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【第186通常国会】 衆議院・国土交通委員会
○穀田委員 マンション敷地売却法案について質問します。
まず、国土交通省が五年に一度行っているマンション総合調査について聞きます。 分譲マンションは、二〇一二年末現在、約五百九十万戸、居住人口が千四百五十万人となっています。その中で、六十歳以上の世帯主の割合と永住するつもりというお答えの割合が初めて過半数を超えました。マンション居住者の高齢化と永住志向の高まりが浮き彫りになったと言われています。 そこで、具体的にどういう調査結果だったのか、国交省としてどのように評価しているのか、まず最初にお聞きします。 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。 二十五年度マンション総合調査でございますけれども、五年に一遍やっていますけれども、各年度、できるだけ、サンプル等平準化するように努めておりますが、サンプル数が必ずしも大きくございません。しかしながら、この数字であっても一定の傾向というのはしっかり把握できるのではないかということで調査をさせていただいております。 まず、お尋ねの、マンションの世帯主が六十歳以上の割合でございますけれども、これは、有効回答四千八百九十六のうち五〇・一%でございます。それから、現在居住しているマンションをついの住みかと考えている区分所有者の方々の割合、これも同じく有効回答四千八百九十六のうち五二・四%ということで、いずれも初めて五〇%を超えたということでございます。 これにつきましては、マンションストック全体が築年数の高いものがふえていっているということでございまして、築年数が上がれば世帯主の年齢が上がるというのは既往のいろいろな調査からもある程度明らかになってございます。 恐らく、先生御指摘のように、年齢が上がることにある程度連動して、先々の選択の期間というのは短くなりますから、このまま住んでいたいなという永住意識も高まっているのではないか、これは推測でございますけれども、そういう傾向はうかがい知れるのではないかというふうに思っております。 ○穀田委員 先々のことというふうに言われると、何かすごくつらいよね。大臣も笑っていますけれども。 私は、永住意識については、確かに、五二・四%ということ、数字はそうなんですけれども、特に一九八〇年度の調査では、約六割がいずれは住みかえるつもりと回答していた。今回の調査では、それが一七・六まで低下しているという現状をよく見ないとだめなんじゃないかと思っています。 そこで、マンションの世帯主が高齢化しているもとで、マンションの老朽化対策、建物の耐震改修など、管理面にも大きな影響が出ていることは御承知のとおりです。その質問の中で、さらに、管理組合運営における将来への不安ということについて言うならば、区分所有者の高齢化が五七・〇ということで、最多を占めています。 マンションの老朽化対策や耐震診断、改修について、調査ではどのような結果が出ているのか、これも御報告願いたい。 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。 マンションの老朽化問題についての対策の議論を行っている管理組合の割合、これは、年代にかかわらず聞いておりますけれども、全体有効回答二千三百二十四組合のうち八百三十四組合、三五・九%でございます。今度は、この八百三十四の内訳ということになりますけれども、建てかえの方向で具体的な検討をしたというものが二・六、改修、改善の方向で具体的な検討をしたが六二・〇、議論をしたが、全く方向が出ていない、具体的な検討をするに至っていない、これが三〇・五%ということでございます。 また、旧耐震基準によって建設されたマンション、これは有効回答数三百八十八ということでございますが、耐震診断を行った組合は百二十九組合、割合としては三三・二%ということでございます。 ○穀田委員 その結果を見ますと、やはり、耐震対策も老朽化対策も、全体としては議論が不足しており、対応がおくれているということが見てとれるわけですよね。 そこで、私もいただきまして、この「平成二十五年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」、それから総合調査結果概要編というのがありますが、その中で、建てかえの検討状況について、やはり、建てかえ資金の調達が困難な区分所有者がいる、これが四〇・九%で最多であるということなんです。 お聞きしますが、では、マンションの建てかえの検討状況というのはどうか、もう一遍教えてください。 ○坂井大臣政務官 建てかえの方向で具体的な検討をしたという組合は全体で二・六%ということで、この点に関しましては、委員御指摘のとおり、余り高くないということだろうと思います。 