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【第186通常国会】 衆議院・消費者問題特別委員会
○穀田委員 きょうは、消費者安全法関連で質問します。
消費者安全法改正案第八条の二関係についてですけれども、地方公共団体が、消費生活相談等の事務を適切に実施できる者にその事務を委託できることとされています。 この民間委託については、さまざまな懸念の声があります。 森大臣は、民間委託のあり方について、消費者庁が昨年六月に実態調査を行ったとの答弁をしています。民間委託の実態をどのようにつかみ、何が懸念されているというふうに考えておられるのか、まず最初に伺いたいと思います。 ○森国務大臣 消費者庁が実施する地方消費者行政の現況調査によりますと、全国の消費生活センターを設置している地方公共団体のうち、約一割がその事務を民間に委託しております。 昨年六月に行った実態調査によれば、民間委託の効果として、消費生活相談の質の向上や、土日祝日開所の実現などの体制の充実等といったことが挙げられる一方で、電話がつながらないなどの、サービスの低下等の問題点も指摘をされております。 消費生活相談等の事務を委託しても支障が生じないように、今般の法改正において、最低限満たすべき全国一律の制度的な基準を設けることといたしているところでございます。 ○穀田委員 今ありましたけれども、民間委託については、この一度しか調査が行われていないんですね。それで、実際は、進んでいるのが現状であります。 懸念される問題点というのは、まず一つは、守秘義務が守られるのかという問題があります。もう一つは、消費生活相談等の民間団体への委託というのが、基本的には当該地方自治体の責任と判断で行われることになっておりまして、民間委託を導入した自治体において、住民が公平に他の自治体と同様の相談業務等の支援が受けられるのかということが懸念される。この二つ、大きな問題だと思うんです。 そこで、まず、守秘義務に関連し、二点聞きます。 一つは、例えば、消費者被害の未然防止、拡大防止の観点から、消費生活相談業務で知り得た相談情報を使い、当該地域の被害状況等を把握するための統計資料等を作成してもいいか。これは守秘義務違反になるのか。これが一つですね。 二つ目は、ビッグデータの活用の件です。産業界でも、この問題は随分注目されています。 そこで確認しますが、仮に、受託者である民間団体が、相談業務上持ち得た情報について、特定の個人を識別しないようにしたデータを持ち出した場合、これは守秘義務違反になるということでいいのか。 この二点、お答えいただきたいと思います。 ○山崎政府参考人 お答え申し上げます。 二点ございますが、まず一つ目でございますが、消費生活相談業務で知り得た情報を用いまして地域の被害状況等を把握するための統計資料等を作成するという点でございますが、これにつきましては、相談者等が匿名化されていれば守秘義務違反にはならないと考えてございます。 二つ目でございますが、消費生活相談等の事務を民間委託した場合において、その民間団体が知り得た情報についてでございますが、これに関しまして、特定の個人を識別できないようにしてという場合におきましては、一般的には、守秘義務違反とは言えないというふうに考えてございます。 ただし、消費生活相談等の事務に関します守秘義務のあり方につきましては、具体の事案に応じた判断が必要でございますので、このため、ガイドラインを策定しまして、具体的な事例を挙げつつ、適切な情報の取り扱いを明確化してまいりたい、このように考えている次第でございます。 ○穀田委員 参考人質疑でもこの問題は随分言われているわけで、民間委託で一番懸念されている問題の一つは、何といっても、個人情報の問題を初めとした守秘義務の問題なんですね。極めて重要な問題だと。だから、私は、今確かに、いろいろなケースの問題、これも今後出てきますから、十分に検討し、情報管理について二重、三重の対策を打つべきだと考えています。 その上で、消費生活相談は、住民から直接相談を受け、住民の救済を行うことが第一義的な業務であって、直接相談ということは、住民のかなりセンシティブな個人情報を扱うことになるという問題であります。幾ら守秘義務を課すといっても、やはり、本来、外部になじむものではありません。 また、消費生活相談で得られた事業者情報から国や都道府県は事業者に対する行政処分や指導を行うという構図になっているわけですから、まさに、消費者相談というのは、国や地方公共団体が行う消費者行政の根幹をなすものであって、繰り返しますけれども、本来、民間委託になじむものではない。 実態が進んでいるからといって本改正案で民間委託に関する規定を新設することは、結果として、民間委託を推進することにつながりかねないんじゃないか。 