国会会議録

談合企業からの献金に無反省=岩井国土交通副大臣

○ 橘委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 前回の委員会で、鋼鉄製橋梁の談合企業から、小泉内閣の大臣、副大臣が献金を受けていた問題を取り上げました。そして、その当事者の一人である岩井副大臣に、談合企業からの献金は談合による不当利得の一部が献金になっている、実際上、税金を食い物にしていることになると指摘をし、そのような献金は返すべきじゃないかとただしました。
 岩井さんは、どういうことをやるべきか、自分なりに考えてみたいと答弁しましたが、考えて、どのように対処することになったのか、まずお聞きしたいと思います。

○岩井副大臣 今回のメタル橋梁の談合問題につきましては、その後いろいろ調べましたが、私なりに調べましたけれども、平成十五年及び平成十六年発注工事に係る事件だと承知しております。
 事務所といたしましては、両年とも、政治資金規正法にのっとり適切に処理しておりますけれども、これらの関係会社につきまして、起訴されている、刑法に基づいて起訴されているということもございまして、今後の寄附についてはお断りしてまいりたいというふうに答弁させていただいたわけでありますが、穀田先生がおっしゃっておりますのは、過去の部分についてどうするんだということでございまして、幾つか考え方があります。そんなことを今いろいろ考えているところでございますが、早急に結論を出し、適正に処理してまいる所存でございます。

○穀田委員 要するに、前と変わっていないということじゃないですか。ちょっと岩井さん、この前だって、別に、今後の寄附はという話をしているわけですよ。考えると言ったわけですよ。考える時間がないわけじゃないんですよ。明確に返すのか返さないのかという結論を出せばいいだけの話なんですよ。私は、極めてとんでもない開き直りだと思うんですね。
 では、もう一遍聞いてみましょう。前回、副大臣は、今回のようにけしからぬ談合が生じたということと答弁しましたよね。起訴され、指名停止を受けた談合企業の横河ブリッジ、高田機工、栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業がけしからぬということについては異論がないんですね。

○岩井副大臣 いわゆる談合につきましても、いろいろなケースがあります。刑法に基づく談合罪というのがありますし、そこまでいかないけれども、適正な競争が阻害されているということで公正取引委員会の方から独禁法に基づいて排除勧告を受けるというケースがあります。両方とも、それぞれのケースにおいて、いわゆる談合金が動く場合と動かない場合があります。
 いろいろ実態というのがありまして、その辺を踏まえて判断していかないといけない問題、場合によりますと、請負業者がむしろ被害者じゃないかと思われるようなケースも実はあるわけでございまして、そんなこと、実態をいろいろ調べながら考えておるということでございまして、そう簡単に結論の出るような問題ではないのではないかと私自身は考えております。
 しかし、できるだけ早急に結論を出しまして、適正に処理をしてまいりたい、私の責任でもって適正に処理してまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 適正に処理する、そんなこと当たり前です。
 あなたは、副大臣は前回も、過去の部分につきまして、なかなか実態等についてわかりにくいと。きょうも、そういういろいろなケースがある、冗談じゃないですよ。国土交通省が、けしからぬといって指名停止したんでしょう。起訴されているんでしょう。悪いことをやっているから、やっているんじゃないですか。それを、しかも、談合はけしからぬということまで、談合にもいろいろあるんだ、冗談じゃないですよ。談合があるからこそ、この問題について、不当利得があるということまで公正取引委員会が言って、その金額たるや一八・六%に上ると。こんな社会ありますかいな。それを、事実上、あなたの話でいうと談合もいろいろあるのやというような話ですやんか、簡単に言えば。全くけしからぬと私は思います。
 では、もう少し聞きましょう。では、いろいろ実態があるのやからしゃあないということがあるのやと言うのやったら、聞きましょうやんか。ここに私は資料を皆さんにお配りしていますけれども、まず、鋼鉄製の橋梁以外にも、これまでプレストレストコンクリート橋梁や新潟市発注工事など、公取委から排除勧告を受けた案件もたくさんあります。暴力団幹部らによる威力入札妨害事件も起こっている。
 勝村建設株式会社という会社は、東京都発注工事で暴力団を使って入札妨害、談合を繰り返していたとして逮捕、起訴されています。この事実を岩井副大臣は知ってはりますか。

○岩井副大臣 東京都水道工事にかかわる事件につきましては、昨年末の発注工事におきまして入札妨害行為があったとして、当該会社の役員が起訴されたと承知しております。
 私といたしましては、今後の寄附についてお断りすべきではないかというふうに考えております。

