中国訪問記3 昆曲、京劇、狂言、能を鑑賞して(その2)
狂言は“寝音曲”「主人から謡いを所望された使用人・太郎冠者、酒や枕がなくては謡えないと固辞。主人が酒を用意し、自分の膝を枕に貸してやると言われてしまう。大酒を飲み、主人の膝を枕に謡い出した太郎冠者は、調子に乗り顔を膝から離したもとで声を出し謡ってしまい、策略がばれてしまう」というストーリーだ。
酒を注いでもらい、飲む所作は豪快でいかにも嬉しげだ。そして酔った勢いで主人の膝を枕に“謡い出す”。主人が太郎冠者の頭を持ち上げれば声が出なくなり、また膝をあてがえば声が出て謡う。これを何度もくり返すうちに、頭が膝にくっついていないところで”謡い“始める。ここの繰り返しの動作が実に面白いのだ。たくさんの中国観衆も笑い転げてるではないか。笑いというのは、まさに万国共通語である。
最後の演目は、能の“土蜘蛛”。わりあいポピュラーなもので、源頼光とその家来が妖怪・土蜘蛛を退治するという、能には珍しいスペクタクル溢れる活劇もの。これはなんといっても、妖怪・土蜘蛛が放つ白い“蜘蛛の糸”が観るものを喜ばせるポイントだ。(写真)
「オオー」と驚きと感動の声が上がる。
日中出演者の皆さんと、私ども日中友好議員連盟一同が舞台に上がり、観衆とお互いに拍手で交歓した。伝統芸術交流、市民交流を見事になしえた一夜であった。
楽しい余韻を胸に、長い歴史に育まれた日中伝統文化芸術の交流をいっそう強めたいという思いと、自国の伝統文化芸術を国民みんなが親しめるような国づくりの必要性をかみしめた。
[2002年10月23日(水)]
|