これに関しては、今御指摘のように資金面がございますが、この資金面と同時に、あとは、今の制度では、組合において地権者相互の権利を調整する負担も大きいということもございまして、これらがあってハードルが高い、もしくはできないというように捉えているということではなかろうかと思っております。 ○穀田委員 それを見ますと、先ほどありましたけれども、こういうことも出ているんですね。建てかえの必要性についてという議論をしているところもありまして、それを見ますと、建物が相当老朽化または陳腐化しているので建てかえが必要であるというのが四・九%なんですね。一方、建物が相当老朽化または陳腐化しているが、修繕工事または改修工事さえしっかり実施すれば建てかえの必要がない、これが三〇%を占めているという現状もあるんです。ただ、その一方で、建物は老朽化も陳腐化もしていないから、今のところ建てかえの必要はないというのもまた六割近くを占めているという現状もある。 そういう現状認識をしっかりしながら、どう今後の方向性をつくっていくのかというのが大事なんですね。 今度の法案というのは、簡単に言うと、さっきもありましたけれども、一生懸命、マンション敷地売却を後押しして、それ行けやれ行け、こういうことになっていて、先ほどの副大臣の報告によると、そういうものが、対象が約六十万戸あって、大体十八万戸、この間にやるんだ、三割近くそれができるみたいな、割と楽観的希望を随分抱いているわけですけれども、そういうことを見ながら、ほんまかいなということで、今後、少し議論を展開していきたいと思うんです。 そこで、先ほど言ったように、分譲マンションというのは五百九十万戸あるわけですが、そのうち、先ほどるるありましたように、旧耐震基準の建物は約百六万戸だと。その中で、私も国交省からこの法案の概要の説明を受けたときに聞きました。建てかえの実績はわずか百八十三件、約一万四千戸にとどまっています。 マンション居住者、さらに周辺住民の安全を守るためには、まず耐震不足のマンションを、建てかえではなくて、可能な限り安全が確保されるよう耐震改修、修繕すべきじゃないのか。 実際、耐震改修はどれだけ進んでいるのか、御報告されたい。 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。 耐震改修か建てかえかというのは、基本的にこれは区分所有建物でありまして、最終的には居住者の皆さんがしっかり協議をして、どう判断されるかということに尽きるんだと思います。 先ほども御紹介ありました十八万戸という数字のもとも、本当に危ないんだということがはっきりしてから、どちらを選ばれたかということの過去のデータが、大体三割ぐらいは建てかえを選ばれているということから推計をしたものでございまして、そういう意味では、大体三分の一弱が建てかえ、三分の二ぐらいが改修に向かうんだということをお示ししたということでございます。 耐震改修の数字自体は、なかなか実績値はうまくございませんが、例えば社会資本交付金の整備の中で、マンションを含む住宅全体の耐震改修、これは十一万一千戸になっていまして、その中で、これは公営住宅も含んだ数字でしか出ないのでございますが、耐震改修をやったものは三万九千戸ということですから、実際にマンションの方は、このまた何分の一かというレベルになると思います。三万九千戸のうち公営住宅を除く部分ということになろうかと思います。 内訳は出ませんが、そういうことでございますので、これはやはりもうちょっとてこ入れをして、建てかえもでございますけれども、改修もしっかり進めていかなければいけない、こういうふうに認識をしております。 ○穀田委員 私はそこだと思うんですよ。 まずマンションの居住者の安全保障といいますか、命やそれから身体だとかというものの安全の観点から、あなた方はこの問題で、導入が必要であるということでこのマンション敷地売却法案を出しているわけですけれども、私はちょっと違うという意見なんですね。 まず考えなきゃならぬのは耐震性の確保だ、これが大目的なんだということからしますと、そのところに目的を定めて、どういうメニューがあるかということをはっきり出して検討するということが必要だと思うんですね。今までうまくいっていないから、次から次へと出せばいいという問題では決してないと私は考えています。だから、危ないから敷地売却ありきということで進めちゃならぬということを言っておきたいと思うんです。 私は京都に住んでいますから、京都新聞にこの間社説が出ていまして、今回の法案について、以下のように述べています。「だが、そううまくいくのか。まず容積率緩和だが、京都市のように高さ制限する自治体もあり、条件が限られる。