池本参考人の御意見をおかりすれば、民間委託の適合基準規定について、一定の要件をクリアすれば民間委託してもいいんだという推奨するかのような趣旨ではまずいんじゃないかという発言が述べられましたけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。 ○森国務大臣 御懸念の点は、確かに御指摘があるものと承知しております。 民間に委託するか否かは地方公共団体で判断されるべきでありますので、特段規定のない現行法のもとでも、先ほど言ったように、一割の自治体において民間委託が行われております。 民間委託をなぜするのかという理由でございますけれども、消費生活相談員の確保でありますとか、処遇改善等ということで、雇いどめにならないといったような理由を挙げるところもございますけれども、そういったさまざまな理由によって民間委託が行われた結果、よい面としては、質が向上したとか、土日祝日開所の実現などの、体制の充実も挙げられております。 そこで、本案で、八条の二で民間委託をできるようにしたわけでございますが、内閣府令で新たに制度的な要件を課すことにより、御懸念の点が払拭できますように、しっかりとその事務を適切に行うように確保してまいりたいというふうに思います。 ○穀田委員 ええ話は割と言うねんけどね。すぐ、こういうことを聞くと、大体ええ話をしよるのですわ。しかし、現場はそううまくいっているということばかりではないということも言っておきたいと思うんですね。 だから、今の話を聞いていると、本来、営利企業なんかが入らないように、基準を設けるための条文が必要だということだと私は思うんですよね。 PIO―NET端末の貸与基準だとか各種交付金の交付基準として、民間の営利企業などに委託をしている消費生活センターを除外する旨を明記する等で対処できるのであって、私は、必ずしも条文化してわざわざそういうことを設ける必要はないと考えています。 大臣は、確保されているとか、改善されているとか、払拭できるようにということを随分言いましたけれども、では聞きますけれども、行政改革の一環として民間委託が選択される例、価格を重視して一般競争入札により受託者が決定される例があることから、逆に、消費生活相談の質の低下を懸念して内閣府令において全国一律の要件を規定するとしたんだろうけれども、他方、消費生活相談の全国的な水準の確保と質の向上を本当の意味で図るために、新たな仕組み、制度を設けたこととなっているわけですね。 だから、この民間委託の適合基準を、私は別に推奨しているわけじゃないんですよ、どのように考えているのかと。例えば、消費生活相談の資格保有の有無をその適合基準に入れることを検討するなど、民間委託で質が低下することのないように、先ほどの大臣の言によれば、払拭できるようにと言っているわけですから、そういう点もすべきだと思うんですが、その辺はいかがですか。 ○森国務大臣 消費生活相談員の事務の委託先については、消費生活相談、あっせん等の事務を行うに当たって不適切とならないように、全国一律の制度的要件を示してまいりたいと思っております。 先般視察してまいりました佐賀県においても、特定非営利法人に委託をしておりまして、比較的質の高い相談業務が行われているようでございますので、そういった事例も参考にしながら、具体的には、相談の実施に当たって、消費者トラブルに直接的な利害関係を有する者またはその可能性がある者が受託をしないことでありますとか、安定的に受託業務を実施できる能力を有すると認められる者が受託するでありますとかいった要件を付しまして、消費生活相談の質が確保されるように、価格だけを重視して質が下がるといったことがないように、措置してまいりたいと思います。 ○穀田委員 質が確保されるようにということ、価格だけが基準にならぬようにという話ですよね。 そこで、なぜ私がこんなことを言っているかというと、消費者庁が行った消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会の報告書を見たんですね。これは昨年の十二月に出されています。その中で、最近では、行政改革の一環として民間委託が選択される例や、価格を重視して一般競争入札により受託者が決定される例が見られ、消費者相談員の質の低下を懸念する声があると指摘しているからなんですよね。 つまり、何かええような話をするけれども、実際は、行政改革の一環としてやられている動きを見ると、そのことによって、価格、コストを重視した結果、こういうことが懸念されると言っているわけですよ。だから、大臣は質が確保されるようにと言うんだけれども、逆の作用が働いているから私は問題にしているわけですよね。 