○穀田委員 そんなこと聞いていないですよ。今後の寄附なんかは一言も聞いていない。いつ知ったかと聞いているんですよ。起訴された事実は知っていると。これは七月六日に逮捕されて、ことし七月二十九日に起訴されているんですね。勝村建設という会社は、東京都発注工事で暴力団を使って入札妨害、談合を繰り返している。これは有名な企業ですよ、そういうことをやっているという点ではマスメディアもよく知っているんですよ。そして、起訴された。
 この会社は、談合を拒否して落札した建設会社社長をおどしているんですよ、どうやって落とし前をつけるんだとか、言うことを聞かない会社はつぶすからなと言っている。これもまた実態調査しなくちゃならないんですか。つまり、私は、指名停止されている、告訴もされている、今度は暴力団まで使っている、そこからももらっている、ここからも実態調査しなくちゃならないほど落ちぶれたんかと言って聞いてみたいんです。

○岩井副大臣 今お尋ねの勝村建設の件でございますけれども、それは先ほど申し上げましたように、これについて実態調査をするということではなくて、今後の寄附についてはお断りしてまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 あなたは実態調査をすると言うから、そういう実態じゃなくて、ほかにももらっているだろう、暴力団におどかされてやっているような仕事をしている人たちからももらっているじゃないかと。今後返すと、相変わらず前のものは返さないということですやんか。ようそういうことが言えるなと。
 では聞きますけれども、暴力団を使っている、入札妨害、談合を繰り返してきたこの勝村建設から、副大臣は幾ら献金をもらっているんですか。

○岩井副大臣 今直ちに言われても、手元に数字を持っておりませんので、お答えできません。

○穀田委員 それは違いまっせ。今直ちに言ったんじゃないです。私は、これを言うからちゃんと調べてこいよと言っているじゃないですか。そんな不意打ちしているわけじゃないんですよ。ここからもらっているだろうと。だから、あなたは、さっき言ったように、ここからは今後もらわないと言っているんでしょう。私は、幾らもろたんやと聞いているんじゃないですか。
 しかも、私が持っている資料は、ここに書いているように、二〇〇〇年は二十万、二〇〇一年は二十万、二〇〇二年は二十万、二〇〇三年は二十万、合計八十万ももらっている。これ、もらっているんでしょう。それも事実でないと。それもわからないですか。どうしても私が聞きたいのは、これは政治資金規正報告書に出ている、じゃ、二〇〇四年分はことしの九月に出るけれども、それも含めてもろたんかということを聞いているんじゃないですか。

○岩井副大臣 手元に数字がございませんでしたが、今秘書からいただきましたので、ここにございますが、今穀田先生おっしゃったとおりの額になっております。(穀田委員「二〇〇四年は」と呼ぶ)二〇〇四年につきましても、二十万ということになっております。

○穀田委員 この談合脅迫事件は、報道によりますと、これまで談合に参加した企業に対し、落札した企業から落札額の二%程度が協力金として支払われているんですね。つまり、これはお互いに金を集めているんですよ。暴力団を使って談合を行い、協力金まで使っている会社から、簡単に言えば談合協力金の上前をもらっている、そんなことまでせなあかんのかと。それを実態だの、それからあれだのと言ってやっていたんでは。
 では聞きますけれども、岩井副大臣、自分としては今後もらわないと言った企業はどことどこなんですか。では、ちょっと言ってください。

○岩井副大臣 先ほど申し上げましたように、いわゆる談合ということについてはいろいろなケースがあるわけでありますが、今私がけしからぬとこう申しておりますのは、いわゆる刑法における談合罪、これは私自身も極めて悪質であると考えておりまして、刑法上の責任を問われる場合には、やはり寄附を受けるべきでないというふうに私自身としては考えておるわけでございます。

○穀田委員 では、もう少しいきましょう。
 今お話があったように、四年間で八十万円を受けて、さらに二十万受けている。だから、二〇〇〇年からすれば、新しい資料でいえば百万もらっているということになりますわな。これ、クボタというところは談合しているところですね。ここからももらっているということで、これは資料を出しました。
 それ以外に、そうじゃないんです、それだけじゃないんですね。これは、先ほど言いましたPC橋梁工事の入札談合事件でも排除勧告を受けていた受注企業の関係、それから新潟市発注工事の受注企業から、ここまでは、これ、資料ありますやろ、そこに。行っていますか。(岩井副大臣「あります。はい」と呼ぶ)ここからも受け取っているんですよね。とにかく、至るところからもう全部やっている。言われたら、それは、まずいやつはちょっとことしぐらいからやめようかと。それで済むのかと言っているんですよね、私は。
 今、橋梁談合事件というのは、国交省発注工事から道路公団発注工事へと拡大していると。さらに、道路公団の実質上のトップ、副総裁、理事の二名が逮捕される官製談合に発展しているわけでしょう。国交省の職員の入札談合への関与というのはまだ発覚していませんけれども、発注者側が受注企業に対して発注情報を漏らすとか、いかなる便宜も図るべきでないということは言うまでもないわけですよ。同時に、受注者側から発注者側への献金やつけ届けなど、疑惑を招く行為も厳格に律していかなくちゃならぬというのが本筋なんですよ。
 それを、いいですか、ここが大事なところなんですけれども、簡単に言えば、奉行所があった。奉行所の奉行は国交大臣でしょう、筆頭与力がいる。それを、悪い連中を捕まえようとしていたら、たまたま捕まったら、二年ほど前に悪いことをやっておった、すごくやっておったと。しかも暴力団絡みもある。そしてPC橋梁も、ありとあらゆることをやっている。そこからずっと金をもらっていたことがわかった。いや、今後は受け取りません、そんなこと、だれが納得します。あのときもらっていたの、悪いことをしていたんだろうとなるじゃないですか。そのときも返すというのは当たり前じゃないですか、普通は。そういう市民の感覚すらわからないということが、私は、今幾ら再発防止などと振りかざしても、起こったことは仕方がないというような話じゃないですかということになるじゃないですか。そういう点でも、極めて私は大事だと。
 そこで、では聞きますけれども、岩井副大臣は昨年九月から文字どおり発注者側になりました。当然その自覚はあると思うんですね。昨年九月以降に受注者側からの献金は受けていることはありませんね。