建て替え費用が一部減るといっても、高齢の住人にとっては、やはり重い負担だろう。建設中の仮住まい費用もかさむ。同意しない住民の生活はどうなるのか。」こう書いていまして、さらに、建てかえの課題として資金困難を挙げ、「資金面で無理せず、建物の修繕積立金の範囲内で耐震補強してはどうか。」「行政は一〇〇%の耐震を求めるが、たとえ六〇%や七〇%であっても、弱点を見つけ補強を重ねていけばいい」と提案している京滋マンション管理対策協議会の谷垣千秋代表幹事の話を紹介しています。 私は、建物の修繕積立金の範囲内で耐震補強するという現実的な対策をとることによって、そこをしっかり推し進めることで、大規模修繕、改修が進むし、マンションの延命化も図られると考えます。何かというと居住者の調整と言いますけれども、居住者の合意も得やすくなるんじゃないか。 まずこういう施策こそ大規模に推進すべきではないでしょうか。お答えいただきたい。 ○太田国務大臣 まずはそのとおりだと思いますね。建物を長続きさせる、そして、住んでいる人も高齢化している、そんなに動きたいとは思っていないという方も高齢化するに従って多くなるということからいきますと、まずはそこの耐震改修ということに考え方が行くというのは、私は普通のことであろうというふうに思います。そういう面は全く否定することではなくて、耐震改修促進法の改正を昨年させていただいたというのは、そういう意図を持ってやったことです。 ただ、それだけでというよりは、地震が来る場合には、一カ所に来るわけじゃなくて、全部に来ますから、そして、マンションということになると、それが大都市部では町を、道路を塞ぐというようなことまで含めてありますから、いろいろな手だてを講ずるということは私は必要だというふうに思っております。 穀田先生おっしゃるとおり、耐震改修促進法に従ってこれを推進するということがまず第一義であろうということは、私はそうであろうというふうに思いますが、今回は、売却ということのできる制度と、あわせて、建てかえということについて、容積率が緩和されていなかったということで、そこを補強する手だてを提示するということでございます。 ○穀田委員 容積率がふえた、そういうインセンティブがあれば動くということに単純になるかどうかという問題は、将来、どちらが正しかったかは、また見きわめたいと思うんですね。 そこで、現行法は、区分所有法による建てかえ決議がなされた後の具体的な手続を定めるとともに、危険または有害な状況にあるマンションの建てかえの促進のための特別措置について定めていました。この危険または有害な状況にあるマンションについてはどういう制度があったのか。 先ほど来、しきりに実績がゼロだったということを言っていますけれども、実績がゼロだったというのは何も誇るべき話じゃなくて、なぜそういうことが起こったのかという反省が必要なのであって、何か、だから変えましたなんという話は、それはあきまへんで。削除した理由に、しきりに実績がゼロだったからと。ではもともとつくったときは何を考えておったんやという反省がなけりゃならぬわけで、当時こう考えていたけれども実態に合いませんでしたというならわかるけれども、何かしきりに偉そうな話をするほどのことではないということは言っておきたいと思うんですけれども、答えてください。 ○高木副大臣 偉そうにというわけでもございませんけれども、先ほどもお答えいたしましたけれども、もちろん、これまで実績がなかったというのも、これもやはり一つのなくす理由だというふうにも考えますし、それから、市町村にとって、やはりこれは非常に大きな負担になっていたということもございます。 それから、先ほども申し上げましたけれども、この危険有害の基準というのが非常に複雑で、これがこうだということを示すことがなかなか難しいというようなことがあって、そういったこともあってその実績がないということなんでしょうけれども、先ほどもお答えしたとおりでございますので割愛させていただきますけれども、今回はこうしたような法改正をいたしますので、こういったようなことをなくしてもしっかりと実効性は保たれるのではないかという考え方で、本制度を廃止することにしたということでございます。 ○穀田委員 当時からその負担はわかっていたわけで、その問題を含めて、偉そうにと言ったのは、大臣が偉そうに言ったわけじゃなくて、そういうことの言い方、実績ゼロだったなんというのは誇らしい話じゃないんだということを言いたいわけですよ。がちがちだったというのは、当時もがちがちだったんですよ。 そこで、がちがちだったという話を少し進めていきたいと思うんですけれども、今回の法案では、耐震性不足と認定された要除却認定マンションが現行法の危険または有害な状況にあるマンションに当たるように見えるけれども、現行法の勧告制度にありました区分所有者や賃借人に対する住居あっせんなどの規定は今回の法案でも規定されているのか、どのように規定されているのか、もう一度お答えください。 