そこで、本委員会の参考人質疑において、樋口参考人からは、今地域にたくさんできておりますさまざまな行政機関の一つ、例えば福祉の方の地域包括支援センターとどのような連携を持ち、誰が責任者になっていくかということをぜひ明確にしていただきたいと、やはり、行政機関が担うということを言っているわけですね。 また、池本参考人からは、消費者問題というのは、高齢者福祉、多重債務の問題など、自治体行政のさまざまな部門と消費生活センターの情報と連携することが被害解決、防止につながることから、地方公共団体が司令塔になることが重要である、しかし、民間委託されれば、情報の吸収源である消費生活センターを切り離して、受託先と地方公共団体本課との間でまず連絡をとる、それからその情報をまた外へ出すなど、情報その他の対応が迂遠にと、遠回りして、迅速、適切な対応に結びつかないということを言っているわけですが、そのことが指摘されているんですけれども、では、この課題について、どう解決を図るんですか。 ○森国務大臣 民間委託をした場合に、しっかりと地域のネットワーク体制づくりの効果が損なわれないようにしていくという御指摘は、重要なものというふうに考えます。 先般の佐賀県の例ですと、委託を受けた民間団体は、毎朝、佐賀県の職員とミーティングをして、前日の相談事例を報告し、そして情報共有をして、事に当たっておりました。 そのような連携が行われていて質が下がらないように工夫できるように、内閣府令やガイドラインの具体的な内容を検討してまいりたいと思います。 ○穀田委員 視察に行って、そこで聞かれたところについてやっているのはわかりますよ。そこから敷衍していろいろ言われているというのはわかるんです。私は別に悪いところの例を言うつもりはないんですけれども、みんな、苦渋の選択をしているんですよね、こういうものをどうすべきかと。こういう話を、やはりもうちょっとわかってもらわないとね。ちょっと言ったら、ええ話から、次から次へと自分が見てきたことだけ言っているんじゃ、ちょっと困るんですよね。 今、問題の質は、高齢者等の被害が増大している中で、高齢者は、みずから積極的に相談することが容易ではないこと、被害に遭ったことさえ認識していないことなどから、身近で細やかな見守り活動、啓発活動、相談対応ができる地域見守りネットワークの構築の必要性が、今回の消費者安全法の改正に当たって、背景にあったはずであります。 消費者問題解決のためには、専門性のある消費生活相談員が消費者行政の中核を担って、消費者行政担当職員と連携して地域のネットワーク体制づくりを構築していくことが最も重要なことだと考えます。 参考人質疑でも、多くの方から指摘されました。民間委託は、情報やその対応について遠回りになって、迅速、適切な対応に結びつかないのではないかと。 担当職員との連携や消費生活相談情報の管理体制の不十分さなどがまだ懸念されているもとで、なぜ本改正に民間委託できることと明文化するのか、改めてお聞きしたいと思います。 ○森国務大臣 民間委託については、消費者庁の調査によって、先ほどから御指摘のあるような御懸念と同時に、また、よい点も指摘されているわけでございます。このよい点だけを特に強調するつもりはございませんで、よい点と悪い点をしっかり見きわめた上で、真に消費者行政に資するような体制づくりをしていくということが肝要であるというふうに思っております。 地域のネットワーク体制づくりの中では、協議会の中に、民間団体も含めて、消費者問題に携わる方の連携チームをつくってまいりますので、その場において、地方公共団体と民間団体との情報共有、連携強化を図ってまいりますので、御懸念のような、遠回りになってしまうのではないかといったことがないように、しっかり措置してまいりたいと思います。 今般、条文に規定した趣旨というのは、先ほど申し上げましたとおり、民間団体に委託をすることによって、消費生活相談員の処遇改善でありますとか、それから土日開所でありますとかといった消費者へのサービス向上といったような点も鑑みられ、地方公共団体によってはそういった例を活用している例もありますことから条文に記した、そういう趣旨でございます。 ○穀田委員 歴史的経過があって民間委託した例を私は全部否定しているわけじゃないんですよ。ただ、消費者庁自身やそういう意見を聞いている団体から、そういう民間委託というのは、事実上、行政改革の一環としてやられてコストが下げられる、そうしたらやはり質が下がると言っているわけですよ。それに対して、質が上がっているという話をするから、それはそう簡単じゃないですねと言っているわけですよ。 事実、参考人質疑で、中山新宿区長は、消費生活センターの民間委託について、新宿区としては、消費者行政というのは、ある意味でいえば、暮らしの安全を守っていくもの、そこが司令塔となるような行政でもあります、それは現場を持つことがその自治体の行政をより豊かにするというような考え方で、民間委託は考えておりませんと。 これは、大臣が言うべき話をずばっとしているわけですやんか。