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【第186通常国会】 衆議院・国土交通委員会
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
四人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見をありがとうございました。 早速質問に入ります。 都市再生法をつくる前提になった都市再構築戦略検討委員会のメンバーである浅見参考人に、この検討委員会の中間取りまとめに関連して聞きます。 検討委員会では、都市整備に関しては、「今後は、個別の政策課題への対応と併せて、中長期的観点に立って、経済・社会の変化に対応して、都市構造そのものの再構築が必要となっている。」としています。「地方都市・大都市のそれぞれの再構築に向けた取組みを促すこととし、その指針となる総合的な都市再構築戦略を策定」した、こう認識しています。 中間取りまとめでは、地方都市と大都市に分け、大都市をさらに郊外部等における高齢者の増加への対応と国際競争力の向上と分けて提案しています。 私は、大都市部の都市政策、都市のあり方に関連して、国際競争力の向上、国際競争力を備えた町、この問題が一体何なのかと聞きたいんですね。 そもそも、国際競争力を備えた町というのはどういうものかということが一つ。もう一つは、今回の法案で、この国際競争力を備えた町をつくるという視点がどこに入っているのか、お教えいただきたいと思います。 ○浅見参考人 御質問ありがとうございます。 まず、中間取りまとめは、私の意見では、若干わかりやすくするためにわざと分類を明確にしたというところがあるかと思います。 実際には、大都市の中でも地方都市のような問題というのはあると思いますので、そういった部分も実際には手当てが必要なんだろうというふうに思います。 特に、国際競争力の部分ですけれども、現在、日本がかなり低成長の時代に入っている中で、国際的にはだんだん、競争力といいますか、順位が落ちてくるような部分がございます。 そういった中で成長エンジンをどこに求めるかというと、やはり生産性が高いところということになると思いますが、それが特に都市に多い。都市だけというわけではありませんけれども、都市が多いので、そういったところの利便性を高めるとともに、特に海外からの投資を呼び込むためには、そういった高品質の都市空間というのをつくらなきゃいけない。そういった意味で、そういうことを言っているというふうに思います。 今回の措置ですけれども、今回の措置は、私は、理解としては、国際都市を高めるための措置というよりは、むしろ今後広がっていく縮小していく都市をいかにマネジメントするかという視点の方が大きいというふうに考えておりますので、その国際都市という意味での位置づけといいますか、意図というのは弱いのではないかというのが私の意見です。 ○穀田委員 ありがとうございます。 法案のどこに入っているのかということは余り言及がありませんでしたけれども。 次に、まちづくりと都市再生ということで、大体、交通政策との関連性を多くの参考人が陳述されました。 そこで、森参考人と竹内参考人にお聞きします。 私は、ずっと問題意識を持っているのは、この間、まちづくりの流れがどうなっていたかということについて、規制と緩和という問題が一貫して随分あるんじゃないかと思っているんです。 そこで、今回の法案それ自身は、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援する。それで、住宅だとか医療だとか福祉、商業、その他の居住に関連する施策の誘導、それから、連携した公共交通に関する施策、これをやりながらやるということなんですよね。 そこで、大型店の立地を規制していた大店法の廃止など、規制緩和によって大型店や公共施設など大規模集客施設が郊外立地を加速し市街地を拡散したことで、中心市街地の商店街や町中居住が寂れ、空洞化していったことが背景にありました。 そこで、二〇〇六年のまちづくり三法、都市計画法の改正で、店舗面積の一万平米以上の郊外立地の規制などゾーニング規制強化が行われました。その後、大店法の郊外立地がどこまで抑えられているかと見ますと、一万平米以上は少なくなりましたが、一万平米未満五千平米以上の大型店は相変わらず郊外に進出しているということが経産省の議論の中でも経産委員会の議論の中でもあります。 そこでお聞きしたいのは、コンパクトなまちづくりを進めるためにはやはりゾーニング規制というのを強化する、例えば規制対象を三千平米以上にするとか、準工業地域も規制対象に加えるとかすべきじゃないか、その点をお聞きしたいのが一つと、もう一つは、今回の法案は誘導が中心で、こうした規制強化策が不十分だと思うんですが、この点もあわせて意見をお二方にお聞きしたいと思います。 ○森参考人 私は個人的には、規制で推進するのではなくて、誘導で動かすということでないとなかなか町全体を動かすということは難しいのではないかとずっと思っています。 それから、最初の御質問については、大型店規制のときのこの部屋で穀田先生から質問されたことを思い出しましたが、一万平米でいいのか、三千平米にしろという意見はどう思うかという御質問をいただいたことを覚えていますが、そのときと同じ答弁になると思いますが、若干それ以降の流れの中で、やはり大型店が出てくるということについては我々の施策を進めていることにかなりバッティングします。