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。 危険マンションの勧告制度につきましては、市町村が、これは危険なマンションであるから除却、建てかえをしてはどうかというふうにみずから手を挙げて求めていくという仕組みでございます。市町村が求めるからには市町村がしっかりその結果についてもフォローすべきだということで、公営住宅等の提供義務を課しているということでございます。 今回の制度につきましては、これはあくまでも区分所有者の発意に基づく事業でございまして、公共の関与というのはそういう意味では薄いということでございます。 しかしながら、公益性それから事業執行の適正の確保という観点から公共にも一定の関与をさせているということでございますが、公営住宅の提供につきましては、先ほどもお答えしましたように、その前に、事業関係者でございます、買い受け人であるディベロッパーがまずしっかり努力をしていただいた上で、それでも足りないところについては、これは努力義務的というふうに申し上げますけれども、公共団体にできるだけ提供をお願いしていくというのが今法案の趣旨だというふうに考えております。 ○穀田委員 これも私は問題だと思うんだけれども、法定化されていないこと自身が問題であって、前はそういうふうに法定化していたわけですやんか。そこの違いを私は言っているわけですね。 賃借人及び転出区分所有者に対する代替建築物の提供またはあっせんを市町村長の努力義務として課していたわけでして、これは、今ありましたように、結局のところ民間ディベロッパーなどに託していくということになって、お話があったように、公共の関与は薄い、こう言うけれども、やはり、広い、こういうマンション自身を建てかえるということを含めて言えば公共性があるわけでして、結局のところ、行政庁などが直接関与しないことになるという意味では居住者の不安が大きくなることだということは指摘しておきたいと思うんです。 そこで、建てかえと敷地売却の違いはどこにあるのか、区分所有者は新たに建設されるマンションに優先的に入居する何らかの権利があるのか、この点についてもお聞きします。 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。 従来のマンション建てかえと今回の敷地売却制度の最大の違いは、従来のマンション建てかえでは、従前の老朽マンションが同じ場所で再建された新築マンションという、物に置きかわるということでございます。今回の売却制度は、これは制度上の理解というふうにお答えしたいと思いますけれども、価値はお金に置きかわるということが違うんだと思います。 したがって、今回の売却制度では、区分所有者はマンションとその敷地売却までの権利調整をすればよくて、その後のことは、組合員相互の再建マンションの入居先に至るまでの詳細な権利調整というのは大変負担でございますので、これはあらかじめ地方公共団体が認定をした買い受け人がまずはしっかりやっていただくというのがこの制度の骨格でございます。 この買い受け人の認定に際して、先ほど来お答えしておりますように、従前居住者、借家人の方も含みますけれども、状況をしっかり把握し、アンケートとかヒアリングとかこういうことをしっかりやっていただいて、そのニーズを把握した上で新しい住居のあっせん、提供を、これは義務を課しているということでございますから、その部分まではこの買い受け人にしっかりやっていただくということがこの制度の趣旨だというふうに思っております。 ○穀田委員 希望的趣旨は述べられましたけれども、建てかえと敷地売却とは全く違うということははっきりしている。だから、新たに建設されるマンションに優先的に入居する権利は全くないということははっきりしているということは確認をしておきたいと思うんです。 聞きますと、開発利益を見込んだ額で売却するということがあるわけで、どの程度違うのやと言ったら、まあ、高額、高くなるというけれども一・三倍程度になればよい方かというようなことを言っているぐらいで、そんなにうまい話というのはないんだということははっきりしておきたいと思うんです。 そこで、次に、敷地売却決議五分の四要件について少し聞きます。 改正案によって、マンション敷地売却決議の、先ほど述べた五分の四ですけれども、残り五分の一未満の区分所有者は、みずからの意思に反していわば強制的に売却されることになります。それは、同時に、長年にわたって築いてきたコミュニティーを失い、買い物、病院、介護施設などの生活基盤を失うことにつながりかねないと思うんですね。 