だから、そういう立場でがっと言ってくれないとね。要するに、暮らしの安全を守っていく土台なんだ、それはやはり行政が担うんだということを、実際、皆さんが評価している区はそう言っているわけですやんか。 また、ほかのところも、さっき言いましたように、苦渋の選択をしたと言ったように、青森県なんかでも、すごく、いろいろなことを議論して、これがいい、あれがいいといって、やっているわけですよね。だから、私自身は、やはり消費者生活相談の重要性をどう認識しているかというのが問われている問題だと思うから言っているわけです。 今新宿の中山区長の話をしましたけれども、消費者相談というのは、国や地方公共団体が行う行政の一つの根幹をなしている、この立場から出発すべきであって、そうすれば、おのずと答えは出る。だから、民間委託ではなく、その抑止の方向に切りかえていくのが消費者庁が本来進めるべき道であるということを言っておきたいと思います。 次に、雇いどめについて聞きます。 本委員会で、総務省の伊藤大臣政務官は、総務省としては、消費生活相談員を含む臨時・非常勤職員の任用のあり方に関して、二〇〇九年に通知を出して、任期が原則一年以内である臨時・非常勤職員について、任期満了後も、客観的な能力の実証を経て、再度任用されることはあり得る点を示した、通知発出後も、各地方公共団体の人事担当者の会議の場において、同通知の内容の周知徹底に努めてきた、こう答弁しました。しかし、一方で、なかなか周知徹底されていないという現実があるようだとも述べているんですね。まあ、ようそんなこと言うとるなと私は思うんだけれどもさ。 消費生活相談員を含む臨時・非常勤職員の任用のあり方に関しての通知が出され、その後各自治体への周知を図ってきたということなわけだけれども、大臣は、この消費生活相談員の処遇に関し、担当大臣としてどう対応してきたのか。なぜ徹底されないのか。これについてお答えいただきたい。 ○森国務大臣 雇いどめの現状については、これまで、消費者庁長官が、前任の方も含めまして、四件、通知を発出してきております。二十三年二月、二十四年七月、二十四年八月、二十五年二月の段階でございますが、大臣としてどのようなことをしてきたかという御質問でございますので、この最終のときが私の時代でございますけれども、消費者庁長官から通知を発出すると同時に、基金の活用期間に関する一般準則の中で、雇いどめをしている場合には基金の活用期間を短縮するというペナルティーを初めて導入いたしました。その結果、それまで二割程度で推移をしてきました雇いどめでございますが、その後、大分県など、実際に雇いどめの解消を実現した例も出てきたところでございます。 さらに、この基金でございますが、これまで補正予算中心に措置されてきておりまして、こうしますと、やはり地方自治体は通年で相談員を雇うということがなかなか踏み込めないわけでございまして、これを、私になりましてから、当初予算で、昨年度そして今年度というふうに、二回増額をしてきたところでございます。 今後、その効果も見きわめながら、しっかりと、相談員の雇いどめの抑止を含めた処遇改善に努めてまいりたいと思います。 ○穀田委員 大体二つ言うんですね、大臣は。当初予算だということと、あとは、大分の例を毎回言っているんですよ。ほかの例は余り聞いたことがないんですね。大体、これの話をすると、当初で三十億円やったということと、大分がやったということとね。それで、二割から少し上がっているだろうと。数字は絶対次に言わへんでね。そういうことなんですね。 そこで、私、そのお金のメニューをもう一度見てみると、人件費は、トータルで、衆議院調査局第三特別調査室の出されている資料などを参考に見ますと、地方行政活性化基金の制度概要というところがあるわけですけれども、人件費で何ぼ使われているかというパーセンテージを見ますと、一七%なんですね。だから、そんな鬼の首をとったような話をして、余り文句をつけるつもりはないねんけれども、そういうことにはならぬでということは言っておかなあかんなと思うんですね。 それで、こういうペナルティーをつけるという北風政策でええのかということを私は思うんですよね。私自身は、予算をつけたことは、いいことだと思っているんですよ。だけれども、その額をもっとふやして恒常的措置となるような制度設計ができるようにしなければ、小さい自治体などは体制さえとれないのが現状だということを踏まえて、やっていただきたいと思っています。 国としては、先ほど言われたように、何度も通知を発出してきたと。特に、二〇一二年度には、消費者庁が地方消費者行政の充実・強化のための指針を地方公共団体に送付した際に、特命担当大臣名でメッセージも出していると。 では、こういうものについて、現場では、大分の例じゃなくて、全体として、ほかも含めて、どんなふうに受けとめられているのかということについては、どうつかんでおられますか。 ○森国務大臣 御通告がございませんので、現状のデータ、また統計が出ていないというふうには思いますが、調べまして、正確な数字を御答弁したいと思います。 ○穀田委員 現場は、こういう通知をもらって、実際はどう受けとめるかということを聞いたんですけれども。 では、私が言いましょう。 実際、現場では、このことが徹底されていないから、改善されていないわけですやんか。四回も五回も出さざるを得ないと。 問題は何かということなんです、そこで生じている現象は。わかっていても、消費者相談というのは、広く全住民に対するサービスというんじゃなくて、相談者との関係ということで、緊急度が低くなって財政が厳しいと即影響を受ける、こういう実態があるということなんですね。 私が京都に住んでいるのは御承知かと思いますが、京都府では雇いどめがないということは、確かにそのとおりなんです。でも、実際、予算がなくて、二十一人いた相談員が四人減っているんですね。大分の例に対して今度は京都の例を出したんやけれども、お互い知っていることばかり言っているとあかんから、だから全体はどうですかと聞いたわけですやんか。 池本参考人は、消費生活相談員を含む臨時・非常勤職員の任用のあり方に関しての通知という一般論ではなくて、消費生活相談員の任用のあり方に関しての通知、例えば、今言ったように、ピンポイントでそういうふうに具体的にやっていただかないと難しいんじゃないかということを言っておるということを言っておきます。 また、この背景には何があるかということなんですね。何度も私は言っているんですけれども、公務労働の他の職種でも、広く現実に雇いどめが行われていることがあります。地方または国でも、公務員における非正規雇用の横行、その根本にメスを入れていく必要がある、そこにこそこの問題の根本的な解決の道があるんじゃないかということを私は提起しておきたいと思います。 そこで、問題となっている点を少し行きますと、さらに、池本さんは、消費生活相談員の業務とは、人間を相手にして初めて培われる、それから、恒常的な業務、四、五年たってようやく一人で交渉できるかなというぐらいの実務経験が不可欠である、こう言っていますね。だから、恒常的で実務経験こそ物を言う相談業務には雇いどめは決してあってはならないと指摘されているわけですね。 だから、二割とか言っているんだけれども、あってはならないという立場で物事をやるかどうかということが問われているんだと私は思うんですね。 今度は消費者委員会に聞きますけれども、二〇一二年、消費者委員会、地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議、これを出しています。消費者委員会は、何を問題にしましたか。 ○黒木政府参考人 お答え申し上げます。 消費生活センターなどの相談窓口の現場を担う消費生活相談員につきましては、専門知識や経験の蓄積等が求められるにもかかわらず、そのほとんどが任用期間の短い臨時職員や非常勤職員として任用されているという実態がございます。その結果、相談員の専門性が高まったところで雇いどめとなれば、専門知識や経験の蓄積等が十分に行われず、相談員や地方自治体、地域住民、それぞれにとって大きな損失であるという認識をしたところでございます。 そのような認識の上に立って、消費者委員会といたしましては、消費生活相談員の雇いどめの抑止に向けて、一律に任用回数の制限を設けることは適切でないということについて自治体への周知を徹底すること、また、消費生活相談員が任期付短時間勤務職員制度の対象となり得ることを明確化するとともに、より柔軟な専門職任用制度のあり方について検討を深めること、さらに、専門職としての評価を高めるための資格制度やその法的位置づけのあり方について成案を得るべきことについて、建議を行ったところでございます。 ○穀田委員 今言っていることは、そのとおりだと思うんですけれどもね。 大臣、さっき大臣は二割と言ってはりましたやんか。結局、この議論の中で、本委員会における参考人質疑であっても、雇いどめは決してあってはならない、そういう立場でやるのかどうかというのが問われているんですよ。だから、今消費者委員会のことについて言っているのはそうなわけで、一律に任用回数の制限を設けることは適切でないと。適切でないどころか、絶対あってはならないということを言わなきゃならないんですよ。その程度の話をしてくれな困るということを言っている。 したがって、財政的支援とあわせて、私は、具体的な法的、制度的な支援の実行こそが、雇いどめ抑止策、それから消費生活相談員の処遇改善策になるんじゃないかと思うんですけれども、その辺を大臣に聞いておきたいと思う。 ○森国務大臣 雇いどめの見直しについて委員会からも建議を受けてきておりまして、その後、民主党政権下で一回通知を出し、そしてその後、私になってからも通知を出しているんですが、委員御指摘のとおり、なかなか厳しい現状であるということであると思います。 当初予算化について、これは効果をこれからも見守りたいというふうに思いますけれども、どうして雇いどめが生じるのかということの調査の中から、自治体からの意見としての、やはり当初予算化をしてもらわないとなかなかそれはできないということに応えて、これを当初予算化、二回やったわけでございますので、これは、委員御指摘のような恒常的な予算につながるように引き続き頑張るためのその一歩でございますので、前向きに、頑張ってまいりたいと思います。 また、この法案で、相談員の資格も、法的資格に位置づけます。これは、自治体によっては、法的資格を持っている者については処遇が改善される地域もあるというふうに聞いておりますので、処遇改善の一助となるものというふうに期待をしております。 今後も、雇いどめの抑止を含めた処遇改善に向けて、総務省等と協力をして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。 ○穀田委員 恒常的なということもありましたし、私としては、今後、実態をフォローしていく、それからまた、そちらの方もフォローしていくことが大事だということを言っておきます。 最後、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第四項に関連して聞きたいと思うんですね。 第四項はもう言うまでもありませんので、施行後四年半たって出てきた今回の法改正案について、消費者庁設置法審議当時の国会の議論との関係でどうなのかということを検証しなくちゃならぬのかなと私は思っています。 当時、国会では、国が地方の消費者行政の最低基準を保障しなければならない、ナショナルミニマムとして消費生活センターや相談員の配置基準を国が定めることが必要じゃないか、そういう議論をしてきたんですね。こうした議論を受けて消費者庁設置法案が修正され、附則第四項が加えられたわけであります。また、附帯決議にも同様の趣旨の項目があります。 また、消費者委員会の建議においても、地方自治体において自主財源や担当職員の確保が十分に進んでいないとした上で、自治体に対して国として財政面を含めた必要な支援措置を講じるとともに、地方消費者行政の提供すべきサービス水準、必要な予算・人員の規模、内容、人材の育成・配置と処遇改善等々、中長期的に目指すべき点を明らかにすべきだと、政府に求めているわけですね。 ですから、この附則四項のそういう議論を踏まえて政府としては予算や施策について何をしてきたのかということを大臣にお伺いします。 ○森国務大臣 これまで、消費者庁におきましては、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置、増員等を図るために、地方消費者行政活性化基金により、必要な財政支援に向けて支援を行ってまいりました。 具体的には、基金については、これまで約三百五十六億円を措置したほか、今般の当初予算化や、活用期間の大幅延長、また、活用の内容等も工夫をしてきてまいったところでございます。それによって、地方によって計画的、安定的に消費者行政の維持充実に取り組むことを目的としてきました。 しかし、現状、まだまだ消費生活窓口さえないという地域がございますので、本年一月に地方消費者行政強化作戦を定めまして、一つには消費生活相談体制の空白地域の解消、二つ目に相談体制の質の向上、三つ目に適格消費者団体の空白地域の解消、この三つの目標を柱としまして、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置等に係る具体的な政策目標の達成を通じて、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる地域体制の全国的な整備の実現を目指しているところでございます。 ○穀田委員 今、この間行ってきた施策の話がるるあったということですね。 ただ、一つは国会における議論、それから二つ目に法の附則、それから三つ目に附帯決議、それから消費者委員会の建議、この四つにおいて、消費生活センターと相談員の適正な配置、望ましい姿を国は示せということを求めてきているわけですね。そして、ようやく出てきた今回の本改正案であるけれども、このことについては残念ながら触れられていないのが実態です。 本委員会の法案審議で私は相談員の必要な数やその基準について質問しましたが、今ありましたように、政府は、まず地方消費者行政の底上げ、さっきずっと空白という話が何回も出ましたけれども、それを克服するということらしいんだけれども、それはそれとしてありますよ。