということになると、一定の幅があると言ってみて、しかも、今の参考人の報告によると、今までやりとりしたほかの例も見ながら、要望も聞いて共有できていると。こう言うのであれば、私は、もっときちんと要綱に反映させる努力を行うべきだというふうに思うんですね。 法案では、県が交付金事業計画を作成しようとするときは、あらかじめ奄美群島市町村その他の関係者の意見をよく聞くよう努めるものとする、こう記述されているんですね。 この間、大臣、法案の提案理由説明をやりましたよね。覚えておいでだと思うんですけれども、そのときに、二つ目のところで、「奄美群島において、みずからの責任で地域の裁量に基づく施策の展開を後押しする仕組みとして、新たに交付金制度を創設する」と述べたわけです。今、後ろから持ってこられて、見ているようですけれども。 交付金制度は、さっき言ったように、いいことなんですけれども、ただ、私が問題提起したときに、もともとの趣旨、また、お互いにそういうものをつくる場合の考え方の中心は財政の自立性、なかんずく地元が使いやすいようにするというのが出発点なのだから、あれこれ言いません。二つだけ言っておきます。 細かい話をしているんじゃなくて、地元の要求に応じて柔軟に使えるようにすべきじゃないのかということが一つ。もう一つは、要求に応えられないような予算の制約があるのであれば、交付金の額をもっとふやすべきだ。この二つについてだけ、基本的な姿勢について大臣にお聞きしたいと思います。 ○太田国務大臣 まず、交付金を今回つくった、五年前に質問をし、指摘をしたという、それがやっとでき上がったということは非常に大きいことだというふうに思います。奄美の方々も、大変これは画期的なことだと。 率直に言いますと、沖縄には随分応援しているのに奄美はねという思いが奄美の中の人には相当あるようで、この二十一億に及ぶ交付金を楽しみにしていて、まず現地からも、航空機の運賃の逓減ということとか、幾つか具体的に、長年出ていることが、今回二十一億という形で実現をする。ですから、自主性というところまでは、なかなかいくというよりは、もうそれ自体が自主的に、せめてということで、もっと多くの交付金が欲しいということだと思います。 この交付金の使い方は、今述べましたように、地域、鹿児島県と十二市町村が、みずからの裁量で施策を柔軟に展開できる仕組みにしているということでありますので、この二十一・三億を、その補助金と比較して約三倍ということになっているわけですが、運用する中で、地元の声をお伺いしながら、必要に応じて検討してまいりたいというふうに思っています。 同時に、もっとふやせということでございますが、それはもう要望からいくと、さまざまふやしてほしいということが、むしろあふれているような状況でありますので、ここは政府内での予算編成ということに、全体にかかわることではありますけれども、私としては、少しでも多く応援をしたいという意思を持っているということだけ申し上げておきます。 ○穀田委員 わかりました。ですから、柔軟にということの精神は確認できる、ふやそうという意思もお互いに共通であるということだけは言えると思うんですね。そういう点では、奄美の方々の運動と取り組みについて、本当に心から敬意を表したいと私も思います。 そこで、もう一つ、産業振興の問題について触れたいと思うんですね。 私は五年前も、この問題について次のように要求しました。農業の振興、地場産業の育成、高齢者施策の充実が、一連の、当時の答申だとかその他の御意見を踏まえた、共通の指摘でした。私は、若者の定着には雇用先が要る、したがって思い切った産業振興策が必要だと。当時も私は、黒糖焼酎の問題や農業、大島つむぎの振興のために、例えば、生産に対しての所得補償、一定の価格保証、従事する若者がひとり立ちできる、五年間程度の生活保障と訓練の保障、それから、つむぎの今日的ニーズの掘り起こしや生産家への手厚い補助、販路の拡大、つまり、インキュベーションの強化等が必要だ、こう提起をしたわけであります。 奄美群島振興開発審議会の意見具申でも、産業の発展等の重大性が指摘されています。奄美群島の具体的な産業振興の方向をどのように考え、具体的な支援策をどのように行おうとしているのか。特に、大島つむぎや黒糖焼酎等地場産業の育成に対して、これまでどのような支援策を行ってきたのか、今後どのような支援策を講じていくのか、明確にされたいと思います。 ○花岡政府参考人 お答え申し上げます。 産業振興に力を入れるべきではないかという御指摘でございます。 新しい産業の振興につきましては、先ほど来、戦略産業が三つあるといったようなお答えをさせていただいているところでございますけれども、今回の御質問は、伝統的な大島つむぎ、黒糖焼酎といったような、まさに奄美ならではの産業について何をやってきたか、今後どうしていくかという御質問でございます。 基本的には、こういった部分につきましては、まさに伝統的な産業でございまして、人材の育成とか販路の拡大といったような点について、地元の取り組みを補助金等で支援してまいったわけでございます。 今後の方向でございますけれども、先ほど来話題になっております、世界自然遺産に登録をという動きがございます。そういった中で、観光客の方が増加するといったことも見込まれるわけでございまして、そういった機運を捉まえまして、大島つむぎの泥染め、織りといったようなものの体験ツアーとか、あるいは黒糖焼酎の蔵元をめぐるツアーとか、地元産業を取り入れました観光メニューをつくりまして、知名度を上げ、購入につなげる流れをつくっていくといったようなことが考えられているわけでございます。 