その意味においては、都道府県によってさまざまな条例を持っているところもありますので、そのあたりの判断を参考にしていくことかなというふうに思っています。 もう一つは、市街化区域があって調整区域があってその外に無指定があるという問題が一つと、都市間をつなぐ広域調整の機能がうまく発揮されていないということだろうと思っています。一自治体としてはコントロールできない大型店の問題だろうというふうに思っています。 ○竹内参考人 一律に、規制か誘導か、こういうことで問われれば、できるだけ誘導でいきたいというのが基本であります。 しかしながら、現実にコンパクトシティーをつくっていくということを考えたときに、それぞれの地域によって立地適正化計画の具体的な内容を考えたときに、本当に、ある施設をこちらからこちらに誘導できるのか、そういうことに悩まれるところは数多く出られるのではないかと思います。 これについて、それぞれの地域の事情に応じてということになりますので、やはり法のレベルではなくて条例のレベルになろうかと思いますが、ある種の線引き、これはあった方がいいというふうに思っております。 これが、線引き以外の、何かこう、移動していく相手先の土地に関する条件、例えばそこを強制的に収用するとか、そういう強い方法とセットでやるとか、もっとほかの方法もあるかもしれませんが、誘導と規制のところだけ取り上げてみれば、今のような緩やかな方法がいいのではないか、こういうふうに思っています。 ○穀田委員 ありがとうございます。 私は、森参考人にお聞きしたのは、その後の事態というのをお互いに検証する意味では、その議論を懐かしく思っているものですから、そこで改めて、前とちょっと違ったのは、後半のところが少し違ったということがわかると思います。つまり、ゾーニングという問題では市域を超えてというのが新しくありました。 私は、そこで次に聞きたいのは、今度は土居先生にお聞きしますけれども、私どもは今度の法案の関係でいいますと、地域交通活性化法というのは、現行法というのは二〇〇七年に制定しているんですよね。それで、先ほども若干そういった御意見ありましたけれども、その後も実は地域公共交通の衰退はとまっていないというのが率直な実態だと思うんですね、もちろん個別の成功例はあると思うんですけれども。 十分効果を発揮しなかったのは、どこに問題点があったのか。つまり、法改正というものを改めてせざるを得ないというのは、当然あるわけで、そうすると、なぜこれが失敗したのか、失敗したと言ったら叱られちゃいますけれども、なぜ衰退がとまらなかったのかという現状認識がやはり必要じゃないかと思うんですよね。その辺の点がどこにありやということをお聞きしたい。お願いします。 ○土居参考人 いわゆる各地域ごとにいろいろ点検してみますと、おっしゃるように、もう協議会が開かれていないとか、どんな協議をされたとかを発信していないとか、さまざまなレベルがあります。地域によってはちゃんとホームページにそれぞれの会議でこういうことがあったとか、その資料も丁寧に配られまして、我々でもちゃんと見て、ああ、ここまで議論が進んでいるとか、さまざまな協議会の情報もあるところもありますし、そうするとまた、こういうことの改善点とかも提起できるわけです。 そういう意味では、地域地域によってそういった協議会なんかのやり方に関しても問題があったように感じていますので、その辺、各自治体によって非常に力量の問題とか人員の問題とかあるでしょうから、今後は、そういう意味で、おっしゃるようにまた違った枠組み、都道府県がちゃんと入って支援していくといいますか、そんなこともやはり今回大きな目玉ではないかと考えています。 以上です。 ○穀田委員 今回の改正の大きな柱というのは、都道府県を含む地方公共団体がその計画を策定できる、広域になることができるということが一つの特徴で、その意味では、地域公共交通の維持改善へ地方公共団体の責任を強めるものであって、私どもも前向きな方向として見ています。 そこで、今、自治体の問題が強調されましたので、土居参考人は、論文の中で、状況を最も把握できるそれぞれの基礎自治体が地域交通に責任を持って整備、実現するべきである、それぞれの地域で交通基本条例の制定が求められていると提起しています。 そこで、森参考人と土居参考人にお聞きしたいんですけれども、今回、都道府県も含めた計画策定が法改正に盛り込まれましたけれども、本当に地域の基礎自治体が地域公共交通に責任を持つものとなるのか、どう思われるかということと、今、土居さんが提起されている交通基本条例という考え方なんかについてどう思われるかということを二つお聞きしたいと思います。 ○森参考人 私どもの市の場合は、県と一緒にというようなことは余り必要性を感じませんが、全国の状況を見ると、例えば、県によっては幾つもの谷筋に都市があったり、谷を越えてまた違うまとまりがあったりと、さまざまなことがあると思いますので、市町村を越えた計画をつくるということは必要だろうと思いますので、都道府県も一緒に入ってということの可能性が開かれることはいいことだというふうに思います。 それから、最後に御質問のありました交通基本条例という考え方については、一部、若干、土居先生と私と考え方が違うんですけれども、私は、交通権という概念をそこに表現として文字化することには反対です。これは基礎自治体としては不作為を問われかねませんので、この議論は、弱者の方々をどう救うのかということは、憲法二十五条の解釈で十分成り立つと思っていますので、そういう限りにおいて、つまり、強く強調した交通権みたいなものをイメージした交通基本条例ということについては必要がないというふうに思っています。 ○土居参考人 今回、交通政策基本法が昨年末から施行されていますけれども、そういう意味で、いろいろ総花的な目標を立てていますので、いかにそういう地域住民の公共交通の足を守るかとかいうことは、なかなか正面からは触れてはいないんです。 そういう意味では、各自治体、市町村を初め都道府県も、やはり、そういう地域の住民の足を自分たち行政が守るという姿勢をちゃんと出すべきだと思っていますけれども、これも上から、いわゆる落下傘方式といいますか、それも行政が一方的に上から住民、市民の足を守るというのではなくて、やはり地域地域で住民の方がどういうふうにして日常を過ごしたいか、住み続けられたいかをちゃんと議論していって、さまざまな意見の対立もあるでしょうけれども、どんな町に住みたいか、どういう生活をしたいかをちゃんと実現するために、交通がどうあるべきかということを積み上げていくといいますか、こういう一つの手だてが、時間はかかりますけれども、そういう形で、交通まちづくり条例とか、あるいは交通基本条例でもいいんですけれども、一つはやはり、交通空白地帯をいかになくすかとか、離島の足をどうするかとか、住民の方が共通して、自分たちはこういう生活をしたいとか、いろいろな形で出し合いながらつくるというのを地方自治を高める点からも大事に思っています。 そういう点で、やはり地域地域で、すぐに実現しなくても、こういう形の町に、こういう公共交通になってほしいとか、そういうのを打ち上げるといいますか、ぜひ、そういう政策を、都道府県なり市町村がまちづくり条例をつくって、一つに住民が団結してこの方向を目指すといいますか、こういった社会が必要ではないかと考えています。 以上です。 ○穀田委員 交通基本法、それから交通政策基本法という議論の過程の中で、実は、そういう交通権という問題が随分議論されました。一番最初に出された案は、交通権というのが入っていた案だったんですね。それがいつの間にか消えるという、政権のいろいろなせるわざがあったわけですけれども、私どもとしては、そのことで不作為が問われるかどうかという問題が一つの論拠にはなりましたけれども、そこまで本当に不作為が問われるのかという問題も議論になっているということだけは言っておきたいと思う。 最後に、二つだけ土居参考人にお聞きします。 土居参考人は、この参考レジュメで、都市再生特別措置法改正案については問題点が多く、賛成しないということで、先ほどありましたのは、町壊しになる可能性ということなんかを中心にお話しされていました。もう少しこれを詳しく言っていただければ幸いです。 それと、最後に、先生は、先ほど来言っていましたけれども、住み続けられる地域、住み続けられる町ということを随分おっしゃっています。私も、今の状況を見ますと、国民にとって住み続けられる地域として再生する上で、公共交通というのがどういう役割を果たすかということが問われているんだと思うんですね。 だから、今回の法改正について言うならば、都市再生法のまちづくりと一体となって進めると一応しているんですけれども、いつまでも住み続けられるまちづくりのために、こういうことの考え方、基本というのは何を据えるべきなのか。 ばくっとした話で失礼ですけれども、その二つだけ最後にお聞きしておきたいと思います。 ○土居参考人 町壊しというのは、私自体は、イメージとしましては、一つの鉄道の駅に非常に超高層のマンションが建ってしまうとか、そうすると、これまで、町の中で、ゆったりとした町が全く何か機能的なだけの町になってしまうとか、あるいは大型スーパー、まあそれほど巨大なスーパーでなくても、町中にできて、そのために駐車場ができて、立体駐車場が林立するとか、やはりまちづくりでは郊外に住んでいる人もいろいろ中に入ってもらうのは大事ですけれども、郊外で公共交通に乗りかえてもらって、それで中にはゆったりと入っていただく、そしてまた、自分の住む郊外に帰っていただく、こういうことが一つの狙いですから、やはり、林立した高層のマンションづくりとか巨大なスーパーをつくるということは非常に町壊しになるのではないかという点が論点です。 あと最後の、住み続けられるまちづくりのお話ですけれども、どういうふうに住むかが非常に問題ですね。生活の質をいかに高めながら、自分の人生をそこで過ごしてよかった、郊外のときにゆったりしたけれども、中にも入って、コミュニケーションも図れて、いろいろ文化も芸術も楽しめたという、そういう意味では、人々の願いをいかにそこで実現するか。やはり住民の声をちゃんと丁寧に聞くといいますか、余りハードな面で、投資だけと違って、やはりソフト面、人づくりですね。ですから、いろいろマンパワーでまちづくりをやっていくというふうに、ぜひお願いしたいと思います。 以上です。 ○穀田委員 どうもありがとうございました。 |
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