だけれども、並行して、消費生活センターと相談員の適正な配置基準を検討すべきだったのではないか。なぜこれに手をつけなかったのか。 消費者庁は、早急に消費生活相談員や消費者行政担当職員の適正な配置基準を取りまとめ、地方に示すべきじゃないんでしょうか。 ○森国務大臣 御指摘のとおり、国会の審議で御指摘のあった配置基準ということでございます。 現在、消費者庁としてはゼロ地域の解消ということで底上げを図っておりますが、今般、法案の中でも、努力義務として地方公共団体に消費生活相談員の設置を位置づけているところでございますので、このような改正の趣旨を徹底するためにも、そして国会の御審議に応えるためにも、ガイドライン等であるべき姿を示すことについて検討してまいりたいと思います。 ○穀田委員 枕言葉として国会における審議というのを使わはるんですけれども、私は、審議の中身を、こういう審議だったと言っているわけですやんか。その審議との関係で対比すると、やはり努力が、はっきり言って、ちょいと不足しているんじゃないかということを私は言っているわけですよ。 私は配置基準というのを示すべきだということを言っているわけですけれども、今の消費者被害の拡大に体制が追いついていないという現状があるからこそ、もとの原点に戻ってやってはどうかということを言っているわけですね。 しかも、先日の池本参考人も、何度も引用しますけれども、陳述で、消費者行政については、最低限の水準を国が示してリードしなくちゃならぬということを言っているわけですよね。ですから、そういう点をしっかり踏まえてやっていただきたいと思っています。 今回の法案は、消費者の安全、安心を確保するという観点から、ホテルチェーンや百貨店、レストラン等での不当な偽装表示の多発問題と、もう一つは、深刻化している高齢者の消費者被害の問題に対して消費者庁の監視執行体制では不十分であることから、消費者と密接な関係にある地方公共団体に対して執行体制を強化するなど、地方消費者行政の強化のためにこの二つの法案を出したということになっているわけですね。 確かに、消費者被害防止策、消費者の安全、安心の確保に向けた対策は少しずつ、私は、前進していないとは言っていないんですよ。ただ、今、市場経済万能論、それから規制緩和政策が進められる中で、高齢者など弱者あるいは中小零細事業者等の切り捨て政策に歯どめをかけるためにも、社会全体のバランスを構築するためにも、景品表示法と消費者安全法の両方とも、十分な審議の上に、早急に改正を進めていく必要があると私も思っています。しかし、一括提出したために拙速な法律になってしまうということは、許されないわけですよ。 今回の消費者安全法改正案の内容が、消費者庁設置以来、四年半かけて消費者庁設置法附則第四項の宿題にどれだけ取り組んできたのか。率直に言って、私は、不十分と言わざるを得ないと思うんですね。 したがって、消費者安全関連では、この四項を踏まえて、どのような課題が残っていて、今後それらにどのように取り組んでいこうと考えているのか。法案成立後、地方任せにするんじゃなくて、残っている課題、こういうことについてやっていくということの決意だけ聞いておきたいと思います。 ○森国務大臣 今般の法改正により、整備をする枠組みが現場で生かされていくために、法案成立後、消費者庁として、目指すべき地域体制、また他省庁との連携体制を示しつつ、地域の取り組みを支援していくという必要があると考えております。 消費者が地域で安心して安全な消費生活を営めるような社会の実現に向けて、現場の取り組みが効果的かつ円滑に進むように、消費者庁においてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。 ○穀田委員 一般論は、そのとおりなんですよ。 でも、附則四項に関する問題で、私、参考人質疑でやりました。そうしたら、樋口参考人は、財政を含めた大枠は中央集権できちっと確保する、そして具体的な方法は地方の実態に合わせてと語りました。中山参考人は、財政支援は大きなものがありますと述べました。池本参考人は、ナショナルミニマム、最低限の水準をつくるところまでは国がきちんとリードしていただき、それは考え方も財政支援も含めて、そして一定水準まで到達した後、さらに自治体で柔軟にやっていく、よちよち歩きの各地で自由裁量でやれということでは維持できないと述べているんですね。 だから、地方消費者行政強化に必要な支援のあり方、すなわち、国がなすべき支援とは、財政支援とともに、地方消費者行政に関する基準、これをしっかり示すなど、法的、制度的支援が必要なんだ。 だから、私は、今後、この抜本的取り組みを進めていく上で、附則第四項の精神をしっかり踏まえてやらなきゃあかんということを言って、質問を終わります。 |
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