だから、こうした区分所有者が生活基盤を失わないようにするための保障というのは、どういうふうに考えていますか。 ○坂井大臣政務官 先ほど参考人から答弁を申し上げましたけれども、この決議に反対した区分所有者に対しましては、もう一度、事業に参加するかどうか催告することとされておりますが、この催告に応じない場合には、最終的に組合が売り渡し請求を行い、反対者のマンションを時価で買い取る、その分のお金は渡るということになりますが、この反対者、最後まで反対をする反対者に対しましては、生活基盤の一つであります代替住居の提供、あっせんは行われないということになっております。 ○穀田委員 提供、あっせんは行われない、もう一度、そこだけ。 ○坂井大臣政務官 最後まで反対をして、催告を行って、一緒に組合に入りませんかということで催告を行いますが、そこでも反対だということで入らなかった反対者には、生活基盤の一つであります代替住居というものに対しての提供、あっせんというのは行われないということになっております。 ○穀田委員 結局は行われないということは、やはりそういうことが出てくるということなんですね。だから、敷地売却決議に賛成した区分所有者も、事実上、住宅ローンの一括返済を強いられる上に、残債とともに住居を失うことになります。また、高齢の区分所有者にとっては、再度、マンション、戸建て住宅を購入する資力に当然乏しいわけですね、そういう実態になっている。また、賃貸住宅に入居するにしても、契約締結を断られたり、連帯保証人を得られない等の事情で安全、安心な住居を確保することもできず、悪く言えばホームレスに陥ることもこれはあり得る、そういうことまで考えなあきませんよということなんですね。 だから、そういうことが起こらないような保障をどうするかということを真剣に、やるときのことを考えておかなあかんと思っています。 多くの方々から、賃借人の権利についても随分ありました。そこで、私は、どのように保障するかという問題だと思うんですね。先ほど来聞いていると、補償金と代替の提供、それから、民間の手で、義務づけできなかったのでそれは少し努力するというような話をしているんだけれども、どんなふうにしてその賃借人の権利を保障するのかということを聞いておきたいと思います。 ○坂井大臣政務官 今委員が御指摘をしたことも含めまして、まずは適正な額の補償金を支払うということであります。その次に、代替住居をしっかりと提供、あっせんすること。そして、個々の借家人の負担を軽減することということでございまして、これは移転に充てた補償金について課税の特例を設けることといたしております。また、第四といたしまして、高齢者に対しましては、別途の代替住居、これは高齢者が必要とするようなものに関しまして、公的賃貸住宅や家賃債務保証制度等も活用して、居住の安定を図るということで保障していきたい、このように考えております。 ○穀田委員 先ほど来質問してきたように、現行法との違いという問題を私は指摘しましたけれども、結局法定化していないのが今日の現状なんですね。やはり、現行法でいうと、いわば公共住宅の活用ということも、ある意味では自治体自身がやらざるを得ないということがあったわけです。それも取っ払われちゃうわけですよね。だから、そう簡単じゃないんだということだと思っています。 ですから、補償金は今支払うとありましたけれども、それによって賃借権も消滅させることになります。こういうことは、マンションの賃借人は、本人は何らの契約に違反していないにもかかわらず、意に反して、補償金の支払いだけで賃借権を失うものであって、納得できるものじゃないと私は思います。 ここで、二つの問題が生じますので、意見だけ述べておきたいと思うんです。 一つは、補償金の額については、賃借人がみずからの意見を述べる機会を保障すべきだということなんです。そのために、マンション敷地売却組合の総会に参加し、意見を述べる機会を与えるべきじゃないかということが一つ。 もう一つは、マンションの耐震性不足を理由に、補償金の支払いだけで賃借権が消滅されることになりますと、賃借権は補償金さえ積めば明け渡し請求が可能であるとの認識になり、借地借家法による正当事由制度を掘り崩すことにならないかという点なんですね。これは懸念される問題です。 また、今後、マンションだけでなくて、マンション以外の建物などにおいても、耐震不足を理由にして、立ち退き料さえ払えば建物の明け渡しを請求することができる事例が横行するというようなことがないようにしなくちゃならぬと私は思っています。 そういう二つの懸念だけ言っておきたいと思うんです。こういうことが、懸念であればいいんだけれども、実際起こらないように、私どもとしては見ていきたいと思っています。 終わります。 |
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