○岩井副大臣 副大臣になる前と、副大臣になってからについては、特段何の変化もございません。したがいまして、副大臣になりましてからも、建設業者からの寄附というのはございます。
 私は建設関係の比例代表として選出されておるわけでございまして……(穀田委員「もう一遍そこ」と呼ぶ)建設関係の比例代表として選出されていると認識しております。
 これまでの政治活動に賛同いただいております企業等から広く浅く献金をいただいておるということでございますが、いずれにいたしましても、政治資金規正法にのっとり、適正に処理しておるつもりでございます。

○穀田委員 みんな驚いたんじゃないですか。これほどあからさまに、建設業界の代表として金をもらっているんだから当然やっているんだと。そして、何の変化もございませんと。何の変化もないということは、ずっともらっているということでしょう。それで、指摘しなければさっぱり自分で手をつけようとしない。これでは、こういう方が国土交通の副大臣になっているとしたら、談合がなくならないというのは当たり前だ、だれが考えても私はそうだと思うんです。これは党派の関係なく、私は建設業界の代表なんだからそこからもらうのは当たり前だと。そして、建設大臣になった場合でも、発注者側になったという自覚で何か整理しようという気はさらさらない。そんなことでよく副大臣が務まりますね。
 私は、こういう問題について言うならば、少なくとも、今、かつて総理大臣をやられていた方々が、例えば厚生労働大臣の時代に起こった問題について調べて、それは、そこからはもう受け取らないとかいうことをしていたということで、李下に冠を正さず。政治資金規正法でよければいいというんじゃないんですよ。問題はモラルであり、そのルールがどうなっておるかという問題なんですね。
 私は、これほど公然と何が悪いと言った人は初めて見ました。ですから、そういうことであけすけにやっているということが、国土交通省で正直者として通っているか知りませんけれども、そういう、まさに談合などというものについては、ある意味では仕方がないことだということの結論と私はとらざるを得ないんです。
 私は、この際、こういう問題について、きちんとしたやり方、七月の段階で再発防止という内容が、国土交通省、発表されています。ここで抜けているのは、政治家との癒着であり、そしてトライアングルをどうするかということが抜けているということを私は感じます。ですから、その点で、今の発言を聞いて、率直に大臣の見解だけは聞いておきたいと思います。

○北側国務大臣 これは行政だけじゃなくて、政治家も、当然のこととして、国民の皆様から疑惑を持たれるようなことはしないということは大切なことだと私は思っております。
 今の岩井副大臣の件につきましては、岩井副大臣御自身が適切に御判断をされるというふうに私は思っております。

○穀田委員 これでは、はっきり言って、談合とそれにまつわる疑惑はなくならないということがはっきりしたという点だけは成果があったことだなと私は感じました。なるほど、挙げて談合をやっているのか、そこで金をもらってやっているのかということがわかったという点では、極めて大事な会議だったと思っています。
 最後に、では、ここの点で、申しわけありません、もともとアスベストの問題も聞くつもりだったんですけれども、時間が、やめろというのが来ましたので、一言だけ言っておきたいんですけれども。
 実は、この間、二日にも、公取が、自治体が発注する汚水処理プラントの談合疑惑で二十カ所立入調査しています。その対象企業には、橋梁談合で起訴された三菱重工や三井造船、住友重機、JFEエンジニアリング、日立造船の五社も含まれています。まさに、日本経団連の中心企業が深くかかわっています。改めて、この談合体質の深さというものを知りました。
 談合があってはならないと口では言っていましたけれども、談合しているところ、それが、罪が重くなければもらってもいいんだ、適正処理していればいいんだというふうなことをやっている以上、この問題については大っぴらに談合が進むだろう、今後もなくならぬということだけははっきりした点について認識を述べて、私としては終わらせていただきます。どうも。

○橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします

| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2006/12/28

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