その際、これも委員の御指摘がございましたように、大島つむぎの、大きな着物はなかなかお値段の関係で買えませんけれども、例えばネクタイとか小物類といったようなものを開発するとか、そういったようなことも含めて対応していきたいと思っております。 さらに、販路の拡大といった意味では、奄美の方々が、首都圏とか大阪といったようなところで物産展とか商談会の開催といったようなものを積極的に進めるような動きが出ております。 こういったような取り組みに対して、私どもといたしましては、まさに今回創設されました奄美群島振興交付金を使いまして、支援をしっかりしてまいりたいといったふうに考えております。 ○穀田委員 ただ、私は、支援の内容がやはり単発的で、その程度で大丈夫かいなと率直に思うんですよね。 というのは、大島つむぎでいいますと、昭和五十五年、三百億円をピークに、現在は約六億円に減少しているわけですね。ですから、決定的に、この現状を踏まえた抜本的な対策の強化をしなければだめです。 しかも、今、参考人がおっしゃいましたけれども、お話ありましたが、確かに、大阪といいますけれども、首都圏における販売と、それから京都における取り組みというのは、民間は随分やっているんですよ、いろいろなことを。私が知っているところも含めて、出身者もいますから、そういう交流もしているんですけれども、そこの点での交流なんかについても、もう少し私は力を入れてやらないとだめじゃないかと、率直に現場を見て思っています。これはもう少しこれからも議論して、またお互いに知恵を出していくということでしたいと思います。 最後に、定住促進の問題について一言聞いておきたいと思うんですね。 今回の法改正の中に、定住の促進を図るということの旨が書かれていますけれども、なぜこういうことを入れたのかということと、では、具体的に国交省としてどう支援していくつもりか、これを端的にお答えいただきたいと思います。 ○花岡政府参考人 お答え申し上げます。 奄美では、高校を卒業されますと、卒業生の方は約九割が島を出てしまうといったようなこと、まさに雇用の場がないことによりまして、そういった若年層の流出が続いているわけでございます。 一方、小笠原の場合は、医療等の体制が必ずしも十分ではないということから、一定の年齢になられますと、せっかく小笠原に来られた方が、また本土に帰ってしまわれるといったようなことが起きております。 そういったような中で、私どもといたしましては、奄美と小笠原の方々が、島に居続けたい、故郷で親しい方々とともに生きていきたい、そういった気持ちを受けとめ、振興を図っていくといったようなことも含めまして、単純に経済的なことだけではなくて、そういったようなものも含めて、今回、法目的に定住の促進というものを追加させていただいたわけでございます。 定住の促進のためには、先ほど来申し上げておりますように、産業の振興と雇用の拡大といったもの、さらにはもう一つ、医療や教育の充実といったようなものが必要なわけでございます。 奄美につきましては、今回の交付金あるいは産業振興促進計画といったような新しい二つの仕組みを使いまして、地元が成長戦略ビジョンで成長三分野と位置づけておられます農業、観光、ITといったものの振興を図り、雇用の拡大につなげてまいりたいといったふうに思っております。さらに、並行いたしまして、一般的な企業誘致等々も実績を上げつつありますので、そういったものについても力を入れていきたいと思っております。 小笠原につきましては、何よりも観光でございまして、産業振興促進計画等を活用しながら、受け入れ環境の整備を進めていきたいと思っております。 それから、生活環境の整備という点では、まさに今回の法律改正の中で、医療、介護、教育、防災といったさまざまな配慮規定を追加させていただいたところでございます。また、関係大臣にも主務大臣として入っていただくといったようなことを工夫いたしております。 二年前の離島法の改正においても、いろいろな配慮規定が追加されておりますけれども、これは昨年の春から改正離島法が施行されるに当たって、例えば妊婦さんの出産の環境整備とか、高校生の方の修学支援とか、まさに配慮規定が入って、実際に予算等も措置をされ、地元に喜んでいただくようなことが幾つも出てきておるといったふうに思っております。 今回、奄美、小笠原につきましても、そういった配慮規定を追加するわけでございますので、関係省庁と連携しながら、そういった生活環境の改善についても、産業、雇用とあわせて取り組んでいきたいと考えております。 ○穀田委員 今お話ありましたけれども、支援策の中身はやはりソフトが中心なんですよ。だから、具体的に施策を実行しようと思えば、確かに、主務大臣をふやすだけじゃなくて、予算をふやさなくちゃしゃあないんですよ。 今出しましたように、これは皆さんのところにお配りした、最後、これだけ使おうと思うんですけれども、予算のあり方を見ますと、今までのやり方でいうと、公共関係が九八・三%、非公共は一・七%なんですよね。 行かれた話を先ほど同僚の議員もされましたけれども、住んでいてよかったと思えるような島づくりになっていたのかということについて、はっきりせなあかんと思うんですね。私は、ソフト面に使える予算をふやすためには、非公共のシェアをふやすべきだと。これを見てわかるように、一・七%なんですね。 先ほどは交付金の話をしましたけれども、せっかく主務大臣もふやしているのやから、そういう意味でいうと、予算も非公共のところをしっかりふやして、公共を減らせと言っているのではないんだけれども、そういう意味でもシェアをしっかりふやすなどの努力をして対応をしなくちゃならぬのじゃないかということだけ言って、終わります。 |
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