こくた恵二

こくたが駆く


京都の宗教者が「有事法制の廃案」の呼びかけ

 米英軍による無法なイラク戦争と軍事占領支配は、世界の平和の秩序を踏みにじるものです。イラク戦争に反対する世界の世論と運動は空前の規模で広がりました。世界の力をあわせて、国連憲章にもとづく平和の秩序を取り戻すことが求められています。
 小泉政権がこの無法な戦争を支持し、軍事占領組織に要員派遣まで検討する一方で、憲法違反の有事法案の成立を狙っていることは重大です。国民的運動で廃案に追い込みましょう。
 京都の宗教者のみなさんが、今年2月に「有事法制の廃案とイラク攻撃反対」の呼びかけを発表しています。あらためて、呼びかけ人19氏と「声明」を紹介します。(3月1日現在で、呼びかけ人19氏を含む170氏の賛同が寄せられています)
 
 呼びかけ人 (氏名五十音順・敬称略)

 有馬 ョ底 (臨済宗相国寺派管長)
 五十嵐隆明 (浄土宗西山禅林寺派養福寺住職)
 井上 勇一 (日本クリスチャンアカデミー関西セミナーハウス所長)
 大江 真道 (京都キリスト教協議会前会長)
 大島 亮準 (天台宗大原念仏寺住職)
 鎌田 論珠 (ノートルダム教育修道女会)
 黒木 順子 (京都YWCA会員)
 小泉  潤 (日本ルーテル京都教会牧師)
 佐伯 快勝 (真言律宗宗務総長)
 佐伯 幸雄 (京都キリスト教協議会会長)
 酒井 善弘 (京都YMCA総主事)
 関  雅人 (日本キリスト教団京都教区総会議長)
 出口 栄二 (元大本総長)
 中西 泰子 (日本キリスト教婦人矯風会京都支部長)
 野田 道法 (天理教神大都分教会前会長)
 松村 真治 (金光教)
 宮城 泰年 (本山修験宗宗務総長)
 森  清範 (北法相宗清水寺貫主)
 ルカ・ホルスティンク (フランシスコ会、フランシスコの家神父)

 イラク攻撃と有事法制に反対する声明

 私達は国際間の金権・貧困・差別・怨恨などから生ずるあらゆる暴力を否定するものである。キリストは「剣(つるぎ)をとる者は、剣で滅びる」といい、仏陀は「殺すな、殺させるな」と説き、愛と慈悲を地球上に満ちあふれさせることを理想としている。
 今世界は戦争をしようとする勢力に対して、すべきでないとする國の声がようやく各国に影響を与え、世界各地の多くの市民が反対し、平和的解決を望む声をあげている。日本国内に於いても各種の世論調査で、65%から78%がイラク攻撃に反対の意志を示している。
 また国連憲章は内政干渉を禁じ、他国から武力攻撃を受けた場合の自衛のため以外の武力行使を禁止している。にもかかわらずいま米国は、自他共に認める強大国を表に打ちだし、複数國の同調のもと、あらゆる武力をバックにイラク攻撃を正当化しようとしている。大國が、ならず者国家と決めつけた相手に対して、大量破壊兵器や核汚染をひきおこす武器を使って攻撃を仕掛けることが、正当なのであろうか。数十万人の市民が死に、国内で200万人の難民が出ると国連が予想しているような悲惨なイラク攻撃は、死の商人商法に他ならない。
 そうした米国に対して我が国もまた理解を示す、という態度をとり続け、すでに外には戦争支援の目的をもってイージス艦を始めとする艦船をインド洋に展開させている。さらに許し難いのは、国連に於いて非常任理事国に対し、戦争容認の新決議を支持するよう、根回しを行っていることである。また内には最重要法案と位置づけたアメリカ支援法とも言うべき「有事法案」を問答無用で成立させようとする姿勢に終始していることは、世界と国内の世論、そして良識に反すると断ぜざるを得ない。
 有事法案もまた米国の理論と同じく、我が国が他国を先制攻撃することが出来、市民にもそれに協力させられる戦争法である。日本政府はおごり高ぶる勢力に囚われず、永遠の真理である慈悲と愛の立場で、世界に受け入れられる政策を示さなければならない。
 京都は第二次世界大戦に際し大きな爆撃を受けなかった。そのおかげで世界の人々から「日本の古都」と認められ、失うことのなかった文化的遺産が世界遺産に登録された。その京都の宗教者達は戦争のない平和な世界の尊さを知り、こいねがっている。
 地球上の生きとし生けるものの命を守るために、ここに「イラク攻撃反対」「有事法案反対」を声明する。
 2003年2月            世界の平和を求める京都宗教者連絡会

[2003年5月1日(木)]