国会会議録

【第186通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2014年4月17日)


○穀田委員 きょうは、航空業界におけるパイロット、整備士、客室乗務員の不足とその対応について質問します。

 建設業の人手不足、バス運転手の人手不足など、きのうも言いましたけれども、深刻になっている。将来の産業を担う若年労働者の育成、確保対策は当然ですけれども、現時点でも現場にさまざまな弊害や悪影響があらわれ始めています。

 そこで、まず最初に、パイロット、整備士不足の現状と課題について、国交大臣の認識をお伺いしたい。

○太田国務大臣 我が国の航空会社では、今後の航空需要が増大します、それに対してパイロットの需要、パイロットを初めとする方々の需要が増大する。全体の四三%を占める四十代のパイロットが、十五年から二十年後になりますと、六十五歳の定年ということで退職を余儀なくされる。ここはどうするかという点があるんですが、そこの大量退職するということが見込まれている。このために、我が国における新規パイロットの需要が供給量を大幅に上回り、中長期的なパイロット不足が発生するおそれがあると思っています。特に、中小の航空会社やLCC、これからふえますので、機長の中で三二%を現在六十歳以上のベテランパイロットが担っている、これが数年で退職するということが見込まれて、短期的にもパイロット不足に直面すると思います。

 整備士につきましては、航空需要の増加が単純に整備士の増加には結びつかない面があるとはいうものの、今後、中長期的には整備士の需要が増大するということは必至だというふうに思います。さらに、LCCにおいて、同じようにこの数年でベテランの整備士が退職するということからいきまして、短期的にも整備士不足に直面しているという状況だと思います。

 パイロット及び整備士は、安全かつ安定的な航空輸送に不可欠な人材であり、その不足は航空ネットワーク充実のボトルネックになるおそれがあるというふうに思っています。そのためには、パイロットや整備士の養成、確保のために対策を講ずることが極めて重要な課題になっているという認識をしております。

○穀田委員 最後にお話ありましたけれども、不可欠な課題で、それを国としてもきちんと関与してやらなくちゃならぬ、こういうことですな。大臣も、うんと言っておられるので、大体そんなことだと思うんですね。

 そこで、建設業だとかバス運転手などでは、低賃金、長時間労働が、事故の多発など労働安全それから運輸安全に直結している。さらに、若者の就労意欲をそいで、技術継承ができない、後継者がいないなどの事態を生んでいます。問題は、なぜ低賃金や長時間労働がはびこってきたのかということなんですね。

 市場競争優先のコスト削減、リストラ至上主義とも言える経営がまかり通ってきたことが背景にある。運航の安全を直接担う労働者を単なるコスト削減の対象にして、大量の人員削減などリストラを進めてきたということが大きな原因になっているんだと思うんですね。

 一方、今大臣からもお話あったように、LCCの参入や、さらには、路線の拡大ということで事業を急速に拡大していったために人員確保が追いつかない、これが現状じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○田村政府参考人 今御質問の件でございますけれども、もちろん、先生御指摘のように、乗務員というものが安全の確保に非常に重要な役割を果たしているということは事実でございます。他方で、我が国の航空業界というものを国際的に比較してみますと、非常に高いコスト構造になっているということも事実でございます。

 そういう意味では、航空企業の自主的なコスト低減努力というものも、今後の航空業界の発展のために非常に重要であるというふうに考えております。

○穀田委員 ちょっとかみ合わへん一般論になっているんだけれども、要するに、先ほど大臣からお話あったように、いろいろな現実の条件、つまり、簡単に言うと、二〇三〇年問題と言われるぐらい、そのころ六十歳ぐらいを迎えるだとか、そういう問題はありますよ。しかし、これらは、人員不足とかそういう問題については、前からそれはわかっていたことなんですね。きのう、きょうに何かわかったことじゃないんですね。

 問題はそういうことにあって、今、田村航空局長は、コストが国際的にも高いというような話をしていますけれども、それは、しかし現実は、この間の乗務員のさまざまな給料の削減によって、およそそんなことが通用しないということは明らかだと思うんですね。

 そこで、私は、自衛隊のパイロット民間転職問題について少し聞きたいと思うんですね。

 国土交通省は、五年前から中断していた定年前の自衛隊パイロットの航空会社への転職、いわゆる割愛制度の活用をこの四月から再開すると発表しました。二〇〇九年九月、当時の民主党政権が、公務員の再就職を府省庁があっせんすることを禁止したことを受けて、防衛省も国交省も、自衛隊パイロットの民間航空会社への転職についても自粛してきました。今回の再開の理由は何ですか。

○坂井大臣政務官 先ほどから議論いただいておりますような現状の状況を踏まえ、自衛隊パイロットは飛行経験が長く、航空会社において即戦力としての活躍が期待されるため、まず、航空会社からその活用について要望が寄せられていたところでございまして、この要望も踏まえて、そしてまた防衛省の協力も得て、特に短期的なパイロット不足への対応として、今般、自衛隊パイロットの民間における活用を再開いたしました。

○穀田委員 簡単に言うと、即戦力だ、航空会社からの要請だ、それで短期的な不足を解消する、こういうことですな。

 私は、不足するから自衛隊のパイロットからの供給を再開する、一方で、JALで不当に解雇された自衛隊出身のパイロットがいる、こんなあほなことはないと思うんですね。

 不当解雇撤回の裁判を行っている自衛隊出身の原告の斎藤晃さんは、次のように意見陳述を行っています。聞いてほしいんですね。

 私は、一九七三年に海上自衛隊に入隊して、二十一年間、海上自衛隊で任務に当たり、九四年に防衛庁割愛制度で日本エアシステムに入社した。二〇〇六年には日本航空と経営統合し、副操縦士として乗務。ところが、思いもよらず、二〇一〇年十二月三十一日、年齢基準、これは四十八歳以上の副操縦士、機長は五十五歳以上ということで、解雇されました。解雇された副操縦士に自衛隊出身者が多いのは、三十代後半に民間に移籍したため、機長昇格年齢が高くなってしまったのが大きな理由の一つです。この裁判で、原告に二十四人の自衛隊出身者がいる。これほど多くの自衛隊出身者が裁判を起こした事例がこれまであったでしょうか。日本航空の整理解雇がいかに理不尽きわまるものであるかということのあかしであります。航空会社は、需要の拡大から来るパイロット不足を補うために、訓練期間が短く、訓練費用も大幅に削減できることから、自衛隊出身のパイロットを欲しがってきた。一方、防衛省側とすれば、年齢の高いパイロットの人事上の解決として、民間への割愛制度を積極的に受け入れてきた。自衛隊からのパイロット割愛制度は、航空会社、国土交通省、防衛省、三者合意のもとに進めてきた制度です。そもそも、日本航空の経営破綻と再生は政府が進めてきました。解雇された私たちは、会社にも国にも裏切られた思いです。

 このように語っているんですね。

 私は、自衛隊操縦士の割愛制度に応じた自衛隊員をJALのように不当に解雇したら、政府として、本当にこれに協力していいのかということの姿勢が問われるんじゃないかと思うんですね。JALみたいに経営悪化を理由に首を切る、JALが不当解雇した八十一名、そのパイロットの中に、今陳述で明らかなように、自衛隊パイロットが二十四人もいた。この比率の高さ、こういう実態があるということ、そして一方、今言ったように、割愛制度を復活する、こんなことは私はおかしいと思うんですね。

 だから、史上最高の利益を上げながら不当にも解雇しておいて、今度は足りないから自衛隊から融通してもらう、余りに身勝手じゃないか。本来こんなことは、解雇を撤回させて、現場復帰させたら済むことじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○田村政府参考人 先ほど、今後のパイロットの不足につきまして、どういう見通しであるかということについて大臣から御答弁申し上げましたけれども、いわゆる大手の航空会社につきましては、全体の四三%を占める四十代のパイロットというものが十五年から二十年後に大量に退職するという見通しであり、そういう意味では中長期的なパイロット不足というものが予測される。それから、中小の航空会社あるいはLCC、ここは六十代のパイロットが非常に多い。これが数年で退職するという見通しがあるので、これは短期的にもパイロット不足に直面している。こういう状況の一つの対応策として、割愛制度の再開というものを始めたということでございます。

○穀田委員 そういうものを身勝手ということに思わない考え方というのは、ようわからぬね。副大臣は、さっき言ったように、航空会社の要請だ、短期にも不足しているということを言って、もちろん、こういう方々というのは、私はお聞きしましたけれども、この斎藤さんという方は、もともと教官でもできるわけですよ。だから、そういう話にすると、すぐ話を細かくするけれども、どういうふうに人を育てていくかということを含めて、全体としての人員をどう確保していくか。そのときに、一方で首切りをやって、一方で再開するというのはいかがなものか、そういうやり方がええのかということを言っているわけですよ。

 ですから、防衛省だって、この問題について公式的にはいろいろ言っていませんけれども、やはり調整機関を置いているんですよ。そうしたら、そういう調整機関の中で、先ほど副大臣からありましたように、航空会社から要請があると、その要請に従ってどうするかとやるわけでしょう。確かに個別の人間が対応するわけだけれども、そういうことをやっていないはずはないじゃないですか。先輩、後輩の関係を初めとして、あそこは一番そういうところなんだから、みんな、どないしたら就職があるかなといってやるわけでしょう。そういうことからしても、私は、きちんとこれは改めるべきだと思っています。

 そこで、私は何度も質問したから皆さんも覚えておいでかもしれませんけれども、何せ、JALは二〇一〇年の十二月三十一日の大みそかに乗務員や客室乗務員を不当にも整理解雇しているんですよね。その時点で何人のパイロットを削減したのか。そして、早期退職によるものは何人なのか。整理解雇によるものは何人なのか。ちょっと数を言ってください。

○田村政府参考人 御質問の数字でございますけれども、パイロットとしての内訳の数字につきましては、これは日本航空にも問い合わせておりますけれども、非公開の情報ということで、この場でお答えできる状況にはございません。

 ただ、職種を問わなければ、整理解雇が行われた二〇一〇年十二月末より前までに、八回にわたって行われた特別早期退職及び希望退職募集によりまして、総計五千三百二十名が退職をされた。また、二〇一〇年十二月三十一日付で、整理解雇により百六十五名が退職されたというふうに聞いております。

○穀田委員 そういう数字が、聞いたけれどもわからぬというような話を平気でしているようではあきまへんで。だって、皆さん、これは国の金を投入しているんですよ。

 そして、大臣は、当時の、たしか平野官房長官の時代だったと思いますけれども、JALの問題についてのそういう破綻や再生をめぐって、これは国民にもすべからくいろいろな情報は公開すると言ったんですよ。

 客室の乗務員、それから今の乗務員、これらの方々が安全を担保する前提であり、それを行っている人たちであります。その数がわからないなどと言うのは、それをそのまま、聞いたけれどもわからへんかった、相手も言えぬと、そう言って帰ってきているようでは、何のための国交省なのかと私は思いますよ。

 では、ついでにもう一つ聞きましょう。これもわからないのかな。

 パイロットの退職者は、その後も出ているはずですよ。二〇一一年の一月から現在まで、退職者は何人なのか。

 そもそも、JALのパイロットは何人在籍しているのか。これだったらわかるでしょう。二〇一一年、一二年、一三年の一月一日現在での在籍数を答えてください。

○田村政府参考人 お尋ねの、パイロットの在籍数につきましては、聞きまして把握をいたしました。

 それで、二〇一二年一月一日現在でよろしゅうございますか。機長九百二十名、それから副操縦士六百九十名、合わせまして千六百十名であったというふうに……(穀田委員「二〇一一年と一三年も。全部」と呼ぶ)一一年と一三年もですね、はい。

 では、初めからもう一度申し上げますが、二〇一一年一月一日現在ですと、機長は一千六名、副操縦士七百四十五名、合わせて千七百五十一名であったと。

 それから、二〇一二年一月一日は先ほど申し上げた数字でございます。

 それから、二〇一三年一月一日現在では、機長八百二十五名、副操縦士六百六名、合わせまして千四百三十一名というふうに聞いております。

○穀田委員 それは逆に言うと、その一日は出るわけだから、その中でどれだけ削減したのかとか、早期退職による者は何人かというのは、出て当たり前なんですよ。

 私が調べているので見ますと、少なくとも更生計画案の八百二十九名、これに対して八百四十九名、当時、早期退職だとか希望退職だとか、訓練生や航空機関士の地上職へ編入する等々でやっているんですね。だから、当時だって、いわゆる更生計画案を超えてやっていることは確かなんですよ。ですから、そういう実態を知られたくないから答えないわけですやんか。そういう問題について、どうなっているんだということを調べなくちゃなりませんよ。

 では、もう一つ聞きますけれども、二〇一〇年末の不当な整理解雇実施後、パイロットの中途採用はありますか。

○田村政府参考人 日本航空において、二〇一〇年末以降にパイロットの中途採用は行っていないという報告を受けております。

○穀田委員 行っていないと。

 次に、客乗について聞きます。

 二〇一〇年十二月三十一日時点で何人の客室乗務員を削減したのか。早期退職による者は何人か。そして、不当解雇、整理解雇、それは先ほど若干ありましたけれども、それは省いていいです。

 二つ目に、二〇一〇年末の解雇実施後もJALの客室乗務員が退職しています。退職したのは何人か。

 三つ目、一方で採用を始めていますけれども、何人採用していますか。

 三つ答えてください。

○田村政府参考人 最初のお尋ねの、客室乗務員としての内訳の数字、これはパイロットと同様でございまして、日本航空に聞きましたところ、非公開の数字であるということでございまして、この場でお答えできる状況にはございません。それで、職種を問わない合計の数字というのは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。

 それから、二〇一一年一月以降の退職者数というのも、ちょっと私ども、把握をしておりません。ただ、直近三年間の採用数というのは把握をいたしました。

 これにつきましては、申し上げますと、二〇一一年度は採用の実績がないということでございます。そして、二〇一二年度から再開をしておりまして、二〇一二年度に約六百五十名、二〇一三年度は約六百六十名を採用しているというふうに聞いております。ただ、これは、日本人とそれ以外というのが合わさって入っておりますけれども。

○穀田委員 こういう問題について、私、何回も質問をしているんだけれども、本当に国交省というのは、もちろん、相手に聞いてはいるんですよ、聞くまではやるんですよ。その後、わからへん、答えられませんといって、引き下がるのがようわからぬのやね。だって、国民の税金を投入しているわけだし、しかも情報公開をやっているんだし、やるんだという話をしていて、自分たち、国民の税金を預かってやっているんだから、それを投入しているわけだから、結果ぐらい明らかにしろというのは当たり前じゃないかと私は思うんですよね。

 なぜ私はこのことを一生懸命聞いているかというと、客乗も乗務員もそうなんだけれども、問題は、あの更生計画、それとの関係でどれだけ首を切っているのかということをやはり国民に明らかにする必要があるからなんですよ。これだけやめてもらうなんていう話を、どうなっているのかということを国民が知る権利があるわけですよ。そして、あなた方は知らせる義務があるんですよ。

 ですから、では裁判でどうなっているかというと、十二月三十一日の時点で客室乗務員の有効配置数は四千四十二名となっており、計画における二〇一一年度末時点での必要稼働数四千百二十名を下回っている、こういうふうに指摘して、そのことに対しては何ら反論がないんですね。だから、国交省は、ここもひどいけれども、ここよりもひどいという感じがしますよね。

 それで、先ほど、合計すると千三百十名になるんだけれども、聞きますと、八十四名の首を切っておきながら、千五百八十名の採用が確定しているというのが私がつかんでいる数字です。

 結局、そうなりますと、三人に一人が新人。先ほど田村局長からありまして、外国人も採用していますから、外国人のクルーもある。それはもう労働者では二人に一人とも言われているという現実ですよ。新人がふえたことによってトラブル多発、安全保安要員としての未熟さが原因になっているということが言われている。新人の比率が高いことは、退職者が多いことのあかしでもあるわけですね。

 だから、安全確保に責任を持つべき国交省が、企業の状態や出入りすら把握せずに、どうしてそれを担保することができるのかと私は思わざるを得ない。だから、そういうのは、企業任せにしているとか、企業が言わないからといって、はい、そうですというようなことを言って引き下がっちゃだめだと私は思います。

 そこで、先ほど、なぜ自衛隊のそういう割愛ということになるかといったときに、副大臣のお答えにありましたけれども、ベテランのパイロットは即戦力なんですね。そして、客室乗務員も、もともとこれは、解雇された方々も含めてなんですが、即戦力なんですね。だから、不足するパイロットや客室乗務員を、単に今の事態に備えるだけじゃなくて、先ほど言いましたように、今後の育成、確保する上で重要な役割を果たすということだと思うんです。

 だから、一番最初に言いましたように、現状と課題といいますか、その点で大臣のお答えにありましたけれども、政府が航空産業従事者の育成、確保についてきちんと責任を負うということならば、JALにもこの立場で指導を要請すべきだと考えます。

 歴代大臣は、太田大臣もそうですけれども、この一連のJALの不当解雇をめぐる問題について、円満解決を望むと述べてこられました。だとすると、航空業界における人員不足への対策のアプローチとしても、何らかの指導力を発揮すべきじゃないんでしょうか。その点での見解をお聞きしたいと思います。

○太田国務大臣 パイロット、整備士の不足全体についての現状、課題ということについては、冒頭、私が申し上げました。

 ただ、JALを整理解雇されたパイロットや客室乗務員という問題については、これは現実には個別企業において雇用関係にかかわる問題でありますので、これは日本航空において適切に対処すべきものであると私は考えています。このため、行政として関与することは適切ではない。

 いずれにしましても、日本航空の整理解雇については、現在、司法の場で争われているということでありますので、その推移を私としては見守りたいというふうに考えております。

○穀田委員 個別企業だから行政として関与するのは適当でないと。私は、そうは思いませんね。ILOだってこの問題について憂慮を表明し、すぐれてこの解雇の問題は、その対象者が、労働組合の役員が中心にやられているという問題に着目して、そうなりますと、解雇問題について労働組合の代表と経営者が話し合うべき、そういう形をつくるのが本来の役割であるにもかかわらず、それを除外することになる。そういう意味からいっておかしいじゃないかということで、双方の話し合いをきちんと指導すべきであるということをわざわざ勧告しているわけですやんか。それが事実ですわね。ですから、その意味では、政府はその役割を果たすことが求められていると私は思います。これが第一です。

 もう一つ。この間、パイロット不足、それから乗務員、整備士の不足という問題を含めて、政府は規制緩和をやっているわけですよね。それは、年齢制限だとか同乗の条件だとか、機長と副操縦士が同乗する、そういう条件の緩和だとか、それからフライトの時間を延ばすなどをやっているわけですね。それでも、将来にわたっていうと不足するからというので、対策を講じようとしているわけですね。

 ビジネス誌はこう言っているんですね。航空関係に関連するビジネス雑誌は、団塊の世代の大量退職などでパイロットが足りなくなっている。ところが、六十歳以下の首を切っている会社がある。再生中とはいえ、史上最高の収益を上げて大もうけしているのに首切りを強行した日航だ。政府が主導し、公的資金を入れた、これは政府の責任もある。片や首切りしておいて、パイロットが足りない、何かおかしい、こう述べて、パイロットが足りないというなら、まず首切りしたパイロットを職場に返してからだろう、こう述べて、記述しています。私は、これが普通の感覚じゃないかと思うんですね。

 そこで、それは確かに、今裁判の進行中だという問題はありますよ。だけれども、この問題については最低限、解決の話し合いのテーブルをつくるとかを含めて、やはり何かしら大臣ができることはないのかということを探求すべきじゃないでしょうか。いかがですか。

○太田国務大臣 労使で話をするということは、私は必要なことだと当然思いますが、現在、司法の場で争われているということでありますので、私としては推移を見守りたいというふうに申し上げているところでございます。

○穀田委員 労使の話し合いがこの問題についてなかなかできる実態にないということを、わざわざILOが勧告しているという事実を見てくれなあきまへんで。

 やはり、この問題についての解決は、先ほど言いましたように、一連の、何回も私はこの問題についてずっと質問してきました。今、新しく、パイロットの不足という問題からやりましたけれども、そういう、いわば自衛隊の方々に退職をしてでもやっていただくということまで、割愛制度まで復活させる、こういう事態を考えたときに、それだったら、もともとの人を入れたらええやないかということぐらい、それは普通の常識でっせ。それが普通の人間の感覚